クルマ業界の新しいカタチ

小型軽量化、コスト削減、人材不足―。さまざまな課題解決が急務とされる自動車業界だが、完成車メーカーが部品メーカーに発注し、納品するといったこれまでの関係性が崩れてきているのをご存じだろうか? 自動車業界への転職を考えているなら、まずは最新の業界動向をチェック! ベストな転職先を見つけよう。

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お話を伺った方々

岡崎五朗氏  モータージャーナリスト日本自動車ジャーナリスト協会理事

青山学院大学理工学部機械工学科在学中から執筆活動を始め、卒業と同時にフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始。自動車専門誌のほか、男性誌などに多数の連載を持つ

加茂孝修氏  テクノブレーン株式会社 人財事業部  スカウト部門  HARDsection  キャリアコンサルタント

大学工学部を卒業後、大手電機メーカーに就職。通信機器の研究開発に携わる。2005年にテクノブレーンに転職。元エンジニアとしての経験を活かし、自動車業界担当キャリアコンサルタントとして活躍中

松下次男氏  日刊自動車新聞社 出版局長 「Mobi21」編集長

1976年入社。自動車業界専門紙『日刊自動車新聞』の新聞記者として国会担当などを経験した後、出版局へ異動。2006年11月より現職に就き、自動車総合オピニオン誌『Mobi21』の制作を担う




最近の完成車メーカーと部品メーカーの関係について、自動車評論家の岡崎五朗氏は「マンパワー不足」がキーワードになって変化していると指摘する。

「自動車産業のグローバル化によって車種や生産拠点が増え、1台にかける開発期間がより短く、品質管理も厳しくなっています。さらに、コスト削減が求められる現在の完成車メーカーでは、人材が全く足りていない。それを補うには、部品のスペシャリストであるサプライヤーが開発の初期段階から参加する必要がある。こうした現実が、部品メーカーの重要度を上げる要因となっています」


背景には開発スタイルの変化


この状況を裏付けるように、部品メーカーの変化を次のように指摘するのは、製造業に特化したキャリアコンサルティングを行うテクノブレーンの加茂孝修氏。

「かつての部品メーカーは、部品調達が仕事という印象がありました。しかし今は、共同でシステムを開発するという流れに変化してきています。これは各部品がより高度化、複雑化したためでしょう。特に電子制御系の分野に関しては、部品メーカーのエンジニアの方が詳しいということもよくあります」

日刊自動車新聞社に籍を置き、長年にわたって自動車業界の変化を追ってきた松下次男氏は、この関係性の変化を「系列」を例に挙げて解説する。 「かつては系列といって、完成車メーカーが各部品メーカーを丸抱えしている状況がありましたが、現在はグローバル展開などを踏まえながら、系列の見直し、または強化を図っています。パーツを開発する体制から、システムを開発するという体制に移行して、クルマ自体のコストを削減する―。こうした完成車メーカーの狙いが、部品メーカーとの関係を変化させている主要因といえます」

自動車業界における部品メーカーの地位が高まる一方、部品メーカー自体の体制にも変化が要求され始めている。3人の識者が共通して指摘したのは、「提案力」の重要性だ。

「完成車メーカーの部品に対する判断基準は、ますますシビアになってきています。優れた性能で品質が高く、しかもコストが安くて生産効率が高くないと、メーカーで採用されません。しかも、その部品がシステムの中でどのような効果があるのかを、エンジニアがきちっと説明できなければならない。つまり、自社の技術や開発製品をいかにして完成車メーカーに提案するか、その能力が部品メーカーには求められているのです」(岡崎氏)

系列の完成車メーカーと部品メーカーだけの固定的な受発注の関係。部品メーカーにとってマーケット情報は、系列の完成車メーカーの生産計画だけだった

部品メーカーは系列のパイプを維持しつつ、複数の完成車メーカーと取引をするように。エンジニアが完成車メーカーに出向き、開発初期段階から携わることも

クルマ業界を読み解く「イマドキ」NEWS

トヨタが電池研究部を新設

トヨタ自動車は現在のリチウムイオン電池よりも、さらに性能を向上させた“新世代電池”の研究・開発に着手することを打ち出し、2008年6月下旬に電池研究部を新設


富士重工業は電気自動車開発に注力

富士重工業はトヨタ・グループとの提携強化を図ると同時に、軽自動車の開発から撤退することを表明。その後、電気自動車の開発に経営資源を注力する旨を発表した


電池開発における相次ぐ共同事業

トヨタ自動車とパナソニックEVエナジー、日産自動車と日本電気、フォルクスワーゲングループと三洋電機など、電機メーカーと共同で新世代電池を開発する計画が相次いで発表されている


日系メーカーが続々と中国に進出

双日が、自動車部品の検査治具の設計・製作を手掛ける中国企業、広州寧武汽車技術有限公司への出資を発表。この出資を通じて、中国の自動車事業の拡大を図るのが目的


国内における自動車の生産実績は上昇傾向

7月の四輪車生産台数は108万7454台(前年同月比124.1%)となり、12カ月連続で前年同月を上回った。(日本自動車販売協会連合会・全国軽自動車協会連合会調べ)


ダイハツ、久留米新工場が操業を開始

ダイハツ九州の久留米エンジン工場が完成。省エネルギーなどの環境への配慮と高い生産性を目指した、グローバルに通用するエンジン生産のモデル工場としている


超高効率パッケージング『iQ』の市販化

トヨタ自動車が開発したマイクロシティコミューターが年内中に市販に移される。各パーツの徹底したコンパクト化や配置の工夫などで、優れたパッケージングを実現した


パリモーターショーに新コンセプトカー出品

マツダは2008年10月開催のパリモーターショーにて、次世代都市型コンパクトコンセプトカー『マツダ清(きよら)』を出品する。「NAGARE」デザインシリーズの最新作である


世界初、超電導モータで駆動する電気自動車

住友電気工業は、世界初の超電導モータにより駆動する超電導電気自動車を試作し、2008年6月に開催された『北海道洞爺湖サミット記念 環境総合展2008』にて一般公開した


自動車メーカーの値上げ相次ぐ

日産自動車は、『アトラス』など商用車6車種の国内販売価格を値上げすることを発表。また、最大手のトヨタ自動車もハイブリッド車や商用車に限定した引き上げを発表している


GM、新型コンパクトカーに5億ドル

米ゼネラルモーターズ(GM)は、総額5億ドルを投じて世界販売向けの戦略小型車『シボレー・クルーズ』の生産に乗り出すと発表。シボレー初のコンパクトモデルとなる

三洋電機とVW社の共同開発発表時の模様


ダイハツ九州久留米工場の全景


2008年ジュネーブモーターショーに発表された『iQ』


水をテーマに名づけられた『マツダ清(きよら)』


試作車に搭載された超伝導モータ





・クルマ業界の新しいカタチ

クルマ業界「キャリア・クロニクル」

自分に合ったカイシャを選ぶ「イマドキ」転職ノウハウ



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