【でんぱ組.inc 古川未鈴】AKBもハロプロも書類落ち!「もうダメかも」から夢のステージに這い上がれたワケ
今、新規客の取り込みよりも、ファンへのおもてなしを重要視する「ファンベースマーケティング」が注目されている。ファンは口コミなどで商品やサービスを紹介し、新たなファンを連れてきてくれるアンバサダーにもなり得る、大事な存在だからだ。
特にSNSの普及により「スーパー口コミ時代」となった現代では、ファンやフォロワーの持つ力は強大だ。ネット時代のアイドルとしてTwitterフォロワー数22万人を誇る、アイドルグループ『でんぱ組.inc』のメンバー、古川未鈴さんも、ファンやフォロワーに支えられた一人だ。
「昔は自分が大嫌いだった」、「本当に人気がなかった」と過去の自分を笑い飛ばす彼女のキャリアから、これからの時代に必要な「ファンベースマーケティング」の要素を学びたい。
2018年9月8日に開催された『Social Innovation Forum』内のセッション、「“いいね!”が変えるにっぽんの将来」の講演の一部から紹介する。
本当に人気がなかった、駆け出し時代。
オタクの強みが、ファンを魅了した
――今は各企業、“ファン”獲得に躍起になっています。古川さんの場合はどのようにファンをつくっていったのでしょうか?
今でこそ『でんぱ組.inc』は武道館などにも出させてもらえるようになりましたが、昔はライブや握手会に来てくれる人も2・3人しかいませんでした。本当に人気がなかったんです(笑)。
しかも私たちは、大きな事務所でレッスンを受けて「あなた、アイドルをやりなさい」と言われたわけでもない。自分たちがやりたい、という気持ちだけで活動していたから、当時は一着800円の服を4着買って「私たちの衣装」と言い張っていたり(笑)。
自分たちで何とかしないといけなかったから、「とにかく何でもやらなきゃ」と考えていましたね。そこで使ったのが、Twitterです。でんぱ組ってメンバー全員がオタク気質なので、もともとネット文化には慣れていました。だからメンバー全員でTwitterをはじめとしたネット界隈で発信を続けていたら、徐々にファンの皆さんがついてきてくれたんです。
――ファンの方の強さを感じることはありますか?
でんぱ組のファンの方たちって、本当に支持の仕方がすごくって。例えば運営側は何も用意していないのに、ファンの方たちの間で「メンバーへのサプライズお誕生日祝い」としてサイリウムでお祝いしてくれたりするんですよ。 私たちが「こうしてほしい」と言ったわけでもないのに、ファンの方たち主体で、何百、何千人を束ねるってすごくないですか?
しかもファンコミュニティーの中で、カップルができたり結婚している人までいます。ファン同士で結婚して、ライブに赤ちゃんを連れて来てくれたりするんですよ。コミュニティーが強固過ぎて、とってもありがたいですし、うれしいですね。
大嫌いな自分を変えたい。希望は、口に出さなきゃ伝わらないもの
――今や人気者の古川さんですが、これまでのキャリアを振り返ってみていかがですか?
親が転勤族の家庭だったので、2年に1回は学校を替えるような幼少期を送っていました。子どもの頃はうまく周りに馴染めなくて、いじめにあってたりもしました。今だから笑って話せますけど、当時は本当に辛くって。本当は嫌なのに、どうしても「やめて」の一言が言えない。頭の中ではムカついているのに、うまく表現できなくて、ヘラヘラしているだけの自分がものすごく嫌いでした。
そんなときに、TVでモーニング娘。さんやSPEEDさんを見て、私もあんな風にステージに立ってキラキラしていれば、自分のことをいじめている人を見返せるかもしれないと思いました。そこからずっと、私の夢はアイドルなんです。
だけどAKBも、ハロー!プロジェクトも、全部書類落ち。目指せば目指すほど、もうダメかも、って自信を失っていきました。
――自信を失った後は、どう切り替えたんでしょうか?
メジャーアイドルになれないなら、秋葉原でメイド喫茶でバイトしていたら、何かチャンスがあるかも、と考えました。そこで、「ユニットアイドルになりたい」って周りに言いまくったんです。その後、バイトの子たちででんぱ組.incを結成しました。
そこから私は、何か目標があれば必ず声に出すことにしたんです。例えば「武道館に立ちたい」って夢も、言い続けていたらファンの方たちが叶えてくれました。声に出すことって勇気がいるけど、とても大事なことだと思うんですよね。今だったら、やりたいことを声に出したらSNSを通して本人に届くかもしれないし、夢が叶うかもしれないですし。
――「周りの人に言いまくった」ってどのくらいの人に言ったんでしょう!?
当時はmixiの日記にも書いていたし、ブログはもちろん、会った人全員に言ってたんじゃないかな(笑)。今考えると、もはや営業活動ですよね!
言い続けることで自分の意識も変わっていくし、周りの人にも応援してもらえるんだと思うんです。だからこれからも「東京ドームでライブがしたい」、「紅白に出たい」と、自分がやりたいことを言い続けていきたいです!
取材・文・撮影/大室倫子(編集部)
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