『あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか?』の著者が語る、営業マンがクレームから逃げないほうがいい理由【ビジネス書3分リーディング】
営業マンが避けては通れない道、それが「クレーム対応」だ。
すでに数年キャリアを重ねていれば、クレームを受けることのつらさや苦しさを経験している人も多いことだろう。
書籍『あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか?』は、住宅メーカーで7年もの間、“クレームに悩み続けるクビ寸前のダメ営業マン”だった菊原智明氏が、実際に遭遇したクレーマーの例を紹介しつつ、「クレームを武器に変える」営業テクニックを明かした1冊だ。
この手法を確立した菊原氏は、4年連続ナンバーワンセールスに急成長を果たした。ビリだった彼を一躍トップへと押し上げた「クレームとの向き合い方」について聞いた。
営業サポート・コンサルティング株式会社 代表取締役 菊原智明氏大学卒業後、住宅メーカーに就職。2006年に営業サポート・コンサルティング株式会社を設立し現職。経営者や営業マン向けのコンサルティングのほか、関東学園大学経済学部の講師として大学生にも実践的な営業ノウハウを教えている。近著に『40歳からの営業マンがやるべきこと・絶対にやってはいけないこと』(泰文堂)
菊原智明氏が抜粋「どうしてもここだけは読んでもらいたい!」
菊原氏がこの1冊を通して全ての営業マンに推奨する、クレーマーに対する向き合い方は、第2章『クレームを活かす!』の半ばに記されている。
高いお金を払ったからといって、長い時間をかけたからといって、それがあなたにとって有益なコンサルティングなのかどうかは、判断の難しいところでしょう。しかし、そんな不確かな情報やノウハウが氾濫するなか、あなたのそばにはすでに最高のコンサルタントが存在しているのです。
~中略~
最高のコンサルタントとは、クレームを言って下さるお客様のことなのです。
~中略~
何かとクレームをつけてくる、うるさいお客様と付き合うことになった時、《うるさい客だなぁ、もう勘弁してほしい》と思うか《自分や商品の弱点を的確に教えてくれる》と思うかで、その後の仕事の効率や意欲は格段に違ってきます。
~中略~
クレームを言うお客様は無料で的確なコンサルティングをして下さる、貴重でありがたい先生だと考え、いつでも素早く、前向きに付き合っていけるようにしましょう。
(『あんな「お客(クソヤロー)」も神様なんすか? 「クレーマーに潰される! 」と思った時に読む本』182~186pより抜粋)
菊原氏自身が受けたクレームを活用してトップセールスへとのし上がれた根底が、この考え方であるという。特に、クレームが集まりがちな“ダメ営業マン”にこそ、クレームが「営業活動最大の武器」になることに気付いてほしい、と菊原氏は続ける。
クレームからは逃げず、真正面から向き合うべし
「クレームはチャンス」という前提に立ち、菊原氏が確立した具体的な営業方法のひとつが、自社の商品について「過去にクレームになった事例」と「その解決策」を営業レター(お客さまに定期的に送るお役立ち情報)にして見込み客に送るというもの。住宅メーカーの営業マンだった菊原氏が実際に受けたクレームの一例は、次のような内容だ。
・2階にいるとインターホンの音が聞こえない!
・住んでから結露に気付いた! 営業マンは大丈夫だと言っていたのに!
「普通、クレーム事例は住宅メーカーとしては絶対に顧客に伝えてはいけないNG情報です。でも、顧客が見落としがちなリスクとその解決策をきちんと情報として提供することでまず信頼を得ていくわけです。例えば1つ目のクレームの場合は、『遮音性が高いと、音が聞こえにくくなるので、2階にもインターホンを設置しましょう』というように教えてあげるのです」
菊原氏がクレームを活用しようと考えるようになった理由のひとつとして、一生で一番大きい買い物である住宅という商品特性もあった。
「失敗できない買い物ですから、お客さまが後悔しないことを最優先に考えるようになり、デメリットと思えることはむしろ積極的に伝えるようになっていました。それがダメ営業マンからトップセールスへと躍進した頃の変化です。お客さまのどうしても譲れないというこだわりが自社の製品では満たせない場合は、他社の商品をおすすめしたこともあります」
あらためて菊原氏が強調するのは「クレームに真正面から向き合う」ことだ。
「クレームの内容がひどければひどいほど、営業マンはそのまま放置してしまったり、逃げてしまうもの。でもそれは、事態をさらに悪化させるだけで決して解決にはなりません。いざクレームに直面したら他の案件よりも優先順位を上げて、全力で向き合って処理することをおすすめします」
つらいクレーム処理から逃げたい気持ちは皆同じ。しかし、そこから逃げてばかりいては何の成長もないばかりか、さらに大きなクレームに発展しかねない。もしあなたが営業マンとして大きく成長したいと考えているのならば、あえて火中の栗を拾う気持ちで、クレームに正面から向き合ってみてはいかがだろうか。
取材・文/浦野孝嗣
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