キャリア Vol.736

「人・モノ・金は“大儀”に集まる」注目の20代女性社長【椎木里佳×正能茉優】が採用面接で重視すること

教育改革実践家の藤原和博さんが、経営のプロフェッショナルをゲストに迎え、「働く力」について考えるtypeの動画コンテンツ「10年後、君に仕事はあるのか?」。

今回のゲストは株式会社AMFを15歳で起業し「女子高生社長」として一躍脚光を浴びた椎木里佳さんと、“可愛いを入り口に地方を元気にしていく会社”ハピキラFACTORY代表取締役であり、ソニーモバイルコミュニケーションズの社員も兼業している正能茉優さん。

後半の記事では、注目の女性社長二人に「面接で重視すること」について教えてもらいました。

(左)株式会社ハピキラFACTORY 代表取締役 正能茉優さん
1991年生まれ。小学校6年生から高校卒業までの7年間、読売新聞こども記者として活動。2010年慶應義塾大学総合政策学部に入学、慶應義塾大学在学中の12年に「小布施若会議」を創設。13年、ハピキラFACTORYを創業。卒業後は同社の代表を務めると共に、広告代理店でプランナーとしても働く。16年ソニー株式会社に転職、18年には慶應義塾大学大学院特任助教に就任
(右)株式会社AMF 代表取締役 椎木里佳さん
2013年、中学3年生で株式会社AMFを設立。女子中高生メンバー50名を擁する「JCJK調査隊」を率いたマーケティング・リサーチ業務で成果を残し、“女子高生社長”としてメディアにも多数出演。著書に『女子高生社長、経営を学ぶ』『大人たちには任せておけない!政治のこと』がある。16年「フォーブスが選ぶ30歳未満の30人」の1人に選出された

魅力的な“物語づくり”は「売る力」に直結する

藤原

前半の記事では「自分の価値の高め方」について教えてもらいましたね。今度は、二人に“経営者としての意見”を聞きたいと思っています。
もし二人が面接をすることになった場合、求職者のどんな点を重視しますか? もしくは、「必ず聞く質問」ってある?

椎木

私が面接で重視することは、「いかに自分のことを語れるか」ですね。「自分はこれだけのことができます」ということを恥じずに言えたり、今までの実績を言語化して伝えられるというのはすごい才能だと思うので。

藤原

なるほど。でも、過去の経歴って盛ろうと思えば盛れるよね?

椎木

それでもいいと思っています。「ストーリーを自分でつくることができる」というのが最も大事だと思うので。それができないと、自社の商品も絶対にPRできないじゃないですか。だから、盛ってでもいいから自分でストーリーを組み立てて、ベラベラ喋ることができるくらいの、肝が据わっている人は魅力的だと思います。

藤原

自分のことを語れるコミュニケーション力が大事だということだね。

地方貢献から学んだ経験
人やお金は“大義”の下に集まる

藤原

正能さんはどう?

正能

私は、「あなたの人生に“大儀”はありますか?」って聞きたいです。

藤原

人生のコンセプトみたいなことかな?

正能

私、“社会の中でどんなことをしたいか、社会とどう繋がっていきたいか”っていう発想ってすごく大事だと思っているんですね。
だって、単純に「私はこういうことがしたいんです」っていうだけなら、「それは趣味でやってください」って感じじゃないですか。

藤原

間違いない。

正能

そこに人やお金がついてくるかどうかは、“大儀を背負っている”かどうかだと思うんです。だから社会との繋がりの中で、自分のやりたいことや好きなことを語れるかどうかだったりや、その想いの深さを知りたいですね。

藤原

8割方の人が黙ってしまうかもしれないね(笑)
でも、イギリスのパブリックスクールやボーディングスクールでも、授業でそういうことを聞かれ続けるそう。「あなたは何のために生まれてきたのか」ということから、「世界に対して君はどんな貢献ができるのか」「君は世界にとってどういう存在なのか」ということを徹底的に考えさせられるんですよ。

正能

私が小布施という地域のプロジェクトを始めた時、「大好きな小布施を皆に知って欲しい」って自然に思っていたんですけど、「地方を元気にしたい」って言った瞬間にいろんな人が助けてくれたんですよね。そうやって7年間を歩んできたので、“人って、大儀を背負っている人にはお金や労力を割きやすいんだな”と分かったんです。自分の実体験からも、“大儀”って大事だなって。

藤原

とても共感しますね。僕は過去、義務教育で学力低下問題が起きた時に、「たった一人からの教育改革」ということを旗印にして、東京都初の民間人校長に赴任した経験がある。その時あえて教育委員会に入るのではなく、政治家として評論するのでもなく、“現場”に入ったのはこういった理由なんですよ。

正能

そうだったんですね。

藤原

義務教育の改革を“現場”という不利な立場からやろうとしたら、谷川俊太郎さんやノーベル賞を取った直後の小柴さん、皆が助けに来てくれたんです。
要するに、「社会の何かを良くする」という一本筋が通っていると、結構いろんな人が助けてくれるんだよね。日本も、割と余裕のある人が多くなってきているから。
しかも、不利な勝負であればあるほど、そのパワーがすごく集まる。有利な勝負だと「まあできるよね」みたいになっちゃうじゃない? だから やっぱり不利な勝負こそすべきだよね。

正能

すべきだと思います。

藤原

「ストーリーをつくる力」と「大儀」。どちらもすごく大切なことだよね。転職を考えている人はぜひ、この二つについて改めて考えてみてください。

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