2008年の成功事例から次のトレンドを読む ニッポン席巻ビッグプロジェクトの裏側

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2008年7月、モバイルで金融サービスを提供するケータイ銀行『じぶん銀行』(KDDIと三菱東京UFJ銀行が折半出資)がサービスを開始。これまでの銀行が行ってきたモバイルバンキングは、あくまでもPCで行うネットバンキングの補助的な役割だった。「PCと違って操作性や機能面からもできることが限られている場合が多い」と、じぶん銀行執行役員の池舘雅博氏は説明する。

「これまでのモバイルバンキングは、ボタンを押す回数が多い、取引履歴が一明細ずつしか表示できないなど、携帯電話ユーザーに優しいサービスとは言えなかった。そこで、ケータイ目線でイチから銀行を考えてみるというのが、当行のコンセプトになっています」

じぶん銀行のサービスには、口座開設から入出金、振込といった基本機能のほか、au携帯向けには専用のアプリがある。いずれも“安全”、“正確”、“堅牢”といった品質を担保しつつ、携帯電話ならではの入力スタイルや見やすさに配慮した仕組みを整えている。

「例えば、口座開設中に場所を移動するために一度止めて時間を置いてから続きをするという行動は、ケータイならではのこと。また、イベント時などの一斉アクセスにどこまで対応できるかなどを検証する性能テストには、延べ6カ月もかかりました」

コアであるバンキングシステムは既存のパッケージ製品をベースとしているが、モバイルフレンドリーを意識すると、相当のカスタマイズが必要になった。想定していたレスポンスが出ないなどの問題が発生し、最後の最後でテコ入れした局面も。それでも成功したのは、「計画の数値化と節目のチェックを徹底したから」だと、池舘氏は振り返る。

「リスクマネジメントは、徹底的に行いました。まずは問題が起きないように準備を進め、仮に起きても『慌てずに今気付いて良かった』という姿勢を貫くことが、PMの基本ですから」

このほか、じぶん銀行ではユニークなサービスを次々と展開。au携帯向けの専用アプリを利用した「じぶん通帳」や「貯金計画」、「ケータイ番号振込」など、使うのが楽しくなるサービスが用意されている。

「こうしたアプリは、お財布代わりに使っていただきたいサービス。今後も、いつでも、どこでも、そして誰もが簡単に楽しく使える銀行を目指して、家計ならぬ『個計』を意識させるサービスを開発していきたい」
じぶん銀行 システム概念図 申し込みから決裁まで、すべての手続きをケータイで完結できるのには盤石なシステムの存在がある

JavaとBREW
(Binary Runtime Environment for Wireless)

じぶん銀行のシステムはすべてJavaで製作。一方、au端末専用アプリケーション『じぶん通帳』は、携帯電話向けのソフトウエア実行環境であるBREWで動作する。ケータイ特化のサービス提供で、アプリ開発の進化の一助を担う

専用アプリの特徴を最大限に活用

表現方法が多彩で見やすく、サーバーとの常時接続が一時的に途切れても問題のないアプリの特徴を活かし、今後もユニークな機能を搭載する予定。ユーザーの身近にあるケータイでできることの可能性を広げていく
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