キャリア Vol.583

【家入一真×合田真】いつかは起業したい20代が、知っておくべき5つのこと

副業解禁、フリーランスの増加……働き方の多様化が進み、将来的に起業を視野に入れる人も増えてきている。

しかし、会社員として働く中で「自分には資金もノウハウもないし、何から始めたらいいのか分からない」と悩む20代も少なくないだろう。

そんな20’sたちに、2人の「エッジ起業家」のアドバイスを紹介しよう。
※エッジ起業…一般的には辺境とされるような分野・地域での起業

「連続起業家」として知られ、数多くのニッチ分野で起業を支援・成功させたCAMPFIRE代表の家入一真さん、電気もろくに通っていないアフリカ・モザンビークの農村地域に「電子マネー経済圏」をつくる事業を立ち上げた日本植物燃料代表の合田真さん。ニッチ分野・途上国といった辺境領域で起業を成功させた2人が語る、“何も持たない”若者への助言とは。

2018年8月24日(金)、日本初のFinTechコミュニティ&スペース である『FINOLAB』で開催された「『エッジ起業』で世界を変える方法〜家入一真×合田真トークLive!」内の対談から、紹介する。

株式会社 CAMPFIRE 代表取締役社長  家入一真さん 2011年にクラウドファンディング『CAMPFIRE』を創業。近年では、地域特化型クラウドファンディング『FAAVO by CAMPFIRE』や、ふるさと納税を通して地域の魅力を伝えていく『CAMPFIREふるさと納税』など、地域にフォーカスした事業を展開している。個人投資家として起業家への投資も行っており、18年にはシード期向けのベンチャーキャピタル「NOW」を設立。次世代の起業家育成にも力を入れている。最新著『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

日本植物燃料株式会社 代表取締役社長 合田真さん2000年に日本植物燃料株式会社を設立。バイオ燃料を製造・販売する事業をアジアにて展開した後、アフリカ・モザンビークに事業を拡大。電気も銀行もないアフリカの農村で、村人がお金を土に埋めて保管している様子を見て、お金の管理にニーズを感じ、「電子マネー経済圏」をつくる事業を立ち上げた。この事業は、世界中の農村や貧困地域に「お金の革命」を起こすポテンシャルがあるとして国連にも注目されている。最新著『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』(日経BP)

【1.起業テーマ選定】
「何に怒りを覚えるか」に重点をおけ

――起業を考えたときは、まず始めにどんな「事業テーマ」を選ぶのかが重要かと思います。どう選定していけばいいと思いますか?

家入:自分は何に怒りを覚えるか」という視点で考えてみるといいのではないでしょうか。

僕はベンチャー企業に投資をするときに「なぜあなたがこれをやる必要があるんですか?」とよく聞くんです。今あなたが起業しなくても、日本はつぶれないし、地球は明日も回り続けますよね? それなのにどうして? と。

それでもやりたいと思うものには、強烈な原体験があったり、コンプレックスがあるなど、何かしら特別な思いがあるはずです。

どうしてやろうと思ったのか、その先にどんな未来を描きたいのか。本質をとらえた上で、それを実現するための手段として、事業を考えた方がいいと思います。

合田:会社員ならそうもいかないかもしれないけど、起業であればマーケットから事業内容を考えなくてもいいと思います。

例えば、当社が手掛けてきたバイオ燃料事業は、イラク戦争の頃に原油価格が高騰したこともあり、たくさんの企業が参入してきました。しかし2008年のリーマン・ショックで、ブームに乗った会社はほぼいなくなってしまったんですよ。マーケット、なんてそんなものなんだと思います。

僕はブームとは関係なく、自分がやりたくて始めたので……社員に給料も払えなくなったり、1日500円で過ごすような時期もありましたが、やめずにここまでくることができました。

そんな風に、本当にやりたいことじゃないと、辛さを乗り越えてやりきることは難しい。なので、「自分の心が動くかどうか」を基準に選ぶのがいいんだと思います。

【2.市場選定】
視点を変えてユニークさを見出し、戦略を生み出せ

――それでも、マーケットのない辺境・ニッチな分野からビジネスの種を見つけるのは難しいと思いますが、どう思いますか?

