「夢がない」ことに悩むな。周りが君を悩ませようとしているだけだ／芦名勇舗

芦名勇舗氏

1989年生まれ。アメリカンフットボール選手として慶應大学と日本代表U-19の主将を務める。電通に入社し、コピーライターとして活躍。その後プルデンシャル生命に入社し、25歳で最年少営業所長に就任した。米国ハリウッドに渡り舞台『blood』で俳優デビュー。約１年間の無職期間を経て、芦名表参道(株)を設立。著書に『突き抜ける人は感情で動く』（文藝社）

【お悩み】やりたいことをやれ、といわれても夢がありません

Q:営業職になって４年間、目の前の仕事をとにかくガムシャラにこなしてきました。お客さまに感謝されたり、会社で表彰されることには充実感を感じています。しかし将来のことを考えると、自分がどういう人間になりたいのか分かりません。「将来やりたいこと」が分からないのですが、このままでいいのか不安です（27歳／法人営業／女性）

そうなんですね。では逆に、やりたくないことはありますか？ こういう女にだけはなりたくない、とか。

――自立してない人にはなりたくないです。私は「自分は田舎者だ」というコンプレックスがあるので、東京で買い物したり友達と飲みにいけるくらいには稼ぐ、というのに大きな意味があるんです。でもそれってすごく平凡ですよね……

それでいいんじゃないですか？周りの人に「どうなりたいの？」と言われることもあるかも知れませんが、そんな人間の価値観に振り回されなくていいんです。

そういうお節介なアドバイスをしてくる人は「自分は上手くいってる、自分は将来を考えて生きてる」という自負があるんです。人間って、自分が持ってるものを他人に押し付けたくなるんですよ。

例えば、お金を持ってる人は「お金を稼いだほうがいいよ」と他人にアドバイスするだろうし、お酒が強い人は「お酒も飲めないんじゃしょうがないぞ」って言ったりするんです。 お酒の強さや、年収とその人の人格や幸福度は比例するわけではないのに。

――それでも、友達同士で将来の話が出ると、苦しくなっちゃうんです。

苦しくなる相手を選ばなければいいんです。大人は、誰と付き合うかを自分で選べるんですよ。学生時代の癖が抜けず、このクラスで３年間過ごさないといけないわけじゃない。多くの人は悩んでいるのではなく、周りに悩まされてるんです。

人間関係も環境も時間も、自分で決めてみてください。必ずあなたにぴったりの環境や仲間がいるはずです。見つかるまでは「仕事を変えるなんてブレてる！」、「社会をなめるな！」とか思考を諦めた大人たちに詰められるかも知れませんが、進み続けてください。

――悩まされている……そうかもしれません。私はいつもいろいろなことに悩んで迷宮入りして、迷子になっちゃうんですよね……芦名さんはどうしてるんでしょうか？

僕は迷子になったとしても、迷子じゃないって顔で歩いていますからね（笑）。もちろん、迷わないわけではないですよ。だって電通に入社して早々に辞めてる時点で「人生迷子になってるなコイツ」って思いません？（笑）

でもそれは周りの人が勝手に「芦名は迷ってる」と思っているだけ。人は皆、誰かを迷子にさせたがってるんですよ。

僕が転職して結果を出したときは「芦名は迷ってた」なんて言う人は一人もいなくて、「あいつはいいタイミングで決断したよ」とか言われるものなので。結局当時、僕の周りで僕の可能性を一番信じていたのは、僕しかいなかったんですよ。それが分かれば、少しは楽になるかもしれませんね。

他人に決めて貰えば楽ですが、失敗したときに他人のせいにしてしまいます。自分で決めれば大変ですが、心から反省して自分のせいにできます。成功なんてラッキーでしかないので、失敗したときに他人のせいにしない生き方ができれば僕は良いと思います。

Ashina’s Power Word

うまくいかないことが怖いなら
成長したいだなんて言うな。
うまくいかず、自分の実力を知って
そこから戦略と実践が生まれるんだ。
人間は自分の実力を認めるのが怖く、
失敗を他人のせいにするのがうまい動物だ。

――『突き抜ける人は感情で動く』（芦名氏著・文藝社）p31より

取材・文／大室倫子（編集部）　撮影／桑原美樹

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