お金Vol.592

若者がモノを買わない時代。”経済の流れ”はどこから生まれる? 【Makuake中山亮太郎ほか】

「現代の若者はモノを買わない」と言われるようになって久しい。彼らは自分自身が本当に必要だと感じるものを取捨選択し、投資する傾向があるという。

では、これから20代を中心にした経済の流れは、どこから生まれてくるのだろうか?

2018年9月7日に開催された『SHARE SUMMIT 2018』内のトークセッション、「SHARE×MONEY~21世紀に求められるお金の役割」から紹介しよう。

お金とモノのプロセスが変わることで、新しい市場が生まれる

本セッションに登壇したのは、クラウドファンディングプラットホームを提供するMakuakeの中山亮太郎さん、地域リソースを活用したビジネステーマを提示し、それに挑戦したい起業家を地域に誘致、事業化までのハンズオン支援を行うNext Commons Labの林篤志さん、日本で唯一のe-KYC/本人確認APIサービス『TRUSTDOCK』を提供する千葉孝浩さんだ。

シェアリングエコノミー

中山亮太郎さん(Makuake 以下中山):20世紀まではモノとお金の関係は対等だったのに対し、21世紀になりその関係性は変わってきました。その結果、最近では、仮想通貨など新しいお金の概念も登場してきて、今後はどういうベクトルでお金が流れていくのか気になっています。お二人は事業や生活を通して、お金の流れやあり方は、どのように変わってきていると感じていますか?

千葉孝浩(TRUSTDOCK 以下、千葉):フィンテック関連の企業を見て感じているのは、モノを送ってからお金が入るのか、お金を払ってからモノが手に入るのか、プロセスを入れ替えるだけでお金の概念が変わるということです。それだけで、新しい市場が生まれると感じています。

中山:確かに、クラウドファンディングで、モノが完成する前にお金が入ってくる流れを見ていると、「モノの完成を待っている人がいる」というのは新しい価値・概念だと感じます。お金と行動のプロセスが逆になりつつありますよね。

千葉:ダイエットを例にすると分かりやすいのですが、人間って自分との約束は守れなくても、他人との約束は守れる人が多いんですよ。だから、お金を通して、人と約束しているというのは鍵かもしれませんね。

中山:なるほど、お金ありきの行動という流れでは、その人への信用が要なんですかね。

千葉:信用は過去から現在までの蓄積、信頼は現在から未来までの蓄積だとすると、何かを0から始める時って、信用ありきでの信頼が必要なんですよね。ここの部分をどうデザインするのか、というところが肝になってくると思っています。

都市部よりも地方で、経済が活性化する理由

中山:林さんはお金に関して何か感じていることはありますか?

林篤志(Next Commons Lab 以下、林):私は、徐々にいろんな形・色のお金が出てくるのではないかと予想しています。実は、現代のお金にまつわる一番の問題って「使われていない」ことなんですよ。でも、その一方で「価値の共有」ができているところではお金がどんどん使われている。

実際、僕のプロジェクトで岩手県遠野市にこれまで何の縁もなかった20人が、遠野市を拠点に生まれる未来にBetして(賭けて)移住してきました。この20人はつまり、同じビジョンを共有している仲間なわけですけど、その中での価値の交換はとても早いんです。

中山:地方に行くと価値の交換が早いって、なぜでしょう?

林:移住者が多い地方って、同じ価値観を持った人が集まっていることが多いんですよ。だから極論、初対面で名前を知らなくても、「何となくこの人たちは、こうやって暮らしていて、こういうものを食べているだろう」という状況が分かります。その中であれば、もう既に「信用」ができているということ。だから、価値の交換が本当に早いんですよ。

同じように、価値観が最初から共有されている地方や宗教法人などで、独自の通貨が出てきたらすごく盛り上がるとは思いますね。

中山:信用とか信頼とか、ビジョンの共有というと、ふわっとしていますが、宗教とか村というとしっくりきますね。

林:考えてみれば、昔の農村って皆大体起きる時間も一緒で、同じような生活を送っていました。でも、今は日本のどこを探しても、全く同じ生活をしている人はいません。だから、改めてコミュニティの再編成が求められて、そのコミュニティに応じて独自の価値交換、つまりお金の交換が行なわれるのかなと思います。

中山:たしかに同じ地元というだけで、コミュニケーションが円滑になりますよね。それにビジョンが共有できていると、人が集まってきやすいように思います。

林:現代人って、不安定な世の中を生き抜くための‟同志”や“家族”を求めているんですよね。都市部にいると消費がメインの生活になる中で、生産メインの同士はどこにいるのだろうと考えると、そのフィールドが地方なんだと思います。

これからのお金の流れは、未来と価値観への投資にあり

中山:お話を聞いていて、お金の流れは大きく分けて2つあるのかなと感じました。1つは未来への投資。例えば「この活動は未来につながるだろう」と思うことへの投資や寄付にはお金が流れやすい。しかもそこは数値化するのではなく、あいまいな信用ができればいいんです。

もう1つは、林さんのお話を聞いて「自分が信じる価値観へのbet(賭け)」にお金が集まると感じました。

林:僕も、信用とか信頼のような不確かさが大切になるんじゃないかと思っています。そして、その信用を担保してくれる‟拡張家族”が誰にとっても必要になっていく。そこをどのように設計するかが、これから肝になるのではないでしょうか。

シェアリングエコノミー
林 篤志(一般社団法人Next Commons Lab 代表)
1985年生まれ。ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」 をつくる。2016年、一般社団法人Next Commons Labを設立。自治体・企業・起業家など 多様なセクターと協業しながら、新たな社会システムの構築を目指す。「日本財団特別ソ ーシャルイノベーター」に選出(2016)。「Forbes Japan ローカル・イノベーター・アワー ド 地方を変えるキーマン55人」に選出(2017)。
千葉 孝浩(株式会社TRUSTDOCK 代表取締役/CEO)
前身の株式会社ガイアックスのR&D研究「シェアリングエコノミー×ブロックチェーン」でのデジタルID研究の結果を基に、日本初のe-KYC/本人確認API「TRUSTDOCK」を事業展開、そして専業会社として独立。CtoC取引での本人確認や、オンライン買取等の古物商のKYC、そして個人融資や仮想通貨等のフィンテックの口座開設など、あらゆる法律に準拠したKYC/本人確認をAPI連携のみで実現。様々な事業者を横断したデジタル社会の個人認証基盤、日本版デジタルアイデンティティの確立を目指す。
中山 亮太郎(株式会社マクアケ 代表取締役社長) 2006年に株式会社サイバーエージェントに入社後、社長運転手の傍ら新規事業を立ち上げ る。2010年からは株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズのベトナム投資担当とし てベトナム在住開始。2013年に日本に帰国後、株式会社サイバーエージェント・クラウド ファンディングを設立。同年クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」 をリリース。2017年に株式会社マクアケに社名変更。

取材・文・撮影/於ありさ

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