年収1000万円プレイヤー図鑑「バイオベンチャー 取締役COO」

今回の1000万円プレーヤーは、スタートアップ期にあるバイオ関連ベンチャーのCOOとして活躍している三浦拓司氏。日本全国を飛び回る営業開拓から組織つくりまでを担う。年収は1080万円だ。2年前、この会社に移るまでは外資系コンサルティングファームで戦略、人事、組織コンサルタントとして働いていた。マネージャーだった当時の年収は1300万円。年収で見ると大幅ダウンだが、「目先の数百万は気にしない。ゼロから会社を作る、軌道に乗せる充実感がある」という。生物学系修士終了という専門性もあり、このベンチャーは三浦氏にとって願ってもないフィールドなのだ。三浦氏のキャリア構築の信条、そして若くして高収入と自分に合った仕事を両得するノウハウを聞いた。

年収の推移

Q.大学院から新卒で外資系コンサルティングファームに就職。コンサルタントを選んだ理由とは?

専門分野は好きだったのですが、当時は生かせる専門の会社がなかったからです。製薬会社などに行って、手を動かして研究するのも好きじゃなかった。コンサルタントになろうと思ったのは、たまたまネットで知り合った人に薦められたから。学生時代、海外旅行記を発するホームページをやっていたのですが、偶然僕のページを見た人がコンサルタントで、その人に「君の文章はコンサルタントに向いているよ、ファームならA社かB社がいいよ」と教えられて(笑)。みんなで意見を出し合って何かを作るのは好きだから自分に向いているかなと思いました。

1日の平均スケジュール

8:00 起床、朝食
自宅でメール処理
9:30 出社
メール処理と資料作成
12:00 ランチ
13:00 研究所へ行き打ち合わせ
17:00 本社へ戻り、5人の部下の進捗を確認、資料作成など
20:00 会社を出てスポーツジムへ
23:00 帰宅
サッカーと生物学系のニュースをチェック
2:00 就寝

Q.外資系ファームに入社し、どんな働きぶりだったんですか?

あいうえお順にファームに履歴書を送り、最初に内定したA社に入社しました。配属先は人事・組織コンサルティングの部門です。働きぶりというと、「便利屋」扱いされていた(笑)。外資系金融会社の新商品の設計、証券会社の営業マンの営業マニュアルつくりなどいろいろやりました。よくある戦略構築やITではなく、「訳のよくわからない案件は三浦に担当してもらおう」みたいな。みんなキャリア志向がちゃんとしていて、訳のわからない案件はスキルが付かないと敬遠する。僕には、「この分野のプロになろう」という志向がなかったので、何でも喜んでやっていたわけです。

Q.入社4年目にマネージャーに昇進されています。かなり早い昇進ですね。

マネージャーに昇進したのは、キッカケとなる案件があったからです。数万人も社員のいる大きな企業のミッションと働き方の整合性を取るというプロジェクトです。社員の方、全員にアンケートを取り、その中からピックアップして現場の方からトップの人まで直接100人にインタビューさせてもらいました。これは個人的にすごくいい勉強になりました。大企業は現場の人から経営企画の人までいろいろいて、人によって考えることが全然違う。その感覚がよくわかったんです。

このリポートはクライアントから喜ばれました。でも、昇進した理由は「何でも屋」に徹していたからでしょう(笑)。いろいろなことをやったほうが単純に面白い。訳のわからない案件をやるのは、マジメな人には大変です。でも、僕は気負いも少なかった分、うまく整理できたのでしょう。確かに、4年目でマネージャーに昇進するのは異例に早かったと思います。異例に早かったのは運がよかった以外の何物でもないですよ(笑)。いい上司と仲間に恵まれた。コンサルタントは、自分ひとりでいくら頑張っても、いい成果はでませんからね。

Q.6年目にコンサルタントを辞め、現在のバイオベンチャーに転身されるのですが、その経緯は?

コンサルタント自体がゴールではなかったのですが、入社当時はあまり将来のキャリアプランは考えていませんでした。最初に「君は何年勤めるの?」とみんな聞かれるのですが、僕は「10年くらいはいたいなぁ」程度でした。ずっと先のことは考えても仕方ないと思っていたのですが、30歳になって、ちゃんと先のことを考えないと、と思い始めたのです。マネージャーとしては問題ない。あとはパートナーとして足りない部分を5年かけて埋めるだけだとクリアにイメージはできた。しかし、それでいいのか、キャリアをゼロに戻したほうがいいのかと悩み、3ヶ月休職してアメリカに遊学しました。やっぱりコンサルタントを続けようと思って帰国したのですが、帰ってきて机に座った瞬間、やっぱり辞めようと(笑)。

しばらく知り合いのいるベンチャーキャピタルでバイトをしていました。でも、たまたまこのバイトで今の会社の存在を知ったんです。学生時代の専攻が生きる分野のバイオベンチャーで、「面白い理論を提唱する会社だ」と思い、実際に話を聞いたら、いてもたってもいられなくなり、入社を申し出て採用されたのです。

Q.まさに運命的な出会いですね。現在は、COOとしてどんな業務を行なっているのですか?

入社時は社員数名でまさにスタートアップの「何でも屋」(笑)。会社としても何をやっていいかわからないところもあった。まずは事業計画よりも、この会社の技術を知ってもらおうと、全国を回って営業し、コネクションを作っていきました。会社は徐々に大きくなり、僕は去年COOとなって、引き続き営業面や人事・組織作りを行なっています。

ヤリガイはゼロから組織を作るところですね。大組織への転職によくある軋轢がなく、あまり辛い面はないですね。ふつうコンサルタントがスタートアップ企業に行くのは辛いのかもしれませんが……。僕はファームで、何でもやってきたので器用さが生きているんだと思います。まぁ、僕は性格が楽天的なので(笑)。小さいベンチャーだと、この会社は成功すると思う瞬間と、このままじゃ倒産だと思う瞬間が毎日あるんですから。もう慣れましたね。

Q.三浦さんのように、理想の会社・仕事に出会うためのアドバイスというと?

大学院生にはコンサルティングファームを薦めているんです。いろいろな会社や人に会えますから。僕の経験から見て、それってすごく貴重です。コンサルタントだと、ビジネス社会の常識と、その会社の常識の双方が見えますから。また、コンサルタントから転身の仕方としては、あまり先を心配して考えすぎないこと。ヘタに動かなくても、転身すべきと気は自然と訪れるはずです。だから、いつでも辞められるような状態にしていくことが大事ではないでしょうか。

よく年収1000万円を超えると、借金もたくさんしちゃって、転身したい会社ができたとき、コンサルタントの年収じゃないと転職できない。それで留まらざるを得ない人もいます。それは不幸です。僕は1000万円を超えたとき、この生活に慣れるとキャリアが狭まると思って怖かったですね。それでも高収入を稼ぎたいなら、目先の数百万円にはこだわらないこと。目先のお金にこだわらないと、後から昇進して収入もずっと上がることもある。僕の場合、目先のカネよりも、人との繋がりや恩義を取ったのが生きていると思います。



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