あの経験が“今”を作った!
海を渡った3人の侍たち |
語学スキル、ビジネススキル、メンタルスキル……。グローバル・ビジネスで活躍できる人材の条件とは何か。世界を舞台に名を馳せる“3人の侍たち”の経験をもとに、世界基準のビジネスパーソン像に迫る! 《2006年3月号より抜粋》 |
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これからは語学力プラスアルファの経験が必要 財閥系大手エネルギー企業のエンジニアとして5大陸22カ国を踏破。まさにグローバル・キャリアの王道を歩んだ末に、留学支援会社を起業した人がいる。エデュケーションジャパン代表取締役・南坊博司氏だ。 77年早大卒業後、住友石炭鉱業に入社。入社4年目から技術者として海外の資源開発調査などに従事した。 なかでも南坊氏にとって転機となったのは、入社5年目のとき、米国コロラド州でロッキー山脈の地質調査に参加したときのことだという。 「英語には自信があったのですが、現地の人と無線で会話しているとスラング混じりでさっぱりわからない。聞きとれる語彙を増やさなければ仕事にならないわけです。自分のキャリアを広げるためにも海外の先進的な情報を得る意味でも、英語のトレーニングは必須と身にしみましたね」 管理職に昇進すると、交渉事で会議をリードしたり大勢の前でプレゼンする場面も増えた。そんな中「本当に生きたコミュニケーションをするには英語だけでは通用しない」と痛感させられたのも事実である。 「大手商社の駐在員と一緒に会議に参加すると、相手の視線が全部その人に集中するんですね。駐在員の方は現地事情に通じていて選挙やスポーツなどの話題も豊富。相手の関心を惹きつけた上で交渉に入るので、存在感が増し、おのずと言葉にも重みが出てくる。英語が完璧に話せる人イコール、グローバルに通用する人材かといえば必ずしもそうではない。人間的魅力や、現地の歴史や文化についての知識も必要だと思い知らされましたね」 海外では異文化コミュニケーションにともなう苦労にも事欠かなかった。30代後半の3年間、ODAの一環でインドネシア政府の政策アドバイザーに就任。彼我の仕事のペースの違いもさることながら、ラマダン(宗教的断食)で効率が落ちるイスラム教国の流儀に慣れるのは容易ではなかったという。 「物怖じせず相手の国の習慣に飛び込んでいけること。それが異文化コミュニケーションに長けた人に共通する特徴だと思います。私自身も長年の海外経験を通じて、相手とその文化に対する許容範囲が広くなったような気がしますね」 住友石炭鉱業の執行役員に就任後、早期退職。インドネシアの鉱山開発プロジェクトなどに参画した後、04年エデュケーションジャパンを起業した。現在は海外での豊富なキャリアを活かし、留学・国際交流の支援事業を幅広く展開している。 「外資系企業に就職するにせよ海外で働くにせよ、語学力だけでは通用しません。英語はツールでしかなく、他にどんなスキルや強みを持っているかが重要だと思うのです。グローバライゼーションの流れはもはやとどまるところを知らない。心と心のコミュニケーションを大切にして、海外で活躍したい人を今後もサポートしていきたいですね」 |
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