キャリア Vol.741

「数字だけにとらわれる営業マンは大成しない」経営者が教える、若手が“自分以外に目を向ける”ことの大切さ

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部下を持たない20代の中には、「個人の成果重視」で働いている人も少なくないだろう。特に営業職は、個人プレー、売上至上主義で、一人で数字を追い続ける人も多い。

しかし、「自分の成績にしか興味が持てない営業マンが大成することは決してない」と断言する人がいる。スマートフォン専業広告代理店・アイハーツの代表、野田憲史さんだ。

2010年に同社を創業して経営者となった野田さんも、20代の頃は営業職からキャリアをスタート。会社員時代に個人の営業成績を飛躍的に伸ばせるようになったのは、「チームへの貢献」を意識し始めた時だったという。

営業成績を伸ばしたいなら、自分の仕事に専念した方がいいのでは……?
普通はそう思うものだが、なぜチームのために働くと、個人の営業成績まで上がるのか、その理由を聞いた。

アイハーツ株式会社 代表取締役 野田憲史さん

アイハーツ株式会社 代表取締役 野田憲史さん

広島県出身。サッカーで日本代表候補に選出された経験を持つ。1996年に大学卒業後、大手ベビー用品会社へ入社し、営業職としてトップクラスの成績で活躍する。2000年にベンチャーへの転職を期に、営業本部長・常務執行役員に就任、会社の年間売上を3000万円から30億円規模まで拡大させる。10年にアイハーツ株式会社を設立

営業成績は上がっているのに社内の評価は反比例
個人目標の達成ばかりに執着していた新人時代

私は子どもの頃からサッカー一筋で、学生時代には日本代表候補に選ばれたこともあります。大学卒業後にはプロテストも受けましたが、結果は落選。当時は非常に悔しい思いをしましたし、プロサッカー選手になる以外の道を想像していなかったので、どうしたものかと途方にくれました。

そんな時、尊敬する経営者の方からこう言われたんです。「サッカーのプレイヤーとしてプロになるのではなく、 企業経営のプロになってみてはどうか」と。つまりこれは、オーナーとして好きなものに関わってみてはどうかという提案。そうか、そういう道もあるのかと視界が開けました。

そうは言っても、どうすれば経営者になれるのか、学生時代の自分に明確なビジョンはありませんでした。そこでまずは、営業として働くことでビジネスの仕組みを知ろうと思い、国内ベビー用品最大手の企業に入社しました。

アイハーツ株式会社 代表取締役 野田憲史さん

入社当時は、「起業家を目指すからには、まずはこの会社で1番にならねば」と張り切っていて、がむしゃらに売上目標を追っていたことを覚えています。会社から求められていたわけでもないのに、新規のクライアント開拓を勝手に進めたりもしていましたし(笑)

努力の甲斐あって順当に営業成績は伸びましたが、当時の私は「自分の数字さえ上がればいい」と思っていたところもあって。目標を達成しているから何したっていいだろうという態度だったんですよ。提出物の期限は守らないし、上司の指示は無視するし……、今思えばやりたい放題の新入社員でした。

すると、営業成績に反比例して、社内での評判はみるみるうちに落ちていきました。「俺は数字を上げて会社に貢献しているのに、なんで評価してくれないんだ」と卑屈になっていく自分もいましたね。

ある時、そんな私を見かねた会社の先輩が、「君は誰からお金をもらっていると思う?」と聞いてきました。何でそんなことを聞くのか分からずに黙っていると、先輩は次のように続けたんです。

「あなたに給料を払っているのは、会社でしょう? 社外の方から評価を得るのも大切だけど、同じように社内の人にも敬意を持って接しなければ、評価もされないし成長はできない」と諭されたんです。

注意されたことに少しムッとはしたものの、いじけていてもらちが明かない。先輩が言うことも一理あるなと思ったので、お客さまとのコミュニケーションで大事にしていたことを社内の人にも同じようにやってみることにしました。

20代は「小さな成功体験」を継続させるべき

実際、先輩に言われた通りに社内コミュニケーションの方法を見直してみて驚きました。自分に助けの手を差し伸べてくれる人が、たくさんでき、個人の営業成績も社内評価も一気に上がっていったんです。

