松下電器産業株式会社は2008年10月1日よりパナソニック株式会社へ社名変更いたしました。
今、半導体の進化はどこへ向かっているのか? 北京オリンピックの開催を目前に控え、日本の大手メーカーが得意とする製品分野の夏商戦が本格化している。液晶テレビやDVDレコーダー、ワンセグ対応の携帯電話など、日進月歩の勢いで進む「高機能・多機能化」がその売り文句だ。 これらの心臓となる半導体も、ここ数年で加速度的に進化している。2008年度の主要半導体メーカー7社全体の設備投資額は、計画値で約8000億円(日本経済新聞社調べ)。昨年比では約2割減だが、依然、膨大な投資額だ。その呼び水となっているのが、システムLSIの進化とフラッシュメモリの隆盛である。 躍進を見せる4つの分野 まずは複数の機能を同時に制御・稼働させるシステムLSIの進化について。従来、LSIは搭載される製品ごとの特注品として開発されていたため、投資に見合う採算が取りづらい状況にあった。しかし最近、開発期間の短縮やコスト削減を狙い、デジタル製品の世界では半導体部品のプラットフォーム化が進んでいる。その時流をくんで、松下電器などのセットメーカーはシステムLSIの共通化や1チップ化に注力し始めている。 一方のフラッシュメモリは、搭載製品の拡大により、生産能力を増強した分だけシェアの拡大が見込める分野だ。短期間で投資に見合った利益を回収できるという状況にあるため、NAND型フラッシュメモリを主力に据える東芝では、生産拠点である四日市工場での増産を目的に、設備投資を積極的に進めている。 これらの流れは、デジタル家電以外の分野にも影響を及ぼしている。特に近年、統合制御や安全技術の導入に力を入れている自動車産業は、その核となる半導体の技術革新と歩みを合わせる形で電子化を実現してきた。この流れを受けて、NECエレクトロニクスのように、車載マイコンに関連したソフトウエアを含む広範な技術領域の研究・開発を半導体事業の中心軸の一つに据えるメーカーも多く見られるようになっている。 また、半導体開発の永遠の課題となっている小型化、省電力化を実現するにあたり、ベースとなるアナログ技術の進歩も見逃せない。この分野では、世界的な専業メーカーとして有名なルネサス テクノロジの取り組みが脚光を浴びている。 進むエンジニアのハイブリッド化 こうした業界の中で、エンジニアに期待されることは何か。それは「経験や知識のハイブリッド化」だろう。特定分野を深掘りしていく職人的なモノ作りでは、もう変化に適応できない。幅広い発想を取り込みながら、ブレークスルーを実現することが求められているのだ。 例えばシステムLSIの設計・開発では、線幅45nm(ナノメートル)の量産から、32nmの実用化技術へと次世代へ向けて移行している。 その一方で、前述したように幅広い製品への搭載を可能にする共通化への取り組みも進めていかなければならない。NAND型に代表されるフラッシュメモリ開発でも、大容量化や低消費電力化という従来から続く課題の解消に加えて、要素技術レベルからの研究開発による微細化と、書き込み/読み出しの精度を一層高めるための信頼性・安定性の向上が望まれている。これらの趨勢を踏まえると、設計・開発エンジニアだけでなく、製造・生産にかかわるエンジニアにも、複眼的な視点が求められるようになるのは必至と言える。 次ページからは、こうした変化を作り出している主要4社の事業戦略と、求める人材像を詳しく紹介する。究極のモノづくりと言われる半導体業界で、安定したキャリアを築くために、エンジニアとして幅を広げる機会を探ってみよう。 |
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