Cisco(シスコ)は、米カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発企業で、正式な社名は「Cisco Systems(シスコシステムズ)」といいます。社名の由来は「サンフランシスコ」の省略形からきているということです。
同社の主力製品は企業向け、通信業者向けのルータ、VoIPゲートウェイ(電話網とIPネットワークの間の中継を行う機器)、 IP電話などのIPコミュニケーション関連製品、ファイヤーウォール、VPN集線装置などのネットワークセキュリティ製品などで、特に同社のルータ、スイッチ、ワイヤレス製品は、世界のトップブランドとなっています。
シスコもまた、ガレージから出発した
シスコは、1984年に当時スタンフォード大学でコンピュータオペレータとして働いていたレン・ボサック&サンディ・ラーナー夫妻により創立されました。ボサック氏は、スタンフォード大学勤務時代、同大学にあるメインフレームやミニコン等の各種コンピュータをネットワークで接続するというプロジェクトにおいて、オリジナルのネットワークルータを開発して、プロジェクトを成功に導きました。また、このプロジェクト中、同大学の経済学部に在籍していたサンディ氏と結婚しています。
初期の製品はルータだけで、顧客は大学、軍、政府機関が中心でした。また、この初期製品を製造していたのは当時夫妻が住んでいた自宅のガレージでした。シスコもまた、スティーブ・ジョブズ氏のApple(アップル)と同じ、ガレージから出発した企業なのです。
20年間にわたり同社の舵を取る、辣腕経営者ジョン・チェンバーズ氏
創業者の夫妻は1990年に同社を去りました。その後、1995年から2014年現在まで、CEO(会長兼最高経営責任者)として同社の舵取りをしてきたのがジョン・チェンバーズ氏です。同氏は、新しいマーケットに対する洞察力に富み、その辣腕ぶりは「ジョン・チェンバーズの体内には怪物が潜んでいる」といわれるほどです。
チェンバーズ氏は、1991年の1月にシスコに入社してCEOとして就任するまでの間に、7000万から12億ドル規模の会社へと成長することに貢献しました。さらに、2013年には過去最高の売上高486億ドルを達成しました。同氏はCEOとして指揮を取ってきた約20年間で、シスコを40倍の規模にまで成長させたことになります。
また、シスコは積極的にM&A(企業の合併・買収)を繰り返す企業としても知られています。同社は1993年から2000年までの間に61社もの企業を買収し、製品ラインの拡充に成功しました。この戦略的M&Aは近年も継続しており、ネットワーク関連機器だけではなく、データセンターやネットワークセキュリティなどへと経営の多角化も図っています。
自宅のガレージから世界のトップブランドへと成長してきたシスコ。今後の会社の成長に注目が集まっています。