その時に、「ああ、今までの俺はなんて自分勝手だったんだ」と、反省して。組織の中でチームメンバーが支え合うことの重要性を痛感しました。

アイハーツ株式会社 代表取締役 野田憲史さん

もう一つ、この一件で気付かされたことがあります。

それは、誰かにアドバイスをされて自分が「一理ある」と思ったのなら、すぐに吸収して実行すること。そしてそれを成功体験として自分の中にストックし、継続させることの大切さです。

本当に些細なことでもいいんですよ。例えば、「営業先の受付の方にも敬意を持って接すると良い」と聞いて、実際に案内してくれたお礼だけではなく雑談までしたら仲良くなれて、その後商談をする相手に関する情報を教えてくれた経験とか。名刺交換をするときにワンフレーズ付け加えた方が良いと知ったら、「苗字が珍しいんですね。ご出身はどちらなんですか?」と聞いて相手が笑顔になってその後の会話もスムーズになったとか。

そういう「あ、こういう行動っていいな」と思ったことを自分の中に貯め込んで、次同じようなシーンがあったら応用してやってみる。そんな風に営業活動を続けていくと、どんな時でもお客さまが喜んでくれる対応ができるようになって、信頼関係が少しずつ構築され、受注にも結び付いてくることが分かりました。

それは私が転職した先でも応用が効きました。私は27歳で当時流行っていたガラケーの広告代理店からオファーを受けて転職したのですが、当時ベンチャーだったその企業で、次々と大手クライアントの広告を獲得することができたんです。

そうやって「いいな」と思った些細な行動を続けるって、一見すると地味なことかもしれません。しかしそういった小さな成功体験が積み重なれば、次第に大きな収穫が生まれるものなのだと確信することができました。

大きなことを成し遂げたいなら、目の前の数字にとらわれ過ぎてはいけない

20代の時にそうやって自分の中の「小さな成功体験」を蓄積できたことは、私のその後のキャリアにも大いに役立ちました。

私が37歳の時に「日本にスマホが上陸する」ということに大きな可能性を感じ、起業することを決めた時もそうです。ありがたいことに20代から続けていた「社内外の人を大切にする」という信念に共感してくれた人たちが集まり、起業を後押ししてくれて。そして、スマートフォン専業の広告代理店・アイハーツを立ち上げることができました。

アイハーツ株式会社 代表取締役 野田憲史さん

振り返ってみると、小さな成功体験を積んで自分をレベルアップさせるというキャリアの積み方は、若かったからこそできたのかなあと思うこともあります。だって、20代の頃の私は自分のことを「無敵」だと思っていて、成長の伸びしろは無限にあると思っていましたから(笑)。若いからこそアドバイスをくれる先輩たちもたくさんいましたし、もっと無敵な自分をつくりたいと前のめりに仕事に取り組むことができました。

だからこそ当社でも、20代の若手には小さな成功体験を積み重ねるような機会を設けるようにしています。

当社ではスマホ広告という、今の若手にとっては馴染みのある商材を扱っていることもあって、20代前半の社員が多く在籍しています。でも彼らには若手時代の私のように「数字だけ追えばいい」とは思ってほしくなくって。

だからこそ「皆でお互いを思いやりながら、切磋琢磨していく」という社風を何より大事にしたいと思って、社内の環境づくりを行っています。欠点があればズバリと指摘して周りがアドバイスすることを良しとしていますし、逆に良いところは認めて皆で協力し合おうと、社員には常日頃アドバイスをしていて。私の経験からも、当社で営業成績を伸ばしている社員を見ていても、「自分以外に目を向ける」ことは20代の成長において最も大切だと思いますからね。

そうやってお互いを高め合える社風の中で、成果を出した人には大きなインセンティブをつけてやる気を促していますし、自分で「やりたい」と手を挙げた仕事には大きな裁量を持たせるようにしています。その中で、自分が「いいな」と思えることを、20代のうちにたくさん吸収してもらいたいと思っているんですよ。

アイハーツ株式会社 代表取締役 野田憲史さん

私もそうやって、「自分以外に目を向ける」ことを意識して、周りの人に助けられながら小さな経験を積み重ねて、力を付けていきました。若い頃はどうしても目先の営業成績や分かりやすい成果を出すことばかり気にしてしまいがちですが、仕事で何かを成し遂げられるような人になりたいなら、周りを大切にしながらコツコツと成功を積み上げていくことこそが大事なのです。

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取材・文/キャベトンコ 撮影/野村雄治


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