2008年の成功事例から次のトレンドを読む ニッポン席巻ビッグプロジェクトの裏側
2008年7月、日本全国のたばこの自動販売機に成人識別機能が導入され、非接触ICカード『taspo(タスポ)』を持っていないとたばこを買うことができなくなった。
現在のところ、taspoカードホルダーは約850万人。「これだけの数のICカードを短期間で発行した例はほかに類をみない」と、NTTデータ製造ビジネス事業本部の夏井康憲氏は語る。
「このプロジェクト自体は2001年より始まっていましたが、私が参画したのは、2007年の年始から。12月の先行受付から順次実施されていったtaspoカードの発行申込受付の全国拡大を実施してきました」
taspoプロジェクトの推進主体は、たばこメーカーを中心とした日本たばこ協会、および全国たばこ販売協同組合連合会と日本自動販売機工業会。その元請けとしてNTTデータが全体のプロジェクト管理を担当し、ICカード製造をNECトーキン、自販機ネットワーク分野をNTTドコモ、印刷業務を大日本印刷、ICカード発行業務をトッパンフォームズ、申込処理業務をトランスコスモス、データセンターシステム構築を日立製作所、問い合せ対応業務をベルシステム24がそれぞれ担当している。数多くのステークホルダーがかかわっているため、そのマネジメントには、従来とは違う多くの苦労があったという。
「当社以外の7社の委託先ベンダーの中には、当社とのお付き合いが初めてという会社もありました。『期限までに、止まらないフローを構築する』というゴールはどの会社も共有していましたが、そのアプローチは、各社で異なります。それを理解した上でまとめていく必要がありました」
例えば、カード発行のフローだけを見ても、申込書をスキャンし、入力、審査をしてデータセンターにデータを送信。過去に発行実績がないことを確認してICカードを発行し、郵送するというステップがある。各ステップに関しては各ベンダーが責任を持って担当しているが、それをつなげて次に渡す部分の調整には、思いのほか時間がかかった。
「私たちにとっては当たり前の結合試験も、会社によって進め方が異なったりする場合もあります。そこは、段階的に品質を上げていくようなタイムマネジメントを行い、時には関係者を緊急招集して調整をしながら、なんとかクリアしていきました」
もう一つ、taspoプロジェクトの特徴として、カードの申込開始直後に稼働のピークが予想されたため、すぐに安定運用させる必要があったことが挙げられる。
「通常の場合、システムを動かしながら、徐々にステップアップしていく余裕があることが多い。しかしtaspoの場合、稼働開始直後に迎える申し込みピーク時に、月に200万枚を超える申し込みに対して、1日あたり10万枚のカードが発行されました。全国に40万台以上ある自販機を識別対応できるように、この申し込み受付が始まる1年半以上前から全国で工事を開始しており、それをサポートするために、データセンターの一部機能については商用サービスを開始していたんです」
ちなみにNTTデータは、このプロジェクトにおいて全体の管理業務も請け負っている。通常は開発したシステムを納品すれば終わりのところを、そのシステムを使った業務運営まで指揮を取って実施しなければならない。このようなBPO(Business Process Outsourcing)を含めたプロジェクトは、NTTデータとしてもまだ多くはない。だからこそ、今後の展開が楽しみだと夏井氏は自信をのぞかせる。
「今後は、申し込みの促進につながったり、利用者の利便性を向上できるような展開を考えています。最近も、申込書作成時に必要な顔写真や免許書のコピーを、PC上のデジカメデータやスキャンデータから取り込むことができる機能を追加。それだけでなく、いろいろな施策を検討中です」
現在のところ、taspoカードホルダーは約850万人。「これだけの数のICカードを短期間で発行した例はほかに類をみない」と、NTTデータ製造ビジネス事業本部の夏井康憲氏は語る。
「このプロジェクト自体は2001年より始まっていましたが、私が参画したのは、2007年の年始から。12月の先行受付から順次実施されていったtaspoカードの発行申込受付の全国拡大を実施してきました」
