転職 Vol.630

ネットの言葉に踊らされ、新卒で入った大手優良企業を退職。26歳が年収300万円ダウンで失ったもの【20代の転職失敗談】

type編集部が回避法をレクチャー!
入社した会社でまずは数年頑張らなきゃ、なんて一昔前の話。今では20代の転職希望者も、若手を採用したい企業も増えてきた。 とはいえ「そろそろ自分も……」と思っても、初めての転職は分からないことだらけ。せっかくの貴重な20代を、失敗で終わらせたくない! そこで、typeに訪れた「20代で転職に失敗した人」たちのエピソードを、type編集部のアドバイス付きで紹介。先輩たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう
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31歳(男性・年収700万円)G介さんのケース
22歳 関西の有名私大を卒業後、大手倉庫会社に総合職として就職(年収700万)
26歳 専門系の私立大学に大学事務として転職(年収380万)
28歳 外資系大手生命保険会社の営業職に(年収600万)
30歳 中堅の総合保険代理店の営業職へ(年収700万)
1社目の転職活動期間:2カ月
希望条件:転勤なし、ジョブローテーションがないこと、昇給の見込みがあること
妥協した条件:年収の大幅ダウン(300万円)、将来のモデル給与が見えなかったこと
応募社数:2社、書類選考通過:2社、1次面接通過:2社、内定社数:2社

ジョブローテーションを窮屈に感じ、
大手企業を4年で退職

海外に関連する仕事がしたいと、新卒では海運業や倉庫業界を中心に就職活動を行ったというG介さん。努力の甲斐あって、希望通り大手倉庫会社の総合職として、内定を勝ち取った。

「新卒で入社した会社では、海外と関わることができるのはほんの一部の部署で、メインは国内物流でした。でも仕事自体は大きなやりがいがありましたし、月100時間を超える残業があっても、残業代は全額支給されていたので納得も満足もしていたんです」

しかし総合職特有のジョブローテーションによって異動が繰り返されるたび、会社から働く場所を限定されるような窮屈さを感じるようになっていった。異動先の仕事で成長できる実感がわかず、次第に危機感を募らせていったという。

「当たり前といえばそうなんですけど、総合職ってゼネラリストなんですよね。裏を返せば身に付くスキルが専門的というわけではないので、会社に万が一のことがあった時、つぶしが利きづらいんです。ここでキャリアを重ねても、自分のスキルは上がらない。このまま総合職で一生過ごすことには限界があると思ったんです」

ちょうどその頃、大学時代を過ごした関西で暮らしたいと思うように。人事や上司からの強い引き留めを振り切り、それまで使う暇すらなかった有休をきっちり消化して、G介さんは4年勤めたその会社を後にした。

仕事ができない同僚に、1億円の赤字経営……
年収ダウン転職の後に気付いた自らの“誤ち”

関西への転職を目指し、東京との“遠距離転職活動”を始めたG介さん。会社には内緒で面接を受けなければならず、有休を消化しながらの転職活動だった。

「職場には嘘の理由で有休を申請して、関西まで面接を受けに行っていましたね。面接日はたいてい平日でしたし、連絡も急にくるので調整するのにひと苦労しました。転職した先は面接が4回あったため、突然2カ月に4回も有休を取ったんです。上司や先輩からはずいぶん心配されましたね」

ジョブローテーションのない会社を探して転職活動したところ、大学事務という仕事にたどり着く。インターネットで検索してみると「楽で高給」「一生安泰」という耳ざわりの良い言葉が並んでいた。いくつかの大学を検討した結果、誰でも知っているような有名な大学で、ボーナスは前年度実績が年3回5カ月分という好条件の転職先を見つけた。しかし、後々その選択を後悔することになった。

「入社して、学生の入学状況や財務諸表などを確認して驚いたんです。志願者数は毎年定員割れ、毎年1億円の赤字を垂れ流し、附属病院まで大赤字。ひどい経営状態でした。ボーナスも実際は年2回の3.9カ月分。結局、年3回も貰ったことは一度もありませんでした」

