株式会社ティーシーコンサルティング 代表取締役社長 冨田 賢氏大学卒業後、米国系銀行に就職。その後、ベンチャーキャピタル会社の立ち上げや投資先企業及びVC会社の株式上場を実現。社会人向け大学院の専任講師などを経て、2008年5月から現職。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ゴルフ専門雑誌への連載の経験もある。著書に『世界のエリートが教えるちょっとした仕事の心がけ』(マイナビ新書)など
「なぜ営業マンは接待ゴルフをするの?」その道のプロが教えてくれた9つのメリット
高度経済成長の時代から1990年代初めのバブル経済の絶頂期まで、ゴルフは多くの営業マンにとって重要な営業ツールであり続けた。しかし、ゴルフ人口は若年層を中心に減少傾向にあり、ピーク時からおよそ半減というのが現状。
そんな背景からも、「接待ゴルフ」という言葉を耳にして、「興味ない」「必要ない」「時代遅れの営業スタイル」と感じている若手営業マンも多いのではないだろうか?
ところがビジネスにおいて、「接待ゴルフ」を英語力と同じくらい価値が高いスキルと断言する人がいる。日本ゴルフジャーナリスト協会の会員でもあり、ビジネスコンサルタントとして活躍している冨田賢氏だ。
冨田氏自身、多い時には「接待ゴルフ」で1カ月に5回以上もコースへ出るほど、そのメリットを感じている。
「実際に、私の周囲の若手営業マンの方でも接待ゴルフに参加しないという人が増えてきています。しかも、その多くは“食わず嫌い”。私はそんな彼らが、営業マンとしてレベルアップするチャンスをみすみす逃しているように思えてならないのです」
そう話す冨田氏に若手営業マンが今すぐ接待ゴルフを始めるべきだという理由を聞いた。
接待ゴルフは営業活動に直結する
まず、冨田氏は接待ゴルフの一番のメリットとして「人との距離を縮められること」を挙げた。ランチやラウンド後の懇親会も含め、フランクに長時間話す機会を持つことで、相手の人柄にあった砕けた話ができ、営業しやすい関係にまでなれるかもしれない。
そして、それだけではないメリットが以下の3つだ。
1、なかなか会えない人と商談できる
⇒アポ取りが難しいような経営者や重役クラスではゴルフ人口がいまだに多く、普通の交流会には出てこないが、ゴルフなら参加する、という人も多い
2、取引先や営業先のオフレコ話が聞ける
⇒接待ゴルフでは共有する時間が長いため、深い話ができる。オフレコの話が聞ける可能性もあり、業界の情報収集になる
3、新たな営業先の紹介チャンスがある
⇒ゴルフを趣味にすることで、“共通の話題”が作れるため、新規の取引先を開拓できたり、ゴルフを通じて、紹介してもらえるチャンスが広がる
接待ゴルフは自身のスキルアップにもなる
また、接待ゴルフには営業に直結する部分だけでなく、自分自身のスキルアップにつながることもあると冨田氏は言う。
4、段取り力が身に付く
⇒接待ゴルフやコンペの運営・企画やセッティングに携わることで、社内外の人とやり取りして大人数を取りまとめたり、参加者それぞれのスケジュールを調整するなどのスキルが身に付く
5、紳士的な振る舞いができるようになる
⇒ゴルフは人の性格が現れやすく、マナーに厳しいスポーツ。意識してマナーを学ぶことで、紳士の振る舞いができるようになる
6、トーク力が鍛えられる
⇒雑談の中で、自社や業界の現状について話したり、自分の経歴等について話すことで、自然なアピールが入ったトークができるようになる
7、空気が読めるようになる
⇒取引先の社長や重役など、自分よりも年上の人と触れる機会となるので、気遣いや気配りすべきシチュエーションとタイミングを身に付けることができる
8、社内の人間関係を把握できる
⇒ゴルフコンペの組分けに携わることで、社内の仲の良い人、悪い人の組み合わせを知ることができ、仕事上でも上手く立ち回れるようになる
9、プレッシャーに強くなる
⇒ゴルフはメンタルが重要なスポーツであり、一回一回のスイングが勝負。同組の取引相手や後続の組に迷惑をかけないように、というプレッシャーに常にさらされながらプレーするため、精神的にタフになる
30代からの接待ゴルフデビューは危険!?
こんなにメリットがあるのに、営業マンが接待ゴルフを避ける理由の一つとして「休日を費やして少人数への営業をする効率の悪さ」があると分析する冨田氏。しかし、それは短絡的でもったいない判断だと評する。
「確かに休日を丸一日費やす接待ゴルフは非効率に見えるかもしれない。しかし、普段会えない人と会えたり、人と人を引き合わせたりするのに、最適な“場”ともなり得ます。また、大型のゴルフコンペでは、懇親会で一度に100人以上の人たちと出会うチャンスもあります。接待ゴルフはビジネスパーソンに必須のスキルと考えて、恥ずかしくないスコアで回れるくらいにはなっておいた方が良いでしょう」
冨田氏は、特に若手にこそ参加を勧めたい理由があるという。
「ゴルフは細かなマナーが厳しく、接待ゴルフならそれはなおのこと。しかし、20代や30歳前後の若いうちはちょっとしたミスや勘違いなら大目に見てもらえる。30代後半や40代になって初めて接待ゴルフに参加して、もし不作法をしてしまったら取り返しのつかないことになるかもしれません。そうならないためにも若手のうちからゴルフを始めて、ルールやマナー、立ち居振る舞いを学んでおくべきです」
また、冨田氏の知人で、接待ゴルフで機転を利かせたり、ゴルフコンペの仕切りをうまくこなす姿が、一緒にプレーする自社の経営トップの目に留まり、大きな仕事を任せてもらうようになって出世した人もいるという。
接待ゴルフを食わず嫌いしてこれまでチャレンジしてこなかった若手営業マンは、冨田氏が接待ゴルフに参加するための目安だというスコア108(すべてのホールをダブルボギーで回ったスコア)を目標に、まずは先輩に頼んでこっそり練習を始めてみてはどうだろうか。
取材・文/浦野孝嗣
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