転職 Vol.587

歓迎スキルは満たしていたのに……24歳で気付いた、ステップアップ転職の落とし穴【20代の転職失敗談】

type編集部が回避法をレクチャー!
入社した会社でまずは数年頑張らなきゃ、なんて一昔前の話。今では20代の転職希望者も、若手を採用したい企業も増えてきた。 とはいえ「そろそろ自分も……」と思っても、初めての転職は分からないことだらけ。せっかくの貴重な20代を、失敗で終わらせたくない! そこで、typeに訪れた「20代で転職に失敗した人」たちのエピソードを、type編集部のアドバイス付きで紹介。先輩たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう
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30歳(独身女性・年収190万) E子さんのケース20歳 医療系専門学校を卒業後、病院勤務の医療事務(年収200万円)
24歳 レセコンインストラクターに転職(年収300万円) 
25歳 スキルが見合わず試用期間で不採用、再度転職。病院勤務の医療事務として勤務(年収190万円)
転職活動期間:2週間
希望条件:週休2日制であること
妥協した条件:3カ月の試用期間あり
応募社数:1社、書類選考通過:1社、内定社数:1社

「夢がない」自分を変えたくて、‟ワンランク上”の転職を目指した

専門学校を卒業後、医療事務として病院に就職したE子さん。しかし、もともと「医療事務の仕事に就きたい」と強く願っていたわけではなかった。

「昔から、なりたいものなんてなかったんです。なので高校卒業後は、何となく手に職が付きそうな医療事務の専門学校に行きました。『せっかく親が学費を払ってくれたし』と思い、そのまま医療事務になったんです。入社してからも、特に不満もなく淡々と働いていました。でも、そんな風に『嫌なことはないし、まあいっか』と生きてきた自分に、少しコンプレックスを抱いていたのも事実。夢に向かって必死に頑張っている友人と比べては『このままでいいのかな』と考えていました」

そんなE子さんだが、入社4年目で転機が訪れた。

「もっと自分の経験を活かして活躍できないかな、と何気なく転職サイトを見ていた時に、レセプトコンピュータ(診療報酬明細書をつくるシステム)のインストラクターの仕事を見つけました。医療事務として、毎日のようにレセプトコンピュータには触ってきましたし、求人にも『医療事務出身者歓迎!』と書かれているのを見て、『今まで自分が培ってきたスキルを活かして、ワンランク上の仕事ができる。これしかない!』と思ったんです」

医療事務のノウハウを活かしながら、年収も100万円上がる。インストラクター経験はないものの、これで自分にも「誇れる仕事」ができるような気がした。すぐに、求人への応募を決めたという。

「転職活動は、その1社にしか応募していません。そのままトントンと選考が進んで、内定がもらえたんです。正直、それがどんな業務なのかは未知な部分も多かったのですが、選考をしてくれた人事の方が、『医療事務としての経験があるなんて、心強いですね!』と好意的に見てくれたのが誇らしくって。当時、勤めていた病院で転職の意思を伝えたときも、『すごいね!頑張るんだよ!』と応援してもらえたので、本当に嬉しかったんです」

転職後待っていたのは、埋められないスキルと疲労する毎日

順調に思えたE子さんの転職。しかし、入社してすぐに「失敗転職」だったと感じたという。

「まず、今までの私の働き方からは想像できない環境でした。一人一人の仕事量が多すぎて、先輩たちは毎日23時ごろまで働いていたんです。これまで多くても1時間程度の残業しかしたことなかった私にとっては信じられませんでした。それに週休二日と言いつつも、平日に自分の仕事が終わっていなかったら、休みの日に出勤してカバーするのは当たり前。先輩から『丸一日休みな日なんて、ほとんどないよ』と笑って言われたのです。

ショックを受けている私に追い打ちをかけたのが、仕事内容のレベルの高さでした。レセプトコンピュータについて知識のないお客さまに、どんなことを聞かれても答えて対応するのがインストラクターの仕事。つまり、システムについて完璧に頭に入れているのが当たり前です。私は人に教えるどころか、自分でもシステムを理解できていない部分も多く、とても難しい仕事でした。それはペーパードライバーの私が、車の運転が必要な仕事を求められているようなものです。知識も経験も、何もかも足りていないと感じましたし、仕事ができない分残業は溜まる一方で。やっぱり自分は何もできない人間なんだと、思い知らされたような気がして辛かったですね」

厳しい現実を目の当たりにし、居心地の悪さを感じながら日々を過ごしたE子さん。結局、試用期間の3カ月を終えたタイミングで、本採用は見送られた。

「『医療事務を活かせる仕事で給料が高いなんて、今の私にピッタリ!』と思いましたが、レセプトコンピュータインストラクターという仕事が何かも分からずに転職を決めてしまったことを反省しています。その結果、求められていることに満たない仕事しかできなくて、会社や先輩たちにも、かなり迷惑をかけてしまいました。自分への自信を失ってしまい、今は新しいことに挑戦する気にはなれませんね……」

年収アップ転職には、仕事内容の事前理解が重要!type編集部からのアドバイス

E子さんのように「職種に聞き覚えはないけど『○○の経験がある人歓迎!』って書いてあるから大丈夫だろう」と、仕事内容を確認しないまま安易に転職を決めてしまうことは危険です。歓迎スキルはあくまでも仕事に必要な+αのスキル。自分がその職場で、どんな風に働いているのか、想像できるようになってから決断すべきでしたね。

また、今回のように給料の差が年収にすると約100万円も開きがあることも、注意すべき1つの指標になります。「今のスキルと仕事内容のまま、年収が多くもらえる」だなんて、‟オイシイ話”はそうそうありません。給料が高いのには、それなりの理由があります。なぜ給与がアップするのか、確認・理解が必要です。

しかしE子さんが、「自分を変えたかった」と、チャレンジをしたことは何も悪いことではありません。その場合は、今とかけ離れているほど難易度の高い仕事ではなく、少しずつステップアップしていくことをイメージできるとよかったですね。チャレンジ精神は立派ですが、20代前半の場合、これから何十年とキャリアを積んでいくのですから、焦りは禁物ですよ。数年先のキャリアを見据えながら、ステップアップを叶えていきましょう!

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文/於ありさ


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