このご時世に約4カ月分もボーナスが出るなら良い方ではないかと思ってしまうが……、G介さんの恨み節は続いた。

「インターネットの情報を鵜呑みにして、何とかなるだろうと思っていましたし、初めての転職で給与の交渉もしませんでした。当時はお金のことを聞くなんて恥ずかしいと思っていたんです。その大学の内情や実際の経営状態まで確認しなきゃなんて、思いもよりませんでした。仕事内容も“事務職”という仕事がどんなものか深く考えていなかったですね。大学というところは、役所のような組織体系になっていて、何をするにも稟議書が必要。いちいち上司から承認を得なければなりませんでした。周りの職員も、はっきり言って全く仕事ができない。自分だったら2時間で終わるような仕事に、8時間もかけているんですよ。同僚の仕事をフォローしても定時に帰れます。前職とは違って、暇を持て余していましたね」

人間、時間があればお金を使ってしまう。年収が300万円もダウンしたのに、身に付いたハイクラスなライフスタイルを捨てきれなかったことが、G介さんの暮らしに打撃を与えた。

「若いうちに良い生活を経験してしまうと、生活レベルを落とすのはなかなか難しいですね。車が趣味だったんですけど、愛車を手放して乗りたくもない軽自動車に乗り換えました。最初の会社では借り上げ社宅があり、家賃が6000円で済んでいたのですが、転職したら家賃補助は15000円のみ。毎月自由に使えるお金は25万円も減ってしまいました」

次第に、この仕事は自分ではなくても誰でもできるし、得るものもない、昇給だってほぼない……と絶望を深めていったG介さん。退職を決意し、プロフェッショナルの営業職として
道を極めようと腹をくくり、今に至る。

なんであんな転職したんだろう? 後悔しないために必要な確認事項

「転職して、新卒で入った会社がいかに良い会社だったかよく分かりました。福利厚生もしっかりしていましたしね。当時の同期も何人か転職しましたが、条件ダウンの転職をしたのは私だけ。すごく惨めでしたね。今思えば、なんであんな転職したんだろうと思います」

あの頃の自分は何もかもが甘かったと苦い顔をするG介さんは、これから転職する人は絶対にお金のことをしっかり確認すべきと繰り返した。

「転職活動の時に、お金のことやモデル給与、福利厚生などの条件について確認することを、失礼だとか、非常識だとか思ってはいけませんね。生活に直結することだからこそ、納得するまで交渉すべき。今の日本では、転職回数が多いと不利になりがちですし、中小企業から大手への転職は難しくなる傾向にあります。インターネットの情報に惑わされず、自分で客観的な情報を仕入れて、総合的に判断することが最も重要だと痛感しました」

type編集部からのアドバイスをCHECK!

転職活動が成功して、無事内定が出たら、まず行って欲しいのが「どんな条件で入社するか」を企業と交渉すること。G介さんの場合は、「なんとかなるだろう」と転職先のモデル給与や経営状況、福利厚生など条件面をしっかりすり合わせしないまま転職してしまいました。

こうならないためにも、まずは転職先の財務諸表をチェックしたり、客観的な情報を収集してみましょう。その上で、「自分で交渉するのは難しい」と思う人は、転職エージェントに頼めば、年収交渉を代わりにしてくれるのでオススメですよ。

面接で確認した条件と、内定後に提示された条件が大幅に異なる場合は、まずは面接時にどういう説明を受けたか整理して伝えること。そして雇用条件は書面で受け取るのがオススメです。

ただ、G介さんのようにいきなりファイティングポーズを取って、交渉してやるという姿勢は考えもの。あくまでも「相談」ベースで進めるのが得策です。黙って内定を辞退したり、感情的になるのではなく、「最初の想定とは違う」と冷静に相談してみると良いでしょう。

参照:内定後の「交渉」って何をするの? 転職で後悔しないために知っておきたい入社前交渉術

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文/石川 香苗子


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