現場で働くエンジニアにとって幸せな環境とはどんな場所なのか――。
企業のCTOというポジションで現場を見つめる、ミラクル・リナックスの吉岡弘隆氏と グリーの藤本真樹氏に、エンジニアにとっての理想の職場について語ってもらった。
藤本真樹氏(以下、敬称略) 吉岡さんはCTOの立場から、Webエンジニアを取り巻く状況についてどうお考えですか? 吉岡弘隆氏(以下、敬称略) 最近、自分たちで考えたサービスを自分たちで提供するWeb2.0系の会社が増えてきました。アイデアを商品化して世に出し、ユーザーの反応を見ながら改良できる。これはエンジニアにとって非常にうらやましい状況です。さらに興味深いのは、さまざまなテーマ、レイヤーでの勉強会が毎日のように行われている。会社の壁を取り払い、エンジニア同士が切磋琢磨する状況が生まれているわけです。多くの会社が群雄割拠し、東京全体で“バーチャルなGoogle”を創り上げている。面白い形が出来上がりつつありますね。 藤本 当社でも毎週のようにエンジニアが誰かしらあちこちの勉強会やイベントに出掛けている気がしますし、みんなが社外でも刺激を受けてくることは会社にとっても大事なことだと考えています。 吉岡 社外での勉強やオープンソースなどの情報は、自分が成長するきっかけになる。それを意識して上手に活用する企業やエンジニアは、潜在的に大きな競争力を持つでしょうね。転職が前提となった今、経営陣にできることは「エンジニアにとって魅力的な職場の提供」以外にない。それは仕事の中で成長できる環境、すなわち「チャレンジできる仕事」を提供するということに尽きます。 藤本 社外の勉強会に出ると技術面だけでなく、モチベーションでも刺激を受けますよね。一つの可能性として、社外の勉強会に人を多く出している会社は成長の可能性が高い、ともいえるかも。 吉岡 今はインターネットで無限に情報が入手できるので、積極的に情報にリーチしようとする人とそうでない人との差は無限に広がってしまう。時間がたてば技術力に相当の差が出てしまうことは、覚悟しておくべきでしょうね。 藤本 吉岡さんは、1995年にシリコンバレーのオラクル本社でOracle 8開発に参画するという貴重な経験をされていますよね。エンジニアとしては非常に幸せな職場環境だったのではと思うのですが。 吉岡 エンジニアにとってハッピーな環境とは「モノが作れる環境」だと思うのです。少なくとも10年前は、そんな環境は東京にはなかった。今の東京はその点で非常に恵まれていて、むしろ「モノを作れる環境をいかに提供するか」「どのようなチャレンジを仕事として提供できるか」が経営課題となっています。 藤本 そしてその結果、テクノロジー、パーソナリティなどいろいろな側面で多種多様なメンバーが集まると楽しいな、と思います。個性豊かで実力もある人たちが切磋琢磨しつつ、会社として1つの方向を向いて1つの文化を創り上げる――。そんな会社を創っていきたいです。 吉岡 エンジニアにとって成長できる環境の条件は、第1に「周りに尊敬できるエンジニアがいること」。第2に「会社の中で新しいチャレンジをさせてくれること」。企業は利益を追求する場だから、健全な利益を確保しつつ、次につながる新しいチャレンジを提供できる会社でなければならない。 藤本 同感です。吉岡さんが先ほどおっしゃっていた通り、僕らは非常に面白い環境にいると思いますし、Webの世界は突き詰めると非常に奥が深い。「Webエンジニア」という枠にとどまらず、技術を広く、深く追求していくような方と一緒に働いていきたいですね。 |