taspoプロジェクトの推進主体は、たばこメーカーを中心とした日本たばこ協会、および全国たばこ販売協同組合連合会と日本自動販売機工業会。その元請けとしてNTTデータが全体のプロジェクト管理を担当し、ICカード製造をNECトーキン、自販機ネットワーク分野をNTTドコモ、印刷業務を大日本印刷、ICカード発行業務をトッパンフォームズ、申込処理業務をトランスコスモス、データセンターシステム構築を日立製作所、問い合せ対応業務をベルシステム24がそれぞれ担当している。数多くのステークホルダーがかかわっているため、そのマネジメントには、従来とは違う多くの苦労があったという。
「当社以外の7社の委託先ベンダーの中には、当社とのお付き合いが初めてという会社もありました。『期限までに、止まらないフローを構築する』というゴールはどの会社も共有していましたが、そのアプローチは、各社で異なります。それを理解した上でまとめていく必要がありました」
例えば、カード発行のフローだけを見ても、申込書をスキャンし、入力、審査をしてデータセンターにデータを送信。過去に発行実績がないことを確認してICカードを発行し、郵送するというステップがある。各ステップに関しては各ベンダーが責任を持って担当しているが、それをつなげて次に渡す部分の調整には、思いのほか時間がかかった。
「私たちにとっては当たり前の結合試験も、会社によって進め方が異なったりする場合もあります。そこは、段階的に品質を上げていくようなタイムマネジメントを行い、時には関係者を緊急招集して調整をしながら、なんとかクリアしていきました」
もう一つ、taspoプロジェクトの特徴として、カードの申込開始直後に稼働のピークが予想されたため、すぐに安定運用させる必要があったことが挙げられる。
「通常の場合、システムを動かしながら、徐々にステップアップしていく余裕があることが多い。しかしtaspoの場合、稼働開始直後に迎える申し込みピーク時に、月に200万枚を超える申し込みに対して、1日あたり10万枚のカードが発行されました。全国に40万台以上ある自販機を識別対応できるように、この申し込み受付が始まる1年半以上前から全国で工事を開始しており、それをサポートするために、データセンターの一部機能については商用サービスを開始していたんです」
ちなみにNTTデータは、このプロジェクトにおいて全体の管理業務も請け負っている。通常は開発したシステムを納品すれば終わりのところを、そのシステムを使った業務運営まで指揮を取って実施しなければならない。このようなBPO(Business Process Outsourcing)を含めたプロジェクトは、NTTデータとしてもまだ多くはない。だからこそ、今後の展開が楽しみだと夏井氏は自信をのぞかせる。
「今後は、申し込みの促進につながったり、利用者の利便性を向上できるような展開を考えています。最近も、申込書作成時に必要な顔写真や免許書のコピーを、PC上のデジカメデータやスキャンデータから取り込むことができる機能を追加。それだけでなく、いろいろな施策を検討中です」
『taspo(タスポ)システム』の概要 NTTデータは、大規模プロジェクト構築、ICカード関連ビジネスなどのノウハウを活かし、全体のプロジェクト管理を行った |
BPO(Business Process Outsourcing) 業務を遂行する上で情報システムへの依存度が高い分野では、インフラやアプリケーションとユーザーとをまとめて業務フローを考えた方が効率的。そこで、システムの運用とともに業務まで受託するBPOが注目されているハード機器の無線ネットワーク 自動販売機の通信機能を担っているのはNTTドコモの携帯電話モジュール。FOMAのネットワークを経由して日本たばこ協会のデータセンターに接続し、電子マネー機能などを実現している非接触ICカードの拡張 taspoの非接触ICカードはタイプAと呼ばれる規格を採用。ただし、自販機については、ほかの規格にも対応できるよう、ソフトウエアの更新で機能を拡張できるような仕様にしている |
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