合田:例えば地方の人は、その土地と東京を比べて「ここには何もない」と言う人が多いです。でもそれは日本の中で見たときの話で、世界から見るとまた違ったユニークさがあるんですよ。

例えば、僕は長崎出身ですが、長崎の物産館は東京じゃなくて、ローマにつくった方がいいと思うんですよ。長崎は、江戸時代にカトリック教徒が迫害されていたという歴史があります。長崎の歴史にもとづくストーリー込みで商品を訴求したら、日本では500円で売っているものが、カトリックのネットワークが広いローマでは5,000円で売れるようになるかもしれません。

こういう風に視点を変えて、自分たちのユニークさを知ることができれば、違う戦略を生み出すことができます。マーケットがない、と嘆く前に自分の視点を変えてみることが大事ですね。

家入

【3.メンバー集め】
何かを得たいなら、まず自分から与えよ

――起業したいテーマがあっても、思いをうまく言語化できず、なかなか仲間が集まらないこともあります。

家入:力も名前もお金もない人のもとに、いきなり仲間は集まらないので、得たいのなら、まず与えるという思想が大事なんじゃないかと思います。

自分がやりたいことに近い活動をやっている人を探して、そこにコミットするとか。そうすると、「あのときやってくれたから、私も手伝うよ」と言ってくれる人が必ず出てくるはずです。

僕はいつも、「これをつくったら、あの人が喜ぶだろう」と身近な誰かの顔を思い浮かべて、手紙を書くような気持ちでビジネスをつくっています。そういう感覚で思いを伝えようとすると、うまく言語化できるかもしれませんね。

起業だけでなく全てにおいて、目の前にいる人を喜ばせようとするのは、美しい行為だし、それこそが真実だと思うんです。だから、その思いを大切にしたほうがいいと思いますね。

【4.起業時の行動】
ないものはない。今できることをさがし、行動せよ

――とはいえ、新しいことをやるには予算や人員の問題もあります。

家入:予算や人員がない……というのは、諦めるための言い訳のようにも思えてしまいますね。

あれもこれもない、ではなくて、「今からできることは何かないか?」と考えたら、意外とたくさんあるはず。成功している人たちって、一見華やかに見えるかもしれませんが、みんな日々の99.999%は、地味なことを積み重ねていますから。

合田:変えられない外部環境のことを気にしても仕方がないので、まずは自分一人でも行動を起こすことです。予算もない、人員もいない。でも、あなたはいるでしょう?

やりたいことがある人が100人いたとしても、99人の人は行動を起こさないと思うんですよ。ここで、行動を起こす1人になれるかどうかが、成功するかどうかの分かれ目になると思います。

【5.事業の継続】
初打席でホームランを狙うな。必要なのは、打席に立ち続けること。

――困難な状況でも、やりきることができる人とできない人との違いは、どこにあるのでしょうか?

家入:成功するかしないか、その違いは、「成功するまで、打席に立ち続けられるかどうか」ということだけだと思います。

起業する人の多くは、最初から大成功しようと考えてしまうんですよ。でも、それって初打席でホームランを打とうとしているようなもの。確率としてはかなり低いと思いませんか。

起業すると、うまくいかないことも、辛いことも、死ぬほどたくさんあります。それでも、打席に立ってバットを振り続けられるかどうか。

これをやれば必ず成功する、というものはありませんが、成功者全員に共通しているのは、最後まで打席に立ち続けた人間だということです。

家入

2人のトークからは、会社員として働く中でも心掛けることができるポイントが得られた。いつかは起業を、と考える20’sは、まずはこの5つを意識しながら、日々の仕事に取り組んでみてはいかがだろうか。


合田真さん最新著『20億人の未来銀行 ニッポンの起業家、電気のないアフリカの村で「電子マネー経済圏」を作る』(日経BP)

合田

世界に約20億人いる“金融難民”に、「新しい仕組みの銀行」を提供する――。 本書は、そんな前代未聞の構想を実現するために アフリカ・モザンビークで事業を展開する日本人起業家・合田真の仕事録!
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取材・文/中村英里 撮影/大室倫子(編集部)

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