dely株式会社代表取締役 CEO 堀江裕介さん 1992年群馬県生まれ 2014年慶應義塾大学在学中にdely株式会社を設立。フードデリバリーサービス、キュレーションメディアを立ち上げ後、2度の事業転換を経て2016年よりレシピ動画サービス『kurashiru』を運営。17年8月にはレシピ動画本数が世界一に。同年12月にはアプリが1000万ダウンロードを超えるなど、kurashiruを日本最大のレシピ動画サービスに成長させている。Forbesによる「アジアを代表する30才未満の30人」にメディア・マーケティング・広告部門で唯一の日本人として選出された。18年7月にはdelyがヤフーの連結子会社化されたことが大きな話題になった
「自分を少年ジャンプの主人公だと思えば良い」dely堀江裕介が語る“ズバ抜けた”人になる極意【藤原和博対談】
教育改革実践家の藤原和博さんが、経営・人事分野のプロフェッショナルをゲストに迎え、これからの時代に必要となる“働く力”について語る、typeの動画コンテンツ「10年後、君に仕事はあるのか?」。
記事前半の本記事では、国内最大級のレシピ動画サービス『kurashiru(クラシル)』を運営するdelyの堀江裕介さんを迎え、彼のキャリアを振り返ってもらおう。
後半では、「個の時代」にビジネスパーソンが“稼げる人”でいるために必要なスキルを、堀江さんと共に紐解いていく。
※この記事は「typeオリジナル キャリア動画」を一部編集の上、テキスト化したものです。
結城(司会):これからの世の中はAIやロボットの発達によって便利になる一方、今よりも仕事が減少していくことが推測されています。では、どのような力を身に付ければこの不確かな時代を生き抜くことができるのでしょうか。
藤原:初回のゲストはレシピ動画サービス『kurashiru』を運営するdely株式会社代表取締役 CEO の堀江裕介さんです。
堀江:よろしくお願いいたします。
藤原:堀江さんの経歴が面白いのは、慶應大学をほとんど通わずに辞めちゃったことだよね。
堀江:そうなんです。
藤原:ホリエモンも東大に行ってすぐ辞めちゃいましたよね。学校より仕事の方が面白くなっちゃったの?
堀江:学業と仕事を同時にやり始めた時に、「あれ、学校で会計・法律・プログラミングを学んで、全部エキスパートになろうと思ったら、死ぬまで経営者になれないな」と思ったんです。「自分にとってどのスキルが一番大事なのか」というのを、追い込まれながら考えてみようと思って。
実際に今まで僕の会社は大きい資金調達をしてきているんですけど、実はそこにはCFOなどの専門家がいるわけではないんです。僕が自分でファイナンスの勉強をしながら、100億円クラスの資金調達をやってたので、今振り返るとそれで実力がついたと感じますね。
『kurashiru』成功の前に経験した、フードデリバリー事業の失敗
藤原:学生のころ、最初はフードデリバリーサービスにチャレンジしたんだよね。『kurashiru』を始める前に失敗してしまったと聞いているけど、それはなぜ?
堀江:フードデリバリーは僕の初めてのサービスだったんで、いくらお金が必要なのか全く分からなかったんです。最初は僕が持っていた1万円からスタートして、半年後に5千万円くらい調達したんですけど、あのマーケットでビジネスをするには100億から200億円くらい必要でした。そこが一つ、当時の自分の力では無理だった。
そしてもう一つは、デリバリーってアメリカでは流行っているけど、日本のサービスとしては難しかったんです。日本だと競合がデリバリーの会社ではなくて、コンビニだったんですよ。インド・中国なら成功しているビジネスモデルだったと思いますが、コンビニが街中に溢れている日本では厳しかったなと思います。
藤原:なるほど。それで、22歳で『kurashiru』を作ったということ?
堀江:『kurashiru』を出したのは2016年なので……23か24歳でしたね。
藤原:早いね! きっとそのスピーディーさに、若い人達は惹かれるんだろうね。『kurashiru』っていうネーミングはどうして?
堀江:もともとライフスタイルの領域でメディアを作ろうと思っていたのがきっかけなんです。自分のネーミングセンスには自信がなかったので、アルバイトの子に考えてもらいました。
サービスって、何が当たるか分からないんですよ。だからサービス名にあまりにも意味を持たせ過ぎると、その事業領域から離れられなくなっちゃいます。なのでネーミングは響きで選んでますね。社名の『dely』も、今デリバリーをしてるわけじゃないのに残してますし。
ダメでも必ず這い上がれる。人生をストーリーとして考えた
藤原:デリバリー事業が厳しそうだとなって、経営を諦めてしまいたくなったことはなかったの?
