キャリア Vol.722

キャリア10年目なのに仕事ゼロ! “どん底俳優”だった加藤諒を売れっ子に変えた3つの心掛け

目指すは“指名”される人!
大企業勤めでも、安定なんて得られない時代。「個の力」を高めることが、僕らが未来をサバイブしていくカギだ。ではどうすれば、自分の力で働ける人になれるんだろう? 実際に「自分の名前」を武器に仕事をしている著名人に、“自分ブランド”の育て方を聞いてみた!

「自分の名前」を武器に仕事をするなんて言われても、そんな特別なもの持っていないし……というのが正直な話。目につくのは欠点ばかりで、他人より秀でたものが見つからず、落ち込む人も多いかもしれない。

俳優・加藤諒さんにも、人知れず自分のブランディングに悩んだ日々があった。インパクト大のビジュアルも今となっては強力な武器だけれど、無名時代は見た目がアダとなって「使いにくい」と敬遠されたり、「主役は無理」と烙印を押されたことも。

それが6月28日公開の劇場版『パタリロ!』をはじめ、近年は主演作も多数。個性派でありながらセンターを張れる俳優としての地位を確立した。一時期は仕事が全くなかったという加藤さん。一体どうやってどん底から唯一無二のブランドを築き上げたのだろうか

加藤 諒さん
加藤 諒さん
1990年2月13日生まれ。静岡県出身。2000年、10歳で『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)に出演し、芸能界デビュー。以降、映画『HINOKIO』、映画『デトロイト・メタル・シティ』などに出演。近年の主な出演作に、舞台『パタリロ!』、映画『ギャングース』(主演)、映画『翔んで埼玉』、映画『PRINCE OF LEGEND』など。ドラマ『恋と就活のダンパ』(NHK BSプレミアム)では主演を務めた他、7月スタートのドラマ『焼肉プロレス』でも主演を飾る

ずっと“イケメンじゃない子”扱いをされてきた

加藤諒さんの芸歴は長い。10歳で芸能界デビューし、今年で芸歴18年。さらに特技のダンスは5歳から地元のスタジオに通い、一生懸命練習を重ねた。しかし、この頃から加藤さんの“不遇”時代は始まっていたと言う。

「スタジオの中にいると、僕は手足も短いしバランスも悪いので、なかなか目立つところに立たせてもらえない。真ん中でキラキラしているイケメンの子たちを見ながら、僕もセンターで踊りたいなと憧れていた時期がありました」

頑張ったら自分もいつか主役をやらせてもらえるんじゃないか。夢見るピュアな子ども心は、厳しい現実の前で無残にも打ち砕かれた。

『いつか主役をやりたいです』って話したら、『諒くん、主役やりたいとか思うんだ……』って言われちゃって。その反応を見て、自分には主役は無理なんだって思い知らされました」

加藤諒

仕事はもらえるもの。その考えを捨てた時、加藤諒の逆転劇が始まった

さらに、10歳から始めた芸能活動にも暗雲が。“子役”と呼ばれる時期が過ぎ、大学時代には仕事量ががくんと低下。一時は仕事がゼロという辛酸を舐めた。

「同世代の子たちと舞台をしていても、他の皆は次の現場の台本を読んでいるのに、僕だけ何もないから、一人でむなしくストレッチしていることなどがあって(笑)。あの時は辛かったですね」

ドラマや映画のオーディションに行っても、なかなかチャンスを掴めない。あるオーディションでは「演技はいいけど、顔が主役の子より悪目立ちしている」と審査員からダメ出しされたことも。主役も無理だし脇役も無理。このままでは事務所をクビになるのでは……という危機感に襲われる日々が続いた。

そんな停滞を打ち破るきっかけになったのは、ある人物から言われた痛烈な一言だった。

「『もっと自分で仕事を取ってくるつもりでやらないと』って言われて。その言葉で初めて受け身になっていた自分に気付いたんです」

加藤諒

事務所からオーディションの話をもらえるのが当たり前。そう決め込んでいた加藤さんにとって、それは常識外の発想だった。

「そこから自分で舞台のワークショップを探して受けるようになって。その場で監督に『見た目もこうだし、キャラクターが強くて使いづらいかもしれませんが、隅の役でもやりますので、何かお話があったらよろしくお願いします』ってひたすら自分から営業をしていました」

仕事を取ってくるのはマネジャーの役割。タレントは来た仕事に全力で応えるのが責務。そんな当たり前を飛び越えるところから、加藤さんの逆転劇は始まった。

「まあ、それでいただけた仕事は一つもなかったんですけどね(笑)。でも、こういうお仕事って、どうしても受け身になることが多くて。自分に興味を持ってもらうには、まずは行動で示していかないと。そういう積極性とか行動力を身に付ける良い経験になりました」

