デザインのプロを目指し転職
プロ集団の共有感が心地いい
「ウェブデザイナーとして、最先端のスキルを磨きたい」
そんな思いから安定した大手プロバイダーを退職。社員10名、全員30歳以下という若いベンチャー企業「はてな」に飛び込んだのが、池田拓司氏だ。前職の大手プロバイダーでは、主にスポーツサイトの進行・運営管理などを担当していた。
「前職はインターネット企業らしくなく、おっとりした社風(笑)。そのためスピードにかけるところがあった。指示1つとっても、部長、課長、リーダーと、上から順に指令が降りてくる。会議でも自分の意見を容易に発言できる雰囲気ではなかった」
また、もともとデザイナーが希望だったが、制作は別会社に委託していたため、「このままでは自分のスキルが伸びない」という焦りも感じていた。「自分でサイトを作りたい」という思いを優先し、3年後に退職した。
ウェブ制作会社を回る中で、たまたま前職の同期が勤めていた「はてな」に出会った。同社は、コミュニティ型のQ&Aサイトやキーワードでコミュニティと繋がるブログなどを提供するベンチャーだ。
「実は、制作会社から内定をもらっていたのですが、制作会社だと仕事が“請負”になるため、自由度が狭まるのではという不安があった。だが、はてなには日本最大級のQ&Aサイトという確固たる自社媒体がある。自社媒体をデザインするほうが仕事内容として魅力的だし、自分のセンスが発揮できると思ったのです」
社風は和気あいあいそのもの。稟議もナシ。そんな環境も気に入った。現在、池田氏は社内唯一のデザイナーとして、ウェブのデザインはもちろん会社のロゴなど「ブランドデザイン」全般を手掛ける。
「転職してよかったのは、自分が作りたいものがすぐに何でも作れること。社員全員、ウェブが大好きで、感覚を共有できるのも心地いい。それだと気兼ねなく働けますからね」
また、社内会議のための資料作りなど無駄な仕事がなくなったので、9時までには必ず帰れる。
「社長が早く帰ることもあり、皆ダラダラ残業しない。おかげで、日中どのように集中するかを考えるようになりました」
マイナスだったのは、世間的な知名度がないので、引越し先がなかなか決まらなかったことくらい。「転職して満足」と池田氏は語る。
まだ社員の少ない有望IT関連ベンチャーに飛び込むと、“IPOによる株長者狙い”とも思われがちだが、池田氏は「プロとしての生き方を選んだ結果」という。
「社員全員がプロ集団といった雰囲気。自分も、もっともっとプロになろうという意識が生まれます。将来的には、デザイナーという職種を極めていくことが目標です」
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