転職 Vol.718

「会社も上司も全部嫌い」逃げ出し転職をくり返す20代女性の末路

type編集部が回避法をレクチャー!
入社した会社でまずは数年頑張らなきゃ、なんて一昔前の話。今では20代の転職希望者も、若手を採用したい企業も増えてきた。 とはいえ「そろそろ自分も……」と思っても、初めての転職は分からないことだらけ。せっかくの貴重な20代を、失敗で終わらせたくない! そこで、typeに訪れた「20代で転職に失敗した人」たちのエピソードを、type編集部のアドバイス付きで紹介。先輩たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう
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31歳(女性・年収350万円)山田さんのケース22歳 地元の大学を卒業後、旅行会社のカウンター営業として就職(年収250万円)
26歳 国際物流仲介会社で派遣社員として勤務(年収370万円)
27歳 食品系商社の事務職に転職(年収380万円)
29歳 外資系商社での営業サポートに転職(年収420万円)
転職活動期間:2カ月
希望条件:前職より高い給料、語学力が活かせること
妥協した条件:通勤時間60分以内、希望と違う部署への配属
応募社数:1社、書類選考通過:1社、1次面接通過:1社、内定社数:1社

「上司が本当に使えない!」
日に日に募る会社への不満

ドイツ語が堪能だったと言う山田さん(仮名)は、大学卒業後に旅行会社のカウンター営業や、国際物流仲介会社での業務など、語学力を生かして働ける仕事を経験してきた。27歳の時に「もっとキャリアアップがしたい」と、3社目の会社に転職。しかし転職先で待っていたのは、納得のいかない経営方針にパワハラ上司の存在、一向に上がる気配のない給料……と、会社に対する不満ばかりだった

「特に私の上司は本当に気難しくて、不機嫌なときには所かまわず怒鳴り散らすような人。彼が関係部署と対立したことで、不要な業務が増えるなんてこともよくありました。そんな上司のもとで働くことに、すぐに限界を感じてしまったんですよね。他にも、企業としての先行きの見えなさや、明らかにおかしい経営方針、給与形態も、何もかもが不満だったんです」

山田さんは当時のことを振り返って、「とにかくあの上司は使えなかった」と言い切る。客観的に見ると、職場への不満ばかり言っているようにも思えるが「何もかもが嫌で、とにかく転職したかったんです」と彼女は力説した。

「転職を決めた時には、いろんな願望があったんです。年収の大幅アップも目指したいし、得意なドイツ語を生かしてもっと良いポジションでキャリアアップしたかった。嫌なことが続いたので、とにかく良い条件の会社に早く移りたかったですね」

1社応募して1社内定
順調な転職活動の先に待っていた「女のマウント劇場」

転職エージェントを利用して転職活動を行い、紹介された1社の選考を受け、スムーズに内定を獲得。順風満帆な転職活動だったと山田さんは振り返る。

「すぐに転職先を決めたかった時に紹介された一社で、とんとん拍子に話が進んで。選考中は丁寧に4回も面接していただいたし、面接官からは『一緒に頑張ろう』と優しい言葉も掛けてもらえた。すぐにこの会社のことが気に入り、早く入社して会社に貢献するぞ! という気持ちでいっぱいだったんです」

そうして決めた次の転職先は、外資系商社。セールスアドミニストレーターという営業をサポートする仕事に就いた。意気揚々と、希望に満ちあふれた再スタートを切ったように思えたが……

「転職でキャリアアップできた、もうあの上司と働かなくていい、と幸せな気分になれたのは最初のうちだけでした。なんとその会社では、女性の上司が部下たちにひどい暴言を浴びせていたんです。さらにやっかいなのが、男性の管理職がいないところで女性社員たちに『何でこんなこともできないの?』『あなたのせいだから!』と罵声を浴びせていて。こんなにひどいこと、前職でも言われたことありませんでした。次第に、『前職に戻りたい』『あの時もっと周りに助けてもらえば、転職せずに済んだのに』とひどく落ち込みましたね」

自分の見通しの甘さや早過ぎた転職の決断を悔いている山田さん。「この転職先で失ったものはとても大きかった」と続けた。

「通勤時間も長い上に、残業を半ば強制されていたので、自分の時間は減る一方。仕事をしている平日は、家と会社の往復だけで何もできない日々が続きました。そして、一番の弊害は精神的な健康を失ったこと。上司の言葉が強過ぎて、まさかの精神科に通うまでにメンタルをやられてしまったんです。結局うつの診断書を提出して退職することに。いつも前向きに仕事をしてきた自分が、まさかこんなとこになるなんて……」

“愚痴ばかり転職”は失敗のもと!
Type転職エージェント キャリアアドバイザーからのアドバイスをCHECK

では、今回のケースを「失敗転職」にしないために、山田さんは何をすべきだったのか? type転職エージェントのキャリアアドバイザー・梅田翔五さんに話を聞いた。

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type転職エージェント キャリアアドバイザー 梅田翔五さん新卒で大手製薬メーカーに入社。その後、ベンチャー企業にてWEBコンサルティング営業に従事する中で「モノ」や「サービス」ではなく、関わる「人」に1番興味・関心があることに気付き、type転職エージェントのキャリアアドバイザーへ。数多くの転職者を転職成功を導き、現在はインダストリマネージャーとして、転職者へのキャリアアドバイスだけでなく、営業領域を担当するキャリアアドバイザーのマネジメントも行っている

今回の山田さんのケースでは、現状に不満があるあまり、焦って選考が進んだ1社だけで転職活動を終えてしまったことにまず原因があると言う。

「転職先の候補が1社のみでは、勤務条件や人間関係、働き方などを他社と比較して、相対的に判断することができません。個人差はあるものの、10社〜15社程度は検討し、実際に4~5社の面接を受けるという人が多いですね。複数の企業を見ることで、どんな会社が自分に合うか改めて考えるきっかけになりますし、各社の社風の違いなども見えてくる。特に人間関係で悩んでいたなら、複数社を見て社内の雰囲気を比較検討すべきだったと思います」

さらに、山田さんのように「会社の愚痴ばかり」を言うタイプの人は、転職がうまくいかないことも多いと諭した。

「人間関係が嫌だ、上司が使えない、などと言って転職する人は非常に多いです。でも、『この人が嫌だ』と逃げるように転職した方の場合は、次の職場でも同じような不満を持つことが多いのも事実。どこの職場にも、自分と合わない性格の人がいる可能性はありますからね。山田さんの場合もまずは転職活動を始める前に、本当に何をしても現状は打破できなかったのか試行錯誤する必要はあったと思います。『この人が苦手だからダメだ』とすぐに見限るのではなく、他の上司や周りに相談を持ちかける、異動の打診をしてみるなど、自分にできる工夫をした上で転職を選択するのがベストでした」

「もちろん何を言っても現状が変わらないなら、病気などになる前に逃げることも大事」と梅田さんは言うが、人間関係に悩んで転職を検討する際は、まず自分自身に「全てを周りのせいにしてしまう癖」がついていないか確認することが第一だ。

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文/石川 香苗子


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