キャリアVol.558

「電通も博報堂も、まともなマーケティングが出来ていない」広告・コンサル業界トップたちが次世代に求める人材要件

5月16日に行われた『Advertising Week Asia 2018』。電通、博報堂、アクセンチュア……日本を代表する広告・コンサル業界の錚々たるメンバーが「このままだと日本企業はヤバイ」と警報を鳴らした。業界トップが語る“ヤバイ”とはどういうことなのか? そして、そんな業界の未来を変えるためには、これからどんな人材が必要になるのだろう。

トークセッション「日本はヤバい!?~広告&コンサル業界デジタルリーダーからの提言~」内から紹介しよう。

募集
(左から) 株式会社電通デジタル 代表取締役社長COO 鈴木禎久さん
アクセンチュア株式会社アクセンチュアインタラクティブ日本グループ統括/株式会社IMJ 代表取締役社長兼CEO 黒川順一郎さん
株式会社博報堂(兼)博報堂DYメディアパートナーズ 執行役員 安藤元博さん
株式会社イグナイト 代表取締役社長Executive Producer笠松良彦さん

世界で進むデジタルマーケティング。しかし日本の現状は……

昨年の同イベントで、同じメンバーによって行われたトークセッションテーマは、「コンサル会社vsエージェンシー」。対して今年は「日本はヤバい」と銘打つ。

イグナイト・笠松「世界の時価総額ランキングを見ると、上位企業のほとんどがアメリカか中国なのは一目瞭然です。日本企業はというと、下の方にようやくトヨタがランクインするくらい。平均年収の国別ランキングでも、日本の水準は極めて低いんですね。稼ぎ方も含めて、日本は何かがおかしいということを我々は強く感じています

笠松さんは、中国企業の圧倒的な躍進についてこう続ける。

イグナイト・笠松「中国で現地企業が考えているビジネスモデルを聞くにつれて、正直鳥肌が立ちました。日本企業がずっと『顧客第一主義』と言って悪戦苦闘している中で、中国企業はデジタルの力を使ってそれを軽々と実現している。日本はこのままだと世界から置き去りにされます。本当にやばいなと思いました」

博報堂・安藤「その中国企業がやっていることはデジタルマーケティングと呼ばれますが、今後は経済のデジタル化が企業の成長に関わってきます。デジタル情報固有の経済面の特徴は、複製するのにコストがかからず、リソースが有限でないということ。『プラットフォームの経済学』の著者は、『電子の世界のアイデアは使ってもすり減らない』と言っています。デジタルのアイデアは掛け算で組み合わされて、爆発的に増えていくでしょう」

募集

電通デジタル・鈴木「現場にいると、マーケティングの中に特殊なデジタル領域があるような気がしちゃうんですが、まずはその発想を変えなきゃいけない。従来の広告枠とか棚をおさえるということではなく、人の状況に合わせてインタラクティブになっていくという発想に変えていかないとダメだなと思います。例えて言うと、お店を駅の近くに作って、来てくださいねっていうのがこれまでのマーケティング。これからは通っているお客さまに、私たちが寄り添うことを考えなければいけません」

イグナイト・笠松「マーケティングという大きな領域にデジタルが入ったことによって、今までできなかったことができるようになった。ただ、デジタルマーケティングで全て解決できるわけではなく、あくまで人を中心とした生活の中にデジタルが入ってきているだけの話です。『デジタルとかオフラインは関係なく、全てがカスタマーエクスペリエンスだから、そこを上げなければ意味がない』ということを中国の人たちが言っていたのが印象的でした。

ではマーケティングにデジタルをどう取り入れるのか。自己反省も含めてですが、そもそも今、ほとんどの日本企業でマーケティングをロクにやっていないんじゃないかと思っています。炎上しそうな発言ですが……(笑)。でも、そう考えた方が実態に合っている気がします。生活者と企業のリソースを突き合わせて、新しい価値を生むのがマーケティングだと僕は定義しているんですけど、電通や博報堂も含めて、それをまともにやっている企業がどれだけいるのかは怪しいと思います」

今後の日本に必要なのは「横の連携」。
広告でもコンサルでもない、新しい領域に踏み込むべき

イグナイト・笠松「世の中がデジタル化されて変わっていくとしても、広告業界もコンサル業界も、クライアントの事業の成長をつくる、もしくは支援をしていくことは変わりません。今後日本企業が成長するために、何が必要だと思いますか?」

電通デジタル・鈴木「事業をもっとお客さま視点で考えることが、新しいステップになると思っています。企業のドメインがマーケットに合っていないケースもあるから、そこをつくり変えることも考えたいです」

アクセンチュア・黒川「消費者からすると、日常の体験には複数の企業やサービスが関わっているじゃないですか。例えば旅行に行く時に、空港までのバスを調べて、チェックインをして、飛行機に乗って、ホテルを探す。この一連の流れの中に何社会社が入るのかって話ですよね。そこをつなげるためには、我々みたいな人間が入っていく必要があると思うんですけど、なかなか難しいですよね」

イグナイト・笠松「確かに難しいと思うんですけど、それができれば、ものすごい数のビッグデータが集まるはず。プラットフォーム自体は理にかなっているから、マネタイズもできると思います」

電通デジタル・鈴木「中国ではお客さまを中心にしたこういったビジネスが、企業同士でできている。日本でも企業同士でデータをやり取りしながら、お客さまにとっての良いビジネスを提供するためにできることは無限大にあります。そのために私たちは縦じゃなくて横に連携しながら、広告でもコンサルでもない、新しい領域に踏み込みたいですね。それが事業を成長させると思っています」

博報堂・安藤「100%賛成です。アイデアが組み合わさって価値を生み、とてつもない企業が生まれる。デジタルではこういうことがやりやすいですが、日本の場合、ぶっちゃけた話をすると、電通も博報堂も大して成長してないじゃないですか。業界としての対話は昔からあるけど、どういう提案ができるか、何ができるかといった、アイデアの交換はこれまでなかった。広告業界の中だけで従来のことをやっていてもダメで、横の連携を考えていかないと成長なんてしないと思います」

日本のマーケ業界に必要なのは“ド変人”タイプだ

イグナイト・笠松「それを実現するためには、どんな人材が必要だと思いますか?」

電通デジタル・鈴木「経営には“H”が必要だと思っています。変人の”H”なんですけど(笑)。先ほど言ったようなことをやっていくにあたって、リスクや合理性よりかは、通常考えないようなことを『やってみよう』と言えたり、従来にないアイデアを出せたりといった、変人が必要なのかなと」

アクセンチュア・黒川「既存の先輩たちがやっている仕事をマニュアル化しているのではもうダメだってことですよね。ただ僕はちょっと違って、尖った人材だけだと会社はおかしくなるんですよ。これからの時代はスキルがベースにありながらも、マシーンでは訴えられないような、感覚や協調性、社会性といったものが求められると思います」

博報堂・安藤「僕は博報堂にずっといて役員になった人間なので、お前が言うなよって話かもしれないですけど……アクセンチュアや電通、博報堂に入らないと仕事はうまくいかない、と考えるのはもう時代錯誤なんだと思います。その前提でいないと、鈴木さん(電通デジタル)が言っていたような”横の連携”もできないわけですから」

業界のリーダーたちが口々に「日本企業は遅れている」と危機感を語った、広告・コンサル業界トップ座談会。20’s世代がいかに従来のやり方を見直し、イノベーションを起こしていくかが、今後の成長のカギを握る。今一度、業界全体の、ひいては日本企業の成長を考えてみたい。

取材・文・撮影/天野夏海

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