キャリアVol.555

「男が女に経済力を求めたっていいじゃない」いつかは結婚したい男子が今すぐ捨てるべき3つの常識/男性学 田中俊之さん

先週末は父の日だった。5年後、はたまた10年後? 自分も結婚して、父になる日がくるんだろうか。

「いつかは生涯の伴侶を見つけて、自分の家族をつくりたい」。そう思ってはいても、最近は未婚率が上がっていると聞くし、結婚したとしても3組に1組が離婚してしまう時代。ではどうすれば、一生を共にできるパートナーと結婚することができるんだろうか?

「男性学」の専門家・田中俊之先生に聞いてみたら、結婚したい20’s男子が今すぐやるべきことが分かってきた。

大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中俊之さん

大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中俊之さん

1975年生まれ。男性学・社会学を専門とし、「日本は“男”であることと“働く”ことの結びつきがあまりにも強すぎる」と警鐘を鳴らす。単著に『男がつらいよ』(KADOKAWA)、『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社+α文庫)他。一児の父として育児にも奮闘中

「結婚=幸せ」な時代は終わった。
父親世代の結婚観に憧れない20代

晩婚化が叫ばれ、未婚率は年々上昇している。2015年の国勢調査によれば、男性の世代別未婚率は25-29歳が72.7%、30-34歳は47.1%、35-39歳は35.0%といずれも過去最高水準となった。ではなぜ、人々は結婚から遠ざかってしまったのだろう。

それは現代で、結婚=幸せ、ではなくなったからです」と田中先生は断言する。

結婚したといえば、周りの誰もが祝福してくれるし、結婚式という輝かしいセレモニーで晴れやかに船出を迎える。新婚生活からは幸せな日々が待っている……というのは、どうやら甘いらしい。

「確かにかつては、結婚は幸せの象徴でした。高度成長期以降の日本では、男性がサラリーマンとして外で働いて、女性が家で家事や育児などに勤しむライフスタイルが憧れの的。なぜなら彼らの多くは、地方から上京してきた人たちだったからです。地元にとどまっていたら農家や漁業といった家業を継ぎ、一家総出で働かねばなりません。けれど東京へ出てサラリーマンになったら、夫1人だけ働けば家族全員食べていける。団地に住み、洋式の暮らしをし、スーツを着て、親よりいい暮らしができる。給料制ですから天候などに左右されず、長期的な人生の展望も持てる。企業にとっても、夫・父親である男性さえ雇っておけば、家事や育児は妻に任せる前提で、ある程度までは無制限に永続的に働かせることができた。どちらにとっても“うま味”があったわけです

だから親世代はこぞって結婚したし、帰省するたび「結婚しろ、所帯を持て」と迫る。もちろん、よかれと思って。けれど今、若者の多くは親のような生き方には憧れないという。

「今の20代は、自分もサラリーマン、親も祖父もサラリーマンというケースが増えてきています。サラリーマンは珍しいものではなくなり、いまや平凡の象徴になりました。実家を出ても、親より良い暮らしなんてできそうにない。そんな風に高度成長期の夢から醒めた時、自由がなくなりそうだ、責任が増えそうだという結婚のデメリットに目を向ける人が出始め、結婚から離脱する人が増えてきたとしても不思議ではありませんね」

「付き合ってた時はあんなに世話してくれたのに……」
不平等な恋愛の先に、平等な結婚生活はない

多くの人が当たり前のように結婚していた時代と今では、若者たちの何が変わってしまったのだろう。

「かつては、男は仕事、女は家庭だったため、恋愛で築き上げた『リードする側、される側』という不平等な関係性を結婚後もそのまま継続できた。ところが今は、個人の収入が下がり共働きは必須です。お金を稼ぐことも、家事も育児も男女が平等に分担していかなければ生活していけなくなりました。恋愛の時に形成された『男がリードする側/女はリードされる側』という不平等な関係性が邪魔になります

