あの経験が“今”を作った!
海を渡った3人の侍たち |
語学スキル、ビジネススキル、メンタルスキル……。グローバル・ビジネスで活躍できる人材の条件とは何か。世界を舞台に名を馳せる“3人の侍たち”の経験をもとに、世界基準のビジネスパーソン像に迫る! 《2006年3月号より抜粋》 |
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英語を学ぶことで客観性が身についた 横浜山手地区生まれ。外人墓地や異人館がある国際色豊かな環境で、外国人に囲まれて育った。 「幼稚園児の頃に外国人と結婚した叔母が帰国し、突然ハーフのいとこたちが登場しました。片言の英語が通じたのがうれしく、その後も外国人を見かけてはWhat time isitnow? などと話しかけていました」 そう語るのは、株式会社イー・ウーマン代表取締役・佐々木かをりさん。フリーランスの通訳を経て、26歳で通訳・翻訳などのユニカルインターナショナルを創業。2000年には女性向けコミュニティサイト「イー・ウーマン」を開設し、社会やビジネスへの提言や商品開発や人材育成、研修などを行っている。 今や国際コミュニケーションのプロフェッショナルとして活躍する彼女の原点は、19歳のときのアメリカ留学にあるという。 「英語を学んでよかったのは、考え方を整理する訓練ができたこと。日本語なら“パーティー来る?”と聞かれるところが、英語だと“Do you want to come to theparty?”と聞かれる。すると、“Do I want”つまり『私自身は何を欲しているのか』を問われているように感じるわけです。英語で生活したことで物事に対するオーナーシップが生まれ、論理的・客観的に自己分析できるようになった。外国語でものを考えることの効用は大きいと思いますね」 帰国後、上智大学外国語学部比較文化学科を卒業し、卒業後はフリーの通訳に。そんな佐々木さんが転機を迎えたのは20代前半の頃だった。通訳の仕事を機に、ある米国流ビジネストレーニングの発想法を学ぶセミナーのトレーナーになったのだ。 「Win-Winの発想は今でこそ有名ですが、二十数年前にその発想に触れた影響は大きかったですね。それまでは言われたことをきちんとやる真面目な仕事人ではあったけれど、単に『マイナスを作らない』だけで、自ら『プラスを作り出す』生き方ではなかった。それに気づいた時、ショックで涙が出てくるほどでした」 プラスを作る生き方をするにはリスクをとらないといけない――。 そのことに気づいた佐々木さんは、ユニカルインターナショナルを起業。従来にない全く新しいタイプの通訳・翻訳ビジネスに乗り出した。真に効果的な国際コミュニケーションを行うためには、クライアントの状況に応じて、最適な経験や人柄、専門知識を持つスタッフを紹介しなければならない。双方のマッチングに力点を置いたコンサルティングが高い評価を受け、会社は毎年倍々ゲームで急成長。佐々木さんは一躍、女性起業家として注目された。 87年にはテレビ朝日『ニュースステーション』のニュースリポーターに抜擢され、世界30カ国を現地取材。96年以降は「国際女性ビジネス会議」を開催するなど国際的なオピニオンリーダーとして活躍している。 佐々木さんは「グローバルに活躍する」ということについて、多くのビジネスパーソンが誤解をしていると指摘する。 「コミュニケーションの93%はノンバーバル、つまり表情や服装、声のトーンや手の動きなど言葉以外の要素で成り立っています。その部分は世界共通ですから、日本で通用しない人は海外でも通用しないんです。日本で築いた1や2がないのに海外に行っても、3になれるはずがない。人間として基本の部分を培わずに英語だけを勉強してもダメなんです」 日本を含めずにグローバルという概念はありえない。それだけに、まずは日本で通用する自分を作ることが重要――。佐々木さんはこうアドバイスしてくれた。 |
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