転職 Vol.268

大きく稼ぎたいなら「個人向け・有形」! 商材・顧客別の年収について調べてみました【連載:営業アナリティクス】

気になるウワサをデータで検証
営業アナリティクス
巷でささやかれている営業にまつわるいろいろなウワサ。それらが事実かどうか、転職サイト『@type』のデータと、市場動向の2つの視点から検証します

営業という仕事において、まことしやかにささやかれている「有形商材よりも無形商材の営業のほうが難しい」「法人向け営業より個人向け営業のほうが辛い」というウワサ。

もし、難易度に応じてそれに見合った給与が支払われているのであれば、無形商材・個人向け営業の年収は高くなりそうなものだ。

その営業の年収にまつわる疑問について@typeの求人のデータを基に、キャリアデザインセンターのデータサイエンティストとマーケティングディレクターに分析してもらった。

果たして一番稼げる営業職とは?

株式会社キャリアデザインセンター データサイエンティストの仲田新、同マーケティングディレクターの菊池健生

(写真左から)株式会社キャリアデザインセンター データサイエンティストの仲田新、同マーケティングディレクターの菊池健生

※記事中の表は@typeに掲載している求人、各50社のデータから抽出

一発当てるなら「個人向け・有形」
景気に左右されず安定して稼ぐなら「法人向け・無形」

仲田:まずはこの表を見てください。これは@typeに掲載中の営業求人を個人向け、法人向け、有形、無形の4つの象限に分類し、それぞれの年収の最高値の平均を出したものです。

営業マンの年収の最高値の平均の表

菊池:こう見ると、個人向け営業のほうが法人向けよりも最高年収は高い水準にありそうですね。

仲田:はい。一番高いのは「個人向け・有形」となっていますが、これは例えばどのような業界でしょうか?

菊池:これはおそらく自動車や不動産などの高額商品が多いんじゃないかと思います。つまり、個人の成績に応じてインセンティブが支給されるような営業ですね。そういう業界の営業だと、トップ営業マンと売れない営業マンの給与の幅が大きいような気がするのですが。

仲田:一方、こちらは同じく営業を4象限で見たときの年収の最低値の平均です。菊池さんの予想通り、法人向けに比べて個人向け営業のほうが年収の最低値は低い傾向がありますね。

営業マンの年収の最低値の平均の表

菊池:このあたりは年収に占める固定給とインセンティブの割合によるものかと。個人の無形が327万円と最も低いですが、これは保険などの金融商品を扱う営業求人が当てはまります。売れれば稼げるけど、売れなければあまり稼げないという触れ幅が大きいのが特徴です。

仲田:逆に法人向け営業は、給与ベースは安定しているものの、インセンティブなどでの増え幅は少ないようです。その「幅」でいうと一番大きいのが「個人向けの有形商材」で645万円、一番小さいのが「法人向けの有形商材」で226万円です。

菊池:「法人向けの有形商材」というと、飲食店に食材や飲料を販売するメーカーや、不動産業者に建材を卸す企業、また、オフィス向けOA機器やMRなども含まれますね。「衣・食・住」などのインフラに近く、景気に左右されにくい業界が多いですよね。でも、MRと聞くと年収高いイメージですけどね。

仲田:MRはそもそも募集している企業の絶対数が少ないため、平均値を上げるほどのパワーがないんだと思います。

菊池:なるほど。あと特に「法人向けの有形商材」の最高平均が低いのには業界構造的な問題があると思います。

仲田:というと?

菊池:大量に在庫を抱える必要があるということです。材料費や製造費、また、保管しておく場所代など、固定費が大きい。そのため、営業のインセンティブに還元しにくいということもあるのかと。その点、無形商材なら在庫を抱える必要がないですからね。

仲田:そういう意味では、有形商材が必ずしも景気に左右されにくいわけではないんですか。つまり、営業スキルに自信があって、バリバリ稼ぎたいという人なら「個人向けの有形商材」、景気に左右されず安定した金額を稼ぎたいという人であれば「法人向けの無形商材」がオススメということですね。

取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)


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