欠点こそが武器。イケメンじゃない自分のダンスだから面白がってもらえた

そして忘れもしない2015年8月。『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に出演。当時ブームを呼んでいたエグスプロージョンの『本能寺の変』を本家と共に踊り、そのキレキレのダンスが話題に。一夜にして「加藤諒」の名は日本中に拡散された。

「僕のダンスって決して上手ではないんですよ。スタジオで上手い子の選抜にも入れなかったくらいですから。でもこのビジュアルとのギャップが面白くて、すごいと言っていただけたのかなと。長い間ダンスを習ってきて良かったって、あの時思いました」

加藤諒

そこからの活躍は周知の通り。結局、彼を唯一無二の存在へと押し上げたのは、他でもない、彼自身がずっと欠点だと思っていたビジュアルだった。

「欠点こそが武器になると思うんですよね。欠点があるからと言って、そこで自信をなくすのではなく、武器にできた時に本当に強くなれる。僕なんて手足も短いし顔もでっかいし。でも、そういう人が本気で踊っているから面白い。自分の欠点を何と掛け合わせたら面白くなるか。その答えが出た時、“自分ブランド”が見えてくるんだと思います」

チャンスが来たときほど本業をブラすな。地に足のついた戦略がブランドを育てる

とは言え、見た目の面白さだけで生き残っていけるほど芸能界は甘くない。むしろバラエティーでの“キャラ売り”はタレント生命をいたずらに浪費しかねないし、何よりも加藤さんのイメージが濃くなれば濃くなるほど、俳優として余計に使いづらくなる。

そうしたリスクをはね除け、ブレイクから4年経った今も加藤さんはメディアに出続けているどころか、劇場版『パタリロ!』など主演作が目白押し。「お前には無理だ」といわれ続けた主役への道を自らの手で切り開いた。

「ありがたいことにいろんなバラエティーに出させていただいていますけど、僕の主戦場は役者業。そこをブラさずにやってこられたことが、夢を叶えられた理由なんじゃないかと思っています」

思わぬチャンスが訪れた時、つい目先の人気や評価に気をとられて、足元がおろそかになりがち。だけど、加藤さんはその逆。知名度が一気に向上し、人気者の座についたからこそ、ちゃんと自分は何がしたいのか、これからの自分にとって必要なことは何なのかを冷静に見極め、行動に移した

「バラエティーでオネエっぽい感じでやっている分、お芝居では全然違うものを見せたいというのはありました。たとえば『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)では女好きの先生の役。『ギャングース』は貧困問題を扱ったシリアスな作品で、少年院上がりの窃盗犯という役をやらせてもらいました。バラエティーで見る僕とは違う、新しい一面を見せることができたから、今もこのお仕事を続けられているのかなと」

加藤諒

これだけ忙しくなった今も俳優としての修練は欠かさない。年間の映画鑑賞数は100本以上。オフの日は映画館を4本ハシゴすることも珍しくない。すべては俳優としてもっとたくさんのクリエイターから呼んでもらうため。加藤さんの行動原理は、常に「俳優として」なのだ。

「いろんな作品の話が出てきても、自分が観ていないと、それだけで話についていけなくなる。監督さんやスタッフさんから信頼してもらうためには、共通言語を持つことが大事ですから、そのためにもインプットは欠かせません」

全く売れない時代を乗り越え、加藤諒さんが自分ブランドを築き上げることができた理由は3つ。自分の欠点を武器に変えたこと、自分の本業をブラさなかったこと、絶えずインプットを続けたこと。この3つが、俳優・加藤諒を唯一無二の存在にした。

「あともう一つだけ付け加えるなら、“続けること”ですかね。ブランドなんて、そんな簡単にできるものじゃないと思うので。僕だって10代のうちに辞めていたら今はないですし。地道に続けていれば、自分を引き上げてくれる出会いに恵まれることもある。みーちゃん先生(『パタリロ!』の原作者である漫画家・魔夜峰央の愛称)との出会いもその一つですね。月並みですけど、諦めたらそこで終わりなんです」

同世代の活躍を目にすると、どうしても自分も早く結果を出さなくちゃと焦りがち。でも、本当に飽きられないブランドは、長い年月の積み重ねの先にある。ビジネスパーソンにとっての20代は、その土台を固める時間なのかもしれない。

劇場版「パタリロ!」

6月28日(金)TOHOシネマズ 新宿ほか全国順次ロードショー!
原作:魔夜峰央「パタリロ!」(白泉社刊)
監督:小林顕作 脚本:池田テツヒロ
出演:加藤諒/青木玄徳 佐奈宏紀/細貝圭 金井成大 石田隼 吉本恒生 三津谷亮 小林亮太/松村雄基 近江谷太朗 木下ほうか 池田鉄洋/須賀健太 鈴木砂羽/魔夜峰央/西岡德馬/哀川翔 ほか
配給:HIGH BROW CINEMA
©魔夜峰央・白泉社/劇場版「パタリロ!」製作委員会2019

取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太

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