大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中俊之さん

「女性は自分からアプローチせず、男性が誘ってくるのを待つしかないというスタイルは昔からありますが、現代でもその風潮はさほど変わっていません。それは付き合い始めても同じ。未だに男性が運転席に座り、女性は助手席で飲み物を差し出している光景が普通ですよね。女性が男性のサポートをする立場、という風潮は未だ強い。

結婚後にこの不平等を解消しようとしても、うまくいかないんです。男性からしたら『付き合ってた時はあんなにお世話してくれたのに、なんで結婚した途端に家事を強要されるの?』、女性からすれば『うちの夫は、家事も育児もしてくれない』。恋愛の時にやっていなかったことを、結婚後にできるわけがないんです。こうしたすれ違いが、恋愛結婚にはあらかじめ含まれているわけです」

近年、結婚相談所やマッチングサイトで出会い、結婚するケースも増えてきているが、そういう人たちも含めて現代ではほとんどの人が恋愛結婚をしている。にもかかわらず、恋愛結婚は今の社会に適していないのだろうか。

「かわいい、若い、オシャレなどといった恋人としての魅力は、結婚相手としての魅力と合致しません。結婚は、生活です。丈夫、我慢強い、家事スキルが高いなど、生活に直結する項目を重視した方が、結婚相手を選ぶ上では合理的なんです」

生涯のパートナーを求めるなら、「男たるもの」を捨てよ

ではこれから、生涯を共にするパートナーを選ぶとしたら、どんな方法がベストなんだろう。お見合い? 「逃げ恥」みたいな契約結婚? それとも、新たな「第三、第四の手」が出現するのだろうか。すると返ってきたのは意外にも「信頼できる人からの紹介がいいのでは」という答えだった。

「目新しさはありませんが、信頼できる知人から見て、あなたに合う人を紹介してもらうのが良いのではないでしょうか。自分が思う恋人としての魅力と、傍から見て自分と性格の合う人は意外と違うものです。客観的に見て、結婚にお似合いな人を選んでもらうというのは理にかなっています。『逃げ恥』のような契約結婚も非常に合理的ですね。自分たちにとってのメリット、デメリットを考え、どこが譲れて、譲れないかをすり合わせしてから生活を始めるわけですから」

確かに、今は本や物を買うときでも、友だちがSNSで紹介していた、尊敬する人がレビューしていたなど、信頼できる人の紹介がきっかけになることが多い。あるいは自分の趣味嗜好を知り尽くしているAmazonやGoogleが提案してくれたものを購入することだってある。結婚もそんなふうに「レコメンドスタイル」で挑むのは、実はとても現代的な方法なのかもしれない。

大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中俊之さん

これほど世の中が変化している時代に結婚という選択を下すのなら、必要なのは今まで当たり前だと思っていたことを一つ一つ見直してみることが不可欠だ、と田中先生は続ける。

「まずは恋愛結婚でなければならないという価値観を捨てること。運命的な出会いをやみくもに探すより、結婚相手を紹介してもらえるような信頼できる友人知人がいることの方がよほど重要です。それから、『男たるもの一家の大黒柱として家計を支えなければならない、一生働かなきゃいけない』といった、終身雇用時代につくられた理想の男性像を捨てること。そして女性に経済力や学力を求めてはならない、という価値観も今や無意味ですね。こういった、これまで常識とされていたものを、果たしてそうだろうかと疑い、思い切って捨てることが、“平等な関係を形成できるパートナー”との結婚への近道になるはずです」

結婚、家族、働く環境……いろいろな“こうあるべき”が変化していく今、人生のパートナーを見つけたいならまずは、世の中の「男はこうあるべき」という常識を疑ってみること。そして、自分にとって幸せとは何か、生きやすさとは何か、本質を改めて考えることが、これからの「結婚」には不可欠のようだ。

取材・文/石川香苗子 撮影/大室倫子(編集部)

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