三木谷浩史氏ら日本経済の新リーダーたちに聞いた「もしあなたが“株式会社日本”の営業部長なら何をする?」
2016年4月7日~8日の2日間、一般社団法人新経済連盟が主催するグローバルカンファレンス、『新経済サミット2016』が開催された。
その中で『超観光立国(おもてなし立国)への道のり』と題し、日本という商品の魅力をどのようにして引き出すかというセッションが行われた。
そこで営業typeでは、「あなたがもし“株式会社日本”営業部長だったら何をするか」という質問を、日本を代表する8人のトップリーダーたちにぶつけてみた。
8人のリーダーたちが考える「日本の売り方」
■株式会社クラウドワークス 代表取締役社長CEO 吉田浩一郎氏
「Gateboxなど、海外の人から魅力的に感じられるオタク文化の発展を扱うスタートアップ企業を支援していく」
■ソースネクスト株式会社 代表取締役社長 松田憲幸氏
「日本食に対する魅力は海外でとても強い。情報を発信していく」
■楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏
「“Night time economy”を活性化していく。クラブは24時以降の営業が禁止されてしまったが、若い外国人観光客の間では24時以降何をしたらいいか分からないという人も多い。夜のマーケットは実は大きい」
■株式会社オプトホールディング 代表取締役社長CEO 鉢嶺登氏
「グループ会社が(中国のメジャーなSNSである)Weiboのつぶやきを分析した結果、1年前は東京など、都心に観光に来ている中国人観光客が多かった。今は、中心の観光地だけではなく、地方の観光地についての投稿も多くなってきた。地方の観光地の魅力を発信していきたい」
■楽天コミュニケーションズ株式会社 代表取締役会長 平井康文氏
「インバウンドの観光客に対して広域のWi-Fiを提供し、格安のSIMサービスを提供する」
■楽天株式会社 執行役員トラベル事業長 山本考伸氏
「中国、欧米というようなマーケットごとに、若者向け、ファミリー向けなどさまざまなインフルエンサーを社内に採用して各マーケットに情報を発信してもらう」
■株式会社ベンチャーリパブリック 代表取締役社長兼CEO 柴田啓氏
「日本人ばかりのチームではなく、さまざまな人種・国籍の人をチームに入れて、施策を考える」
■株式会社星野リゾート 代表取締役社長 星野佳路氏
「その国のインターネット事情に詳しい人を採用する」
キモは情報発信と商品力強化
リーダーたちの意見は情報発信と、商品力強化という2つに大きく分かれた。まず、情報発信の強化について言及したのは8人中5人。
星野リゾートの星野氏、楽天トラベルの山本氏、オプトホールディングの鉢嶺氏は、ネットでの情報発信を有効だと考えている。
また、ネットに限定しなかったが、ソースネクストの松田氏は、海外での商品価値が高い日本食の情報を発信していくと述べた。
その情報発信を下地づくりから考えているのが楽天コミュニケーションズの平井氏だ。日本は4Gなど、ネットワーク回線の品質は高い。しかし、そのネットワークへのアクセススポットが少ないのが現状だ。InstagramやFacebookで拡散してもらうためにはその機会を増やさなくてはならないのは納得のいくところである。
一方で、楽天の三木谷氏は24時以降の娯楽の拡充、クラウドワークスの吉田氏はオタク文化を伸ばすためのスタートアップ支援という視点から、商品力の強化に言及した。
現在の日本の商品開発の体制に疑問を呈したのは、ベンチャーリパブリックの柴田氏だ。
「経済同友会を見ても、現在のそもそも日本人ばかりのチームで考えていこうとしているのが間違い。さまざまな人種・国籍の人をチームに入れて、施策を考えなければいけない」(柴田氏)
前述の『超観光立国(おもてなし立国)への道のり』のセッションでも、登壇者から「外国人のブロガーを移住させて、自分が思う日本の好きなところを情報発信してもらえばいい」という意見が上がっていた。
ユーザーニーズを酌み、商品開発に生かす。そして、ユーザー自身に発信・拡散してもらう。それがこれからの「売り」の基本なのかもしれない。
取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)
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