成約率98%の営業トーク! お客さまの「買う覚悟」を後押しするコツ【ビジネス書3分リーディング】
契約をとってナンボと言われる営業の仕事であるが、常にいい成績をキープし続けるのはなかなか難しいのが現実……。そんな営業マンが、思わず手にとってしまうようなタイトルの本が『成約率98%の秘訣』だ。
提案から受注に至る率を「成約率」とした時、その平均は30%であるという。タイトルの98%という数字は著者の和田裕美さん自身が外資系教育会社の営業職だった頃、実際に達成していた数字だ。現在、多くの営業マンにコンサルティング活動を行っている和田さんに、『成約率98%の秘訣』の中から「売れる営業」になるためのノウハウについて聞いた。
和田裕美事務所株式会社 代表取締役 和田裕美さん英会話学校の事務職を経て外資系教育会社のブリタニカに営業職として就職。独自の「ファンづくり」に徹する営業スタイルで、プレゼンした顧客の98%から契約を獲得し、世界142カ国で2位のトップセールスに。短期間のうちに昇進を果たして、社内で2万人に1人と言われる支社長に女性初・最年少の記録で就任。2005年6月に和田裕美事務所設立とともに現職
和田裕美さんが抜粋「どうしてもここだけは読んでもらいたい!」
今回紹介する『成約率98%の秘訣』では、営業職がどんなトークを展開すれば顧客を成約へと導いていけるかが具体的な会話とともに紹介されている。
和田さんは、そのノウハウがよく理解できる不動産営業でのケースを取り上げた。
▼シーン説明
中学2年生のお嬢様と奥様の3人暮らしをされている鈴木さん。お嬢様の受験にむけて一人部屋を与えてあげようと分譲マンション購入をご検討されています。担当営業も必死になってご希望に沿った物件をいくつか紹介し、ようやくお嬢様も奥様もすごく気に入って全員が納得のいく物件を見つけることができました。
ところが、いざ契約というときに鈴木さんのお母様から「ローンが払えなくなったらどうするのか?」などと反対されてしまい、鈴木さんは不安になって次第に買う気が失せてしまったようです。
~中略~
×やってしまいがちなトーク 失敗編
鈴木:(中略)家を買うって一生に一度のことですし、ローンを背負っていくのが怖くなってきたんです。
営業:(中略)いろいろ考えすぎると決断できなくなってしまいます。それにあの物件はかなりの人気の物件ですので、「やっぱあそこに」と思ったタイミングでは空きがある保証はありませんよ。鈴木さん、チャンスを逃してしまいますよ、いいのですか?
鈴木:(中略)母にも心配されていますし、全員が一致するまで待ったほうがいいのかなって。(後略)
営業:なるほど。しかし、買うのも住むのも鈴木さんです。お母様ではありません。言いなりにならないほうがいいのではありませんか?
鈴木:いや、そう言われても……。
営業:せっかくここまで探したのですから決めてしまったほうがいいかと。
鈴木:……。
営業:それに、前にも言いましたが、今ですと消費税が上がる前ですので、こんなに安く……。
鈴木:いや、やっぱりもう少し考えます。あの、考えてからまた連絡します。
営業:えっ? あ、あの、では、前向きにご検討ください。
~中略~
▼解説
一番の失敗は営業がいきなり「チャンスを逃してしまいますよ、いいのですか?」と決断を迫っていることです。
~中略~
こういう状況では、まずはお客様の不安ととことん向き合って、営業が相手の状況を理解し、相手の気持ちに沿ってみることです。
~中略~
○YESを引き出すトーク 成功編
鈴木:(中略)家を買うって一生に一度のことですし、ローンを背負っていくのが怖くなってきたんです。
~中略~
鈴木:(中略)あとは母ですね。もう一度だけ、母と一緒に物件を見させてもらっていいですか?
和田:はい、私もそのほうがいいと思います。(中略)どうでしょう、お母様に今から来てもらうのは難しいですか?
鈴木:えっ、今からですか?
和田:はい、できれば……そのほうがいいと思います。
鈴木:あ、わかりました。電話してみます。
和田:(中略)鈴木さんがちゃんと決心して、周りには「もう決めたことだから。一生懸命がんばるから応援してくれよ」と伝えてほしいのです。それに、これは一家の主である鈴木さんご本人が、自分の家族のためにされたご決断なのですから。
~中略~
▼解説
ここでは「あなたの決断ですよ」ということを明確にしておきます。人は自分の「決断」にはあとで文句が言えないのです。できるだけ責任をとるという意識が生まれます。しかし、決断を自分以外の誰かにしてもらったり、もしくは、「これは自分で決めた」という意識が薄いと、あとになって「○○さんが言ったから」「○○さんの意見だったし」と責任転嫁しかねません。
(『お客様が心の底からYESになる 成約率98%の秘訣』100~117pより抜粋)
「売るための手順」を知って効果的なクロージングを
和田さんが成約率98%を達成した背景には、和田さん独特のクロージング法がある。彼女はそれを「クロージングのサンドイッチ」と呼ぶ。
「営業には必ず売れるようになる『売るための手順』があると私は思っています。これは【1】見込み客選び【2】ニーズを聞く【3】即決アプローチをする【4】商品説明をする【5】締結を求める【6】継続のためのケアという6つの行動から成り立っています」
このうち【4】の商品説明のプロセスを【3】と【5】というクロージングトークではさむのが和田式クロージング術の大きな特徴だ。
「私は具体的な商品の説明をする前に『話を聞いて気に入ったら、ぜひ決めちゃってください』とお客さまに覚悟させることを行っています。この一言があると、お客さまが話を前のめりになって聞いてくださるんです。話を聞いたら申し込むか、断るか、どちらか判断しなくてはならないという心理が働くので、真剣に話を聞いてもらえるようになるんです」
ただし、このテクニックはそのまま試せば『売れ続ける営業』になれるというものでもない。営業マン自身が「自分が売っているのはいい商品だ」と心から感じ、自信を持った上でなければすぐに見破られてしまうと和田さんは言う。
「ただ売れるだけではなくて『売れ続ける営業』になるためには、買っていただいたお客さまにファンになってもらわなくてはいけません。ですから自分が自信を持って売りたい商品でお客さまを幸せにしたい、と考えられないのであれば、それを売るのは今すぐやめて、商材を変えるか、転職してもいいと私は思います」
商品やサービスを手に入れると、顧客にとってどんなワクワクが待っているのかを具体的に語れるのが良い営業マンと話す和田さん。顧客にとってのメリットや将来展望を、まずは営業マン自身がワクワクしながら話し、顧客が「買う覚悟」をするのを後押ししてあげる姿勢がもっとも大切と言えそうだ。
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取材・文/浦野孝嗣
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