Q.新卒で入社した印刷会社では、どのような経験をされたのですか?
大学では英米文学専攻で演劇ばかりやっていました。で、就職段階になって、芝居用の本を書いたり、チラシを作ったりしていたので、広告がいいかと。すごく安易ですが(笑)。人と話すのが好きだったので営業職志望で、広告代理店から制作プロダクションまで40社くらいひたひたと回りました。でも、大手、中堅の代理店は見事にすべて落ちてしまって、やっと決まったのが小さな広告制作プロダクションでした。
最初は、名刺を作ったり、街のおもちゃ屋さんのチラシを作ったりしていましたね。やがて財閥系の住宅販売会社のクライアントを持ち、チラシや冊子などのプリントメディアを中心にセールスプロモーションをしました。キャンペーンの事務局から印刷物の進行まですべてやりました。といっても、当時は広告営業のほんの川下部分だけでした。
1日の平均スケジュール
7:15 | 起床 |
---|---|
9:00 | 出社 新聞、メールチェック、プレゼン準備に追われる |
12:00 | ランチ |
13:00 | 社内の制作、クライアント、外部のプロダクションとの打ち合わせの連続 |
23:00 | テレビCMのコンテ制作を依頼しているプロダクションに張り付く |
Q.3年後にインターネット・メディアの会社に転職されますが、その経緯は?
広告の仕事をする中で、メディアの仕事をやってみたい、と思うようになったのが転職した理由です。前職の川下の営業だけでは、ちゃんとした代理店には転職できない、という思い込みがあったんです。だから、まずはメディアに入るのが代理店への近道になると。インターネットのメディアはこれから伸びるだろうと、たまたま応募したら受かったんです。
最初は広告営業をしていたんですが、3ヵ月後にシステム運用部に異動になってしまいまして。内容はインターフェース上の広告の進行管理。ひたすらパソコンをいじっているといった感じでヘコみましたね(笑)。広告でデカイことをやるぞ!と転職したのに、ぜんぜん違うのでショックでした。我慢できなくなり、また転職活動を始めたんです。インターネット企業は内部体制が整っていないこともあるので要注意。個人の能力や志向よりも、人がいないから行ってくれということが起きるんです。
Q.で、今度は見事に大手広告代理店に内定。どういう経緯だったのですか?
メディアを勉強しようと思ったけど、嫌な思いをしたので、またセールスプロモーションの世界へ戻ろうと考えたんです。でも、たまたま大手の広告業界に強いヘッドハンターの方を知り合いから紹介されまして、受けたのがいまの広告代理店だったのです。
なぜ、受かったのかというと、ヘッドハンターの方の力かな(笑)。その人はメチャクチャ大手広告代理店に強いんで。もちろんそれだけではありません。ヘッドハンターの方からも言われたんですが、大手に転職するなら「自分がいまできることと、できないこと」を明確にしないといけません。自分も当初は紙媒体のプロモーションとかネットプロモーションとか曖昧だったんですが、印刷のプロとアピールしたところ、たまたま印刷の知識が必要な部門があった。それが転職できた理由です。
Q.現在はどのような仕事を?
まだ入ったばかりですが、某銀行がクライアントで、キャンペーン回りと新聞とテレビの広告を担当しています。毎日、プレゼンの作業が立て込んでいてメチャクチャ忙しいですよ。昨日もテレビCMのコンテ制作で編プロにへばりついて、終わったのが明け方。だから、今日はまったく寝てないんですよ(笑)。
大手の代理店営業は特殊で、お客さんと目線が常に同じなんです。以前だったら、お客さんの言うとおりに何でもやるといった感じですが、ここでは対等といった感じ。それは会社の理念でもあるんですが、いまはまだ慣れずひたすら勉強ですね。
Q.広告業界の営業マンとして成功する秘訣とは?
僕には印刷、紙媒体の制作に関して人に負けないという自負があります。それは前職で印刷会社の現場まで張り付いてしっかり見てきたからです。でも、大手の営業マンは現場までは見ていません。その現場の知識がいま役に立っていると思います。
将来的には広告以外の面からも企業全体に関わっていきたいと、中小企業診断士の勉強も始めたという弓削氏。平日は寝る時間がないほど忙しいが、土日はしっかり休み、趣味のバスフィッシングを楽しんでいるという。総合広告代理店の営業マンとしてスタートを切ったばかりだが、マーケティングに強い営業マンになることが当面の目標だ。
持ち物チェック
愛用の腕時計はボームアンドメルシエ
バックはゼロハリバートンを愛用