堀江貴文・古市憲寿が語る“ぬくもり営業”の重要性――ムダに思える“訪問営業”はなぜ拡大する?
あと10年で、人間が行う仕事の約半分はAIやロボットに奪われる――そんな衝撃的な予測が話題となってから久しい。実際、海外では無人コンビニなども普及し、国内でもセルフレジを導入する企業も増えた。街から“売る人”の姿が減っているような感覚もあるが、堀江貴文さんと古市憲寿さんは「セールスはAIに代替されない職業だ」と語る。
その理由は何か?2018年2月3日に開催された『ホリエモン万博』内の、二人の対談の一部を紹介しよう。
セールスはAIに代替されないどころか、今後拡大していく職業だ
「先日、鹿児島のある街にいったときにふと疑問に思ったことがあるんです」(古市)
そう話し始めた古市さんが訪れた鹿児島県の街は、高齢者ばかりの過疎地。彼はこの町で、ある疑問を感じたという。
「今時、ラインの一斉送信ではなく防災無線で一斉連絡を取り合うような街。お世話になった家があるので、お礼には何が嬉しいかなと真剣に考えたら、羽毛布団かも知れないと思ったんです。よくお年寄りが高級布団なんかを訪問販売で売りつけられる事件ってあるじゃないですか。老人を狙った悪徳商法みたいな。でもそれって案外、そういう地域のお年寄りのためにもなっているんじゃないかなって思ったんですよ。だってセールスがくることで軽くて温かい高機能の布団が手に入るわけでしょう? 意外とWin-Winじゃないかなって思ったんです」(古市)
法外な値段で売りつける悪徳商法には問題があるが、訪問セールスの必要性については堀江さんも納得した。
「お年寄りはとにかく誰かと話がしたい人が多いみたいだよね。僕の友人の話だけど、その人の母親が携帯の使い方を店員さんに教わりに、わざわざ1時間近くかけて出かけるんだって。彼はそんな非効率なことをなぜするんだっていうんだけど、結局お母さんは人と話す理由が欲しいだけなんだよね。でもただ話したいから、っていうのも寂しいから『私は携帯の使い方を知りたいだけだ』ってそれらしい理由をつくってるんだと思う。話すっていう行為が欲しくて、わざわざ非効率なことをしに行ってるの」(堀江)
人とコミュニケーションを取る、という欲求を満たしたい。最近ではAIも人間同様に話ができるようになったが、それでは代替できないのだろうか。古市さんも「それって、AIとか、Pepperみたいなロボットで置き換わるんでしょうか? 」と聞くが、堀江さんは否定した。
「人間同士のセールスやコミュニケーションがPepperに代替されることはないと思う。人には、話したいという欲求もあるけど、究極にいうと他人に触りたいし触られたいという欲求があるから。だから人と話すことで温度を感じたいんだよ。でも人って、その言い訳がほしいんだよね」(堀江)
「何かを買うから話を聞いているだけだよ、っていう言い訳ですね。確かに誰だって自分が『寂しい人』だって思われたくないですからね。では、セールスの仕事って今後はなくならないんでしょうか?」(古市)
「なくならないどころか、今後はもっと拡大していくんじゃないかな。皆恥ずかしくて『話したい』って願望を言わないけど、いろんなものが自動化されるほどその欲求はこの先ますます顕著になるはずだから」(堀江)
コミュニケーションを要するセールスなどの職業はAIに代替されない。これは両者ともに納得する結論のようだ。
成長に必要なキーワードは「インプット」だ
では、そんなAI時代に二人はどうやってそれぞれの仕事に向き合っているのか。両氏の対談を聞いていると、「インプット」というキーワードが多く出てきた。
「僕は自分が楽しいと思う仕事しかしてないから、今日は仕事したくないなっていう日がないんですよ。講演会の仕事なんかも頼まれてする時もあるけど、それだとアウトプットしかないからつまらないんだよね。自分の勉強にならないじゃない。だから今日みたいに誰かと話すインプットの仕事も大事にしてる」(堀江)
「僕も噂好きっていう性格もあるけど(笑)、いろいろなことをインプットして知っておきたいんですよね。というか堀江さんってそれだけ毎日各方面にファイティングポーズを取っていて、体力の衰えとかないんですか?」(古市)
「ないよ。さっきも言ったけど自分が楽しいと思うことしかしてないし、いろいろな人の話を聞いてインプットしているから学びしかないよね。日々インプットを欠かさないこと、あとちゃんと運動することの2つが大事だと思う」(堀江)
「堀江さんがすごいのは、もう怖いものが何もないということ。逮捕や刑務所へ収監された経験があるのに、こんなに幸せそうに活き活きと活動してる。よく起業家や評論家は『お前は社会のどん底にいる人のことを分かっているのか』と批判されるけど、堀江さんは刑務所にいた経験まであるわけですからね」(古市)
「そうだね、最近はもはやつっこみどころがなくて皆困っているみたい(笑)。『週刊文春』とかもね。周りの人も、『俺はホリエモンに負けている部分もあるけど、でもあいつは前科あるしな』って下に見てくれるから楽だよ。だから自分の好きなことができるっていうのもあるね」(堀江)
日々インプットを怠らず、自分が楽しめる仕事を自ら勝ち取っていく。堀江さんのようには大胆になりきれなくても、これは営業マン一人ひとりが今後の成長のために心に留めておくべきポイントだろう。仕事を楽しむ、“温度”の高いぬくもり営業は、AI時代も無敵の存在だ。
取材・文・撮影/大室倫子(編集部)
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