昨今、Amazon Web Services(AWS)が注目を浴びています。これは、Amazon.comにより提供されている2014年で8年目となるクラウドコンピューティングサービス(ウェブサービス)です。
AWSの顧客には錚々たる顔ぶれが並ぶ
Amazonといえばネット通販のイメージですから、そのAmazonがクラウドサービスを提供? と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、昨今のクラウドコンピューティング業界では、IBMかAWSかの頂上決戦といわれるほど、AWS はメジャーなサービスになりつつあります。
同社の売り上げに占めるAWSの割合はまだ小さなものですが、同社幹部も「いずれAWSは、Amazonの本や小売り関連の売上高を抜く」と発言しています。
日本では、日本経済新聞、テレビ朝日、日本テレビ、コーセー、東芝など錚々たる企業がAWSの顧客として名を連ねています。また、米国ではNASAや米国証券取引委員会といった公共セクターもAWSの顧客です。
AWSは、Amazonが所有する膨大なインフラの一部を間借りできるレンタルサーバーだと考えてもよいでしょう。AWSでは、グローバルにデータセンターを整備しており、5つの大陸に9つのリージョン(データセンター)を用意しています。2013年時点で、アジア・パシフィックには、東京、シンガポール、シドニー(豪州)の3カ所にデータセンターを置いています。また、データセンターは米国ではバージニア、オレゴン、北カルフォルニア、南米ではサンパウロ(ブラジル)、欧州ではアイルランドなどに置かれており、グローバル対応も可能です。
サービスの多彩さ、料金体系の柔軟さが特徴
AWSの特徴のひとつが、そのサービスの多彩さです。2014年2月現在、同社のサイト上では、50以上のサービスが展開されています。WebサーバやDBサーバだけではなく、CDN(ファイルサイズの大きいデジタルコンテンツをネットワーク経由で配信するために最適化されたネットワーク)やHadoop(大規模データを効率的に分散処理・管理するためのソフトウェア基盤)、ロードバランサ(サーバーの負荷分散を行なう装置)やストレージ、監視サービスなどさまざまなサービスを提供しています。サービスの多さに惑わされず、自分のニーズに合わせて最適なサービスを選択しましょう。
また、料金体系の柔軟さ、多彩さもAWSの特徴のひとつです。例えば、設備投資に多くの資金を割けないスタートアップ企業などは、前払い料金なしの従量制料金のオンデマンドデータストレージサービス「AmazonS3」を利用することで、低価格でビジネスの基盤づくりに邁進することができます。
サービスが成長してきたら、サーバーを増強しなければなりません。もし急激な成長をした場合、そのスピードが追いつかず、サービスがダウンしてしまうこともありえます。しかし、AWSを利用していれば、簡単にサーバーの拡張を行ったり、性能を上げたりできるため、そうした不安は解消されます。実際、AWSはインスタグラム、ドロップボックス、フォースクエア、タンブラー、ピンタレストなど、最近急成長を遂げたITスタートアップから絶大な支持を集めています。
新しいWebサービスをお考えの方は、AWSの特徴を把握しておきましょう。