Q.新卒で就職されてから5社を経験されたということですが、どのような目的で転職されてきたのですか?
転職理由はいつも、その時やりたいことがしたいだけなのですが、付随して年収は必ず上げていきたいと意識はしています。お金は多く持っているに越したことはないじゃないですか?(笑)。元気なうちに稼いでおきたいという発想でしょうか。
よく、「将来の大きな目標のためにその時々で必要なスキルを磨ける道を選ぶ」という人もいますが私はそこまでかたいものはないですね。中長期のキャリアプランはもちろん考えますが、何年か経てば結局マーケットも変わっているでしょうし、そうなれば目指すキャリアも変わると思うんです。だから私は将来の目標はあまり具体的にせず、あえて「こういうレイヤーの仕事がしたい」くらいに設定して、それに近いものに辿り着くために転職しています。
例えば初めての転職は、新卒で入社した証券会社が倒産したタイミングでした。そこで百貨店に転職したわけですが、その目的は「小売業」を勉強したいと思ったから。1年間、証券会社で株式の営業をする中で、新卒1年目だからビジネスのことなんて何もわからないままでした。どうせやり直すのなら商売の基本を知っておきたいと思い、一番分かりやすいと思った小売業を選んだわけです。
Q.その時々でやりたいことを仕事にしてきたわけですが、仕事のやりがいと年収アップを両立するために意識していたことはありますか?
私の場合、仕事において重視するのは年収とやりがいが半々くらいの割合。
転職時には仕事内容と条件を見て判断しています。いただいた条件が現在の年収よりも上であればいいと思っているので、「年収1000万円じゃないと無理」みたいなことは言いません(笑)。仕事もできないのに最初からお金のことばかり言っても上がるわけありませんから、その会社で将来的にどんどん上がっていくように自分の営業スキルをつけていこうと思っていますね。
実際に、現在の会社に入社した1年目に年収1000万円を突破しましたが、その後、去年は約1200万円、今年は恐らく1800万円くらいはいきそうです。営業実績に応じて収入が変わるので、年々しっかりとスキルをつけてきている証明ではないでしょうか。
Q.仕事をする上で心がけていることはありますか?
私は、大規模企業向けに顧客管理システムをご提案する部門で新規開拓営業を主にしているのですが、普段の業務といえば、1日に1?3件のクライアントを訪問して商談、戻ってからは翌日の商談の準備、これだけです。
営業経験のある方なら分かると思うのですが、至って普通レベルの営業プロセスだと思います。でも私がそこで意識しているのは、その3件のアポを無駄にしないということ。御用聞きにまわるなどは絶対にしません。この訪問は何のためで、どこがゴールで、次にどうするかをきちんと決めるように心がけています。
1件の契約でだいたい400万円?500万円くらいの売上げになるのですが、それを積み上げてノルマを達成するには無駄な訪問をしている暇はないんです。
Q.現職に転職されて年収1000万円を突破されましたが、今の仕事のやりがいとは何ですか?
以前の会社では管理職の立場にいましたが、いわゆるプレイングマネージャーで自分の数字も持っていました。営業マンは数字がすべて、だと思うのですが、立場的にも部下の育成など評価軸が色々あり、納得感が得にくい評価制度でした。自分がどれほど売って結果を出しても、他の理由で評価が下がるのが納得できなかったんです。
その点、今は完全に成果主義の評価制度なので、売上げでしか評価されません。それが分かりやすく、やりがいも感じやすいです。「仕事は全部自分のため」になりますから、クライアントから受注できれば全部自分に返ってくると思えば自然とモチベーションもわきます。日本企業の多くは、それをやっても自分のお金にはならない仕事が多い気がして、心のどこかで「やらない者勝ち」と思ってしまいます。もちろん、自社のサービスにも自信があって気に入っているものなので、心からこのサービスを広めたいと思える商材を扱えているのも大きなやりがいです。
あとは、プライベートが充実していることが重要かもしれません。趣味のために海の近くに家を買ったので、通勤時間は1時間半くらいかかりますがぜんぜん苦じゃありません。引っ越さなければならないくらいなら転職します!(笑)。
Q.井上さんの考える、年収アップの秘訣と今後の展望についてお聞かせください。
秘訣かどうかは分かりませんが、年収アップできている要因の一つは、営業マンとしてノルマは確実にこなす、という意志があると思います。私の場合、勝負好きの負けず嫌いな性格もあり、一位を獲るためにはどうしたらいいかという気持ちが営業マンとしては年収アップに繋がるのではないでしょうか。
もう一つは転職にたいして躊躇しないこと。一緒に働く同僚たちは好きですが、会社自体は好きにはなりません。新卒で倒産を経験しているからか、その場所がずっとある確証はないと常に思っています。より良い条件で仕事ができる場があるのであればそちらに乗るべきと考えています。もちろん私もいい話があればまだまだ転職していくでしょうね。
これまでは業界にはこだわっていませんでしたが、これからは経験・人脈も今後のキャリアに必要になってくる年齢なので、これまでに築いてきた知識や経験を活かしてSI業界でのキャリアアップを目指していきたいと思っています。
井上氏の年収アップに対する意識の根本は、意外にも「負けず嫌い」と「安定志向」であった。完全実力主義の企業で、年収1000万円以上を稼ぎ続ける実力をつけるまでに色々な業界を経験したことは無意識のうちの戦略だったのかもしれない。井上氏のように、一定の年齢までに自分の得意分野を築き上げ、それを評価してくれる環境を見つけることが、長期的に高年収を維持するポイントではないだろうか。
お金を一番かけているものは?
趣味のサーフィンとシーカヤック。備品整備にかけているお金以外は、特に使い道が思いつかない
1ヶ月のお金の使い道
月収100万円だった場合の円グラフ。というのも、毎月、成果によって100万円から200万円くらいまで月収に幅があるのだとか。家計はすべて妻が管理しているため詳細不明