未上場ベンチャーへの転職

大企業で組織の歯車となって働くよりも、伸び盛りのベンチャーで思う存分実力を発揮したい―。でも、いまさら、上場した有名ベンチャーにいっても、会社の「草創期」の支えるやりがいや、未知なる領域を開拓していく喜びは味わえそうにない。そこで、typeがおススメするのが、今後上場予定がある優良ベンチャー企業への転職だ。本特集では、リスクをとって、未上場ベンチャーに飛び込んだ人の「その後」を追跡。優良ベンチャーの見分け方などについても研究していく! 《2005年10月号より抜粋》

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池田拓司氏(27歳) 株式会社 はてな チーフデザイナー
坂本達也氏(29歳) 株式会社ヤッパ 3D事業本部 Account Management室長
田尻潤二氏(28歳) 株式会社 エス・エム・エス コンサルタント/東京事業所責任者
 
 
株式会社 エス・エム・エス
田尻潤二氏(28歳)
 
 
2000年大学卒業後、新興大手のマンション販売会社の営業マンとなる。04年、介護専門の人材事業を手がけるエス・エム・エスに転職。
 
 

草創期のベンチャーはビジネス全体を知る格好の場

一部上場のマンション販売会社の営業マンから、介護専門の人材紹介・求人情報・資格情報事業を行うエス・エム・エスに転職した田尻潤二氏。転職のキッカケは、新卒入社のディペロッパー時代の同期2人がエス・エム・エスを設立、彼らに誘われたこと。

「正直、事業の内容よりも、この2人と一緒に働きたいと思った」

誘われた当時、田尻氏はマンション販売のモーレツ営業マン。休日は月1日とれればいいほうだった。そんな激務の中で、毎月で約20戸もの成約を獲得していたという。

「販売からローンの手配まで1人で担当するという忙しさでしたが、不動産販売会社にありがちな、軍隊っぽい会社≠ナはなく、科学的なマーケティング手法を取り入れており、仕事に不満はありませんでした。でも4年たち、会社が東証1部上場を果たし社員数も増えてくると、自分が販売部分だけを担当する歯車に思えてきてしまったんです」

企画、開発、販売というビジネスの一連の流れを知りたい―。そう思っていただけに、設立間もないエス・エム・エスは、ビジネス全体を俯瞰する力量をつける上で格好の場だと思ったのだという。

04年に転職し、介護施設などにケアマネージャーや看護師を紹介するコンサルタントを半年務め、その後は東京事業部を統括する責任者に昇進した。

「当社のカルチャーはずばり、“フラットに考えよう”。つまり上役に不満でも何でも言える。この風土が前職とは大きく違いますね。僕はここに入社して、役員だけで経営方針を決めているのが不満でした。それで、役員が会社のルールを決める前に社員全員と話し合う場を開催することを提案。今では社員総会として定着しています」

入社して1年半の間に、社員数は10人から40人に増えた。

「大阪、名古屋などの事業所ができて、日々ライバルが増えていく。追い抜かれないようにと、休日にMBAなどの勉強もしています。部下の育成もあり、プレッシャーは前職よりも重くなったと思います」

田尻氏は前職の同僚が社長・副社長を務める会社に転職したが、友人が経営者のベンチャーに入るうえでは注意点もあるという。

「仲のいい友人が役職ではずっと上ということもあります。この場合、上下関係がしっかりあると事前によく認識しておくことが大事です。僕は、社長・副社長が人間的にとても尊敬できるという思いがある。だから、うまくいっているんだと思います」

 
 
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