流暢に話せなくてもいい!?新人でも相手のニーズが分かる営業マンになれる方法【ビジネス書3分リーディング】
4月に入社した新人営業マンも研修を終え、先輩のアポイントに同行させてもらうことも多くなってきた頃だろう。
同行中、新人の心を揺さぶるのが先輩営業マンの失敗や苦労している姿。そんな先輩の姿を見て、自分が独り立ちしても上手く営業ができないのではないかと自信をなくしてしまう人もいるはず。
そんな、営業という職種に不安な気持ちや恐怖心を抱いてしまった人にぜひ読んでほしい1冊が『日本一のセールスコンサルタント直伝 最高の営業デビュー』だ。
この本の著者であり、心理学を応用した独自の営業トークなどを使ったコンサルティングを3000件以上手掛けているセールスコンサルタント、経営コンサルタントの佐藤昌弘氏に、新人営業マンが営業への自信を持ち、デビューと同時に売上が上がるようになる方法を聞いた。
株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役 佐藤昌弘氏大学卒業後、大手都市ガス会社を経て住宅リフォーム会社を設立。約3年で年商約3億円にまで成長させてバイアウト。2002年にマーケティング・トルネード設立とともに現職。月商数万円の個人事業主から年商1兆円超の一部上場企業まで、マネジメントをはじめ人材育成、ブランディング形成など、多岐にわたるコンサルティングを行っている
佐藤昌弘氏が抜粋「どうしてもここだけは読んでもらいたい!」
本書ではメンタル面と営業スキルの2つの側面から売れる営業になる方法を説いている。
佐藤氏いわく、メンタル面は時間経過に伴う「慣れ」が解決してくれるが、営業スキルに関しては手法を学んだ上で、本人が繰り返し実践して学ばなければ身に付かないのだという。
この本の中で佐藤氏がこれさえ習得すれば売上は上がる、と挙げたのが「第四の営業スキル」として紹介されている「セールストークの肝は〔合意〕」の章だ。佐藤氏は「合意」の取り方について自動車メーカーのディーラーの営業を例に挙げて紹介している。
最初はイメージの付きにくい「合意を取る」という意味も、この実例を見ることで理解しやすくなるのだと佐藤氏は言う。
お客さん「CМで観た、○○という車はこちらですか?」
~中略~
営業「こちらは最近フルモデルチェンジをした○○です。燃費もこれまでよりもさらに良くなり、内装も良くなりました。カラーバリエーションもたくさんあります。また、オプションでカーナビも最新のものにすることができます。よろしかったら、試乗もできますよ」
~中略~
しかし、これはダメな例なのです。
どこに問題があるのでしょうか?
~中略~
お客さん「CМで観た、○○という車はこちらですか?」
~中略~
営業「まずは、ざっとご覧いただきましょうか? それとも前のモデルとの違いなどをご説明いたしましょうか? もしよろしければ、そのあとでも良いので、今乗っていらっしゃるお車のこととか、少し簡単にお話をうかがわせていただきたいのですが。そのような順番でお話を進めさせていただいて、よろしいでしょうか?」
~中略~
合意してもらえないのなら、そのまま先に進むべきではありません。
なぜなら、たとえば、「いや、ちょっと見に来ただけだから」とか、「まぁ、見るだけでいいんですけど……」など、お客さんが抵抗を示したのなら無理にヒアリングするのは逆効果だからです。
それ以外にも、お客さんが口ごもったり、「あ、はぁ。まぁ、ええ……」などと、返事がよどんだりした場合には〔合意〕はとれていないとみるべきです。
(『日本一のセールスコンサルタント直伝 最高の営業デビュー』135~137pより抜粋)
「合意」は相手のニーズを知るツール
佐藤氏が「合意」の重要性を説くのには、消費者がモノを買うとき、下記のようなプロセスを辿るからだという。
1 Emotion(感情)
2 Interest(関心)とInformation gathering(情報収集)
3 Compare(比較)とJudgment(判断)
4 Compromise(妥協)
「2のように、買い手が商品に興味を持ち始めて情報収集をしているときに『わが社の商品はこんなに良い!』と説明されても、比較対象がないので判断できません。そんなときには『この商品を選ぶときのポイントは……』と一般論を話した方がいいのです。一方、3のように、情報収集を終え、比較検討して結論を出そうとしているときには積極的に売り込んでもいいでしょう」
「合意」を取ることで、顧客が「関心と情報収集」の段階なのか、「比較と判断」の段階なのかを判断するのが佐藤氏が説くノウハウの肝。
「こちらからの情報提供に合意した上で、『弊社の商品の説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?』と合意が取れれば、そのお客さまは『比較と判断』の段階にいます。そこで合意が取れなければ『関心と情報収集』の段階にいるということなのです」
顧客がどの段階にいるかが分かれば自然とどんな情報を求めているかも分かる。つまり、相手のニーズに沿った提案ができるのである。そのためには顧客と良好なコミュニケーションを築くことが欠かせないが、先輩とのロープレによって身に付ける「流暢な営業トーク」は場合によっては逆効果とも佐藤氏は指摘する。
「あまりにも流暢にしゃべってしまうと、かえってウソくさいんですね。たとえ新人営業マンにありがちな、朴訥でしどろもどろな話し方でも一生懸命に話していることが伝われば、それが正直さや誠実さとして相手に伝わります。会社のロープレではトークの流暢さが求められがちですが、実は、最初の挨拶や雑談から、良い印象を与えられるかどうかという基本的なことが重要なんだと思います」
営業マンとして配属されたものの、つらそうにしている先輩の姿が見え、自分も売上を上げられないのではないかと不安に思っている新人たちも少なくないはず。しかし営業マン人生はまだまだ始まったばかり。「合意」で相手のニーズを明らかにすることで、独り立ちからいきなりスタートダッシュを切れる可能性は十分にあるだろう。
取材・文/浦野孝嗣
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