「プレッシャーが大好きなんです」池田エライザ、尽きないバイタリティーの秘密
何か新しいことに挑戦する時には、必ずプレッシャーがつきまとう。できることなら緊張や不安は避けたいけれど、池田エライザさんは「プレッシャー、大好きです」と楽しそうに微笑む。
2018年7月7日(土)公開の主演映画『ルームロンダリング』でも、主演という重圧をやりがいに変えて、チームを引っ張る覚悟と誇りを実感したそうだ。どうしてエライザさんはこんなにもしなやかに重圧を乗り越えていけるのだろうか。キュートなヴィジュアルとは対照的な、バイタリティー溢れるエライザマインドをクローズアップする。
※この記事は、姉妹サイト『womantype』より一部修正して転載しています。元記事はこちら。
一緒に働くメンバーは、戦友。だから自分の意見を言うことを恐れる必要はないんです
モデルとして同世代から憧れと共感を集め、今年だけで6本の出演映画が公開されるなど女優業も絶好調の池田エライザさん。今回の『ルームロンダリング』で演じたのは、いわくつきの部屋から部屋へと引っ越しを繰り返す“こじらせオカルト女子”の八雲御子。今までとは全く違う無口で内向的な女性像を、センシティブに演じている。
「御子ちゃんは説明的なことは何も言わない女の子。普通なら口に出して言うようなことも頭の中で考えているだけで、ただじっと周りを見ている。そんな御子ちゃんがルームロンダリングを通じて新しいものに触れて、新しい感情を知って、0.5歩だけ前に進む。それが、この映画のテーマ。だから、私はとにかく御子ちゃんに一番近いところにいようということだけ心掛けていました」
特に印象的なのが、その大きな黒い瞳。ちょっと焦点の定まらないような、翳りのある眼差しが台詞以上に御子というキャラクターを物語っていた。
「漫画版を担当した羽生生純先生は、『ドロッとした目』だって言ってました(笑)。もちろん私自身の元々の目の感じもあるとは思うのですが、照明部の皆さんが光を細かく調整してくれたんです。他にも録音部の方が細かい息遣いまで逃さず拾ってくれたから、ボソボソと喋っても御子ちゃんの気持ちをちゃんと乗せることができた。私だけじゃなく、スタッフの皆さんと全員でつくった御子ちゃんなんです」
そのこだわりは衣裳や小道具にも及ぶ。御子が愛用しているキャリーケースはエライザさん自身が選んだもの。お芝居の面でもこうしたいということがあれば臆せず監督やスタッフに伝えるようにしているのだとか。
「監督に食ってかかることも多いです(笑)」といたずらっぽく話すエライザさん。まだ22歳、同世代の中には「自分の意見を発信するのが苦手」という人も多いだろう。周りが用意してくれたものに大人しく従っていても仕事は十分まわる。それでも、エライザさんが自分の考えをちゃんと伝えるようにするのはなぜなだろうか。
「もちろん意見を言って人に嫌われるのが怖いという気持ちもあります。でも私は一緒に作品をつくっている皆さんのことを戦友だと思っている。だから遠慮する必要なんてないなって。それに何も不平不満を言っているわけじゃないし、あくまで御子ちゃんというキャラクターをより魅力的に表現するための意見交換。本の読み方はそれぞれだし、キャラクターの解釈もその人次第。だったら、皆で話し合った方が絶対もっと素敵なものになるはずって信じているんです」
プレッシャーが高い方がクリエーティブになれる。
「負荷をかけて、頭をフル回転させるんです」
上を目指せばその分だけプレッシャーに振り回される。だが、エライザさんは「そんな重圧も大好き」と断言する。
「自分に負荷をかけるのが好きなんです。1週間仕事がお休みだったら、それだけで『干されたのかな』って思っちゃう(笑)。皆さんがお酒を飲んで仕事のストレスや緊張を忘れるのと同じ。私はさらに負荷をかけることで、自分のエネルギーに変えているんです。それに、そうやってストレスがフルにかかってる方がクリエーティブな発想が生まれやすくて。今の私は寝る直前までひたすら自分に負荷をかけて頭を稼働させています(笑)」
そう考えるようになったのは、2014年、初のモデルブック『@elaiza_ikd』を出版した頃から。エライザさんはクラウドファンディングで300人から約280万円の資金調達に成功し、出版にこぎつけた。
「お金が集まらないと出版できないぞという負荷のかかった状況を敢えてつくることで、じゃあどうやったら人に注目してもらえるか、どうすればエンタメとして成り立つかを、頭をフル稼働して考えられた。あの頃から自分が何をやりたいのかということと、池田エライザという“ブランド”をどう育てていくかが上手く合致するようになった感じなんです」
「まっすぐに走り続けている人ほど圧倒的に美しい」
エライザさんは言う。
「自分に負荷をかけ続けていれば、自然と力になってくれる人が周りに現れる。ひたすらエンジンをかけ続けることで、周りの人たちがその勢いに乗っかってくれるようになるんです」
だが、「成長より成熟」と言われるこの社会で、そうやって脇目も振らずに走っている人は今、珍しい存在かもしれない。
「確かに余裕がない人って、器が小さいとかネガティブに言われがちですよね。でも私の考えは逆で。むしろ全力で美しく駆け抜けている人なんだろうなって思います。私が憧れる方たちも皆周りのことなんて見向きもせずにまっすぐに走り続けている人たちばかり。そのがむしゃらな姿こそが圧倒的に美しいし、そういう人のまとう空気って澄んでいて華やか。今、22歳の私はとにかく仕事にひたむきでありたいと思っています」
その細い身体からは想像もつかないほどパワフル。百万馬力のエンジンを乗せて、エライザさんは自分の道を突き進む。
「自分の走馬灯をつくれるのは自分だけ。だから私はいつも自分の走馬灯をどうつくるかということを考えるようにしているんです」
尽きないバイタリティーの秘密を聞いたら、エライザさんは独特のフレーズで自身の心の持ち方を教えてくれた。
「いつどんなふうに自分が死んでしまうのかは分からないけど、素敵な走馬灯を見たなって言って一生を終えたい。そう考えたら、池田エライザとして日々どうあるべきかが自然と見えてくるんです。余計な嫌味を言わないとか、嘘をつかないって決めているのも、最期に素敵な走馬灯が見たいから。何か心がモヤモヤしたり、ネガティブな気持ちにとらわれそうになったときほど、目を閉じて自分の走馬灯をイメージしてみるんです。そうしたら、マイナスな方向に走り出しそうになる気持ちをとどめることができるし、そんな時間があるならもっといい想い出をつくることに使いたいなって思えるんですよね」
エライザさんが「プレッシャーが大好き」と語るのも、そんな仕事の負荷もまた自分だけの走馬灯を彩る大事なワンシーンになると思っているからだろう。まだ先にある最上の走馬灯を目指して、エライザさんはこれからも進んでいく。
取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太
映画『ルームロンダリング』2018年7月7日(土)新宿武蔵野館、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
いわくつきの“事故物件”に住むことで部屋を“浄化する”八雲御子(池田エライザ)。彼女はやがてこの世に未練たらたらな幽霊たちのお悩み解決に奔走させられることに!?
監督、脚本/片桐健滋
出演/池田エライザ、オダギリジョー、渋川清彦、健太郎、光宗薫など
配給/ファントム・フィルム
>>公式サイト
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