堀江:いや、僕自身は全くなかったですね。でもその時は社員が皆辞めて、オフィスに一人になりました。
藤原:全員辞めちゃったの?
堀江:そうです。その当時は、もちろんきついなと思ってはいました。でも、僕はよく人生をストーリーで考えるんです。例えば、少年ジャンプの単行本の1巻とか見ると、大体主人公は負けてますよね。でも3~5巻くらいから這い上がっていく。少年ジャンプって、共通してそういうストーリーがあるんです。
藤原:友情・努力・勝利の、努力の部分だ。
堀江:それです! 僕はその「主人公が負けちゃうシーン」を手に入れたなと思いました。僕の人生の1巻2巻が終わったから、この次は3~5巻でジャンプするんだなと思いました。
小学生の時のから「ズバ抜ける方法」を考えていた
藤原:そういう堀江さんって、どんな子どもだったの?
堀江:目立ちたがり屋でした! それは今も変わらなくって、ズバ抜ける方法ばかり考えています。
藤原:例えば、小学生くらいの時の「ズバ抜ける方法」って何?
堀江:とにかく面白いやつになることですね。何でもいいんですよ、授業中に急に上半身裸になってるとか(笑)。小学生の時って、足が速いか、面白いことが人気者の条件じゃないですか。僕は足が速かったんで、面白いも手に入れようと思ったんです。そうやって小学生の頃は負け知らずでしたし、中学生では勉強をしなくてもできていたので、目立っていたと思います。
でも高校に入ったら、自分よりすごいやつが出てきたんです。特にそれを感じたのは、所属していた野球部でのこと。僕は野球で誰よりも練習したつもりだったのに、その年にドラフト1位でそのまま高卒ルーキーになったスゴイ選手が他校にいたんです。そいつを見た時に、「人生は平等じゃないな」と感じました。
努力していたとしても、「正しい努力」をしていないと勝てないですし、「戦う場所」を選ばないとズバ抜けられないなと思ったんです。
藤原:舞台が大事だと。
堀江:そうですね。僕が野球でどんなに頑張っても大谷翔平にはなれない。その現実を10代から知っていたから、慶應に行っても「この何万・何十万人という優秀な同級生が、ゴールドマンサックスや電通とかに行こうとしてる中で、目立つ方法は何だ」と考えていました。僕は別にめちゃくちゃ頭がいいわけではなかったので、「起業する」という方法が一番ズバ抜けられるんじゃないかと思ったんです。
藤原:自分の土俵を自分で決めていったんだね。
堀江:人生は不平等だからこそ、スタートラインは全員同じところではないんです。それなら、僕は1000メートルぐらい先からスタートしたいと思いました。それなら、新卒で有名企業を受ける人じゃなくて、有名企業から営業を受ける側に回ってしまえ、と思ったんです。
藤原:分かりやすいね。要するに、“向こう側”に回っちゃうっていうこと。
「自分には能力がない」から、真っ当に勝負しにいかなくてよかった
堀江:おかげで、『kurashiru』を作ってからは、大手有名企業とたくさん仕事ができるようになりました。
大学時代に「自分が一番才能がある分野はどこだ」って探した結果、分かったのは「自分には能力がない」ということでした。だからある意味「逃げ」なんですけど、それが僕の戦略で。真っ当に勝負しにいかないことを選んでよかったです。
藤原:怖いくらいリアリスト! 自分自身をこんなに見つめられる人っているんだね。ただ本当に、周りの皆が電通やゴールドマンサックスに行きたいっていう時期に、そういう企業が向こうから挨拶に来るような存在になるためにはどうしたらいいかを考えたのはすごいと思う。少しは考える人もいるかもしれないけど、それを実行したのが堀江さんの強さだよね。でも、料理の分野に絞ったというのはなぜ? それとも何か他にも候補はあったの?
堀江:試行錯誤はたくさんしましたし、いろんな事業を考えたんです。でも僕の場合は、どんなサービスをやっていても楽しいんですよ。だから事業ドメインにこだわりはなく、楽しいことだったらやると決めていました。だから料理じゃなくてもいいし、極論別にそれがインターネットじゃなくてもよかったんです。
>堀江さんが考える「稼げる人」になるためにするべき具体的なアクションとは? 後編はcoming soon!
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企画・撮影協力/(株)ビジネス・ブレークスルー
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