転職 Vol.603

心が痛む営業手法、上司からの圧力「社会人だから仕方ない」で済ませてはいけない【20代の転職失敗談】

type編集部が回避法をレクチャー!
入社した会社でまずは数年頑張らなきゃ、なんて一昔前の話。今では20代の転職希望者も、若手を採用したい企業も増えてきた。 とはいえ「そろそろ自分も……」と思っても、初めての転職は分からないことだらけ。せっかくの貴重な20代を、失敗で終わらせたくない! そこで、typeに訪れた「20代で転職に失敗した人」たちのエピソードを、type編集部のアドバイス付きで紹介。先輩たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう

30歳(男性・年収300万円) E介さんのケース22歳 国立大学を卒業後、国内自動車メーカーへ営業職として入社(年収190万円)
24歳 地方都市に本社を置く布団の訪問販売会社に転職(年収250万円)
25歳 大手メガネ店に販売員として入社(年収230万円)
転職活動期間:3カ月
希望条件:休日が取得でき、給与も契約通り貰えること
妥協した条件:仕事内容
応募社数:27社、書類選考通過:3社、1次面接通過:3社、内定社数:2社

同期が全員辞めた職場。今後の生活に不安を覚え、転職を決意

大学卒業後、「安定していそう」という理由で、大手自動車メーカーの関連企業に入社したE介さん。配属は、個人向けに新車を提案する営業職だった。

「実際に入社して驚いたのは、給与が聞いていた額と違ったこと。月20万円近くは貰えると聞いていたのに、実際は月約13万円、ボーナスは半期に一度で2万円だけでした。新卒入社した同期は僕以外全員、このような待遇に耐え切れずにすぐ退職していましたね。僕はというと、せっかく大手に入れたのだし『苦しいのはきっと最初だけ』と思い、しばらく会社に残って様子を見ることにしました」

「長く勤めれば、きっと何かが変わる」そう思い2年が経ったが、結局E介さんも転職を決めた。2年間で状況は好転するどころか、悪化する一方だったのだ。

「新人がほとんど辞めてしまったので、先輩たちは残った僕にたくさんの雑務を押し付けてきました。先輩に頼まれた用事のために、往復320キロかかる地方都市へ自腹で行くことも当たり前。挙句の果てには、1日がかりで先輩の仕事を済ませてから帰社すると『今日は何台売れたんだ?』、『営業成績が悪いのはお前のせいだ』と罵倒される始末でした。そのため、平日は先輩から言われた雑用をこなし、休日出勤で自分の仕事を片付けていましたね。

その頃の僕は、付き合っていた彼女との結婚を真剣に考え始めていたので、このまま給料も良くない、精神的にもつらい環境では生活が成り立たないと思い、退職することにしたのです」

転職先で待ち受けていたのは、「クレームの嵐」と罵声を浴びる日々

劣悪な環境に嫌気がさしたE介さんは、大手自動車メーカーを退職。結婚後のことを考え、給与がよく、休日がちゃんと取得できる会社に入社したいと、提示された労働条件が最も良かった布団の訪問販売会社への転職を決めた。しかし、この転職が“失敗転職”だったと語る。

「労働条件だけにこだわったせいで、その他の条件や仕事内容をちゃんと理解していなかったことを後悔しています。会社の先輩たちの中には、営業ノルマをクリアし、月100万円以上稼いでいる人もいましたが、そんな給与を貰っている人はごくわずかでした。

特に、仕事内容はキツかったですね。給与や休みさえあれば仕事内容は何でもいいや、という考えは浅はかでした。というのも、僕の仕事は地方の農村部に出向いて、一人暮らしのご老人の家を訪問し、『こんな布団で寝ていたら早死にしちゃうよ』などと脅すようなことを言って高額な布団を売るものでした。お年寄り相手にローンを組ませることも当たり前の会社だったので、顧客のご家族からのクレームの電話が鳴りやみませんでした。評判の悪い会社だったので、玄関先で社名を名乗っただけで塩をまかれたり、罵声を浴びたりする、そんな毎日で精神的にキツかったですね」

結局半年も経たずに布団の訪問販売会社を退職したE介さん。当時のことを振り返り、次のように語った。

「新卒の時も、転職した時も、僕は会社の知名度や目先の好条件に飛びついてばかり。どんな条件や環境が”普通“なのか分からなかった、というのもありますが、中には自分で調べて理解していれば避けられたものもあったはずでした。

そして、労働法についても何も知らないせいで、残業を100時間以上しても、休みの日に上司から呼びつけられても『笑顔で返答するのが当たり前、社会人だからしょうがない』と思っていたんです。その結果、精神的にかなりダメージを受け、ストレスによる病気にかかってしまいました。今は退職してから5年が経ちますが、未だにあの時のことを思い出すと苦しくなることがあります」

現在は転職し、メガネ店の販売員として働くE介さん。前職の反省を生かして、日々奮闘中だ。

type編集部からのアドバイスをCHECK!

E介さんが失敗転職に至った原因は、自分でも反省しているように「大手だから大丈夫そう」「労働条件がよさそう」というイメージが先行してしまい、事前調査を怠ってしまったことです。

本来あってはならないことですが、E介さんのように、面接時に提示された労働条件と入社後の労働条件が異なることが理由で再度就職活動を始める人も中にはいるものです。例えば、提示された年収がかなり良くても、それは営業ノルマをクリアした場合の金額だった、ということもあります。また、入社から3カ月~半年間を試用期間とみなし、その時の結果で労働条件が変わるケースもありますから、必ず気になることは入社前に確認を取る必要があります。

今回のE介さんのように「社会人だからしょうがない」「これが普通だから大目にみよう」と、自分の常識だけで物事を判断するのは危険。会社にばかり利益のある労働条件や、理不尽な指示を強いるような企業に我慢しながら残る必要はないのです。

職場内での相談が難しければ、転職エージェントのキャリアアドバイザーのようなプロに相談してみると、自分の状況を客観的に把握できるのでオススメです。

自分の中で譲れない条件は何か、どんな優先順位があるのかをしっかり考え、労働条件も隅々までチェック。時には、第三者からのアドバイスもしっかり受ける。自分が本当に納得いくカタチで働ける、ベストな環境を見つけるためには、入念な下調べと準備が必要ですよ。

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文/於ありさ

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