キャリア Vol.755

「このままでいいのか悩んだ」東大卒の26歳医師がビジネスの世界に飛び込んで気づいた“世界の本当の広さ”

今の仕事を続ければそれなりに安定した生活が送れるかもしれない。でも、今後何かを成し遂げたいと思うのなら、このままでいいのだろうか。

漠然と将来への不安を抱える20’sに「20代でチャレンジを続けていけば、自分の進むべき道は自然と拓けていく」と語るのは、医療ビックデータを用いたコンサルティング事業を展開する株式会社JMDCのCOO、杉田玲夢さんだ。

杉田さんは東京大学の医学部を卒業し、都内病院で医師として勤務していた。しかし26歳の時にビジネスコンサルタントに転身し、現在はJMDCでより多くの人の健康を支えている。

医師の仕事を続けていれば、きっと安定した未来が待ってたはず。それでもなぜ杉田さんは、ビジネスの世界へと踏み出したのか。その答えには、「このまま今の場所で安定していて良いのか」と悩む20代へのアドバイスがつまっていた。

JMDC
株式会社JMDC COO 杉田玲夢さん
2006年に東大医学部を卒業後、2年間医師として都内病院に勤務。その後コンサルティング会社に転職、MBA留学を経て、株式会社クリンタルを創業。19年4月にJMDCと合併し、現職に至る

医師の世界はごく一部。広い視野を求めてビジネスの世界に飛び込んだ

私が「医師以外の仕事」に興味を持ったのは、医学部生の頃。コンサルティングファームのリクルーティングセミナーに参加したことで、その後の仕事に対する考え方が大きく変わりました。

実は医学部って他の学科とほとんど交流がなく、医学部生だけで会話していることが多いんです。医療・健康分野の専門的な知識は持っていますが、どうしても会話の内容は偏りがちで。

そんな中で生活していましたから、セミナーで耳にした“ファイナンス”とか、“マーケティング”と言った言葉は、眩しいくらい新鮮でした。目を輝かせて話を聞いていると、「医療の現場で医師としてスペシャリストを目指すのも立派。でも、ビジネスの世界のヘルスケア領域で活躍すれば、さらに大勢の患者さんを救うことが出来る」と聞き、そういう可能性もあるのかと視野が開けたのです。

医療現場に留まらず、世の中に大きな影響を与える人になりたいと、その時に私の漠然とした夢ができました。そしてその後は大学を卒業して2年ほど医師として都内病院に勤務。現場を学んだ後、コンサルティングファームに転職することにしました。

もちろん周りには「せっかく医師になったのに」と言う人もいましたし、自分がビジネスの世界で何ができるのかも明確になっていなかったので、不安な気持ちはゼロではありませんでした。それでも、大学生の時に聞いた「大勢の患者さんを救って、世の中にインパクトを与えることができる」という話を諦めきれなかったんです。

JMDC

働くフィールドを移した時の私は、26歳。医師の世界でいうとまだまだ新人の部類でしたが、同年代は既に社会人5年目に入る頃です。なので年下の上司に当たることもありましたし、同年代に比べて経験の浅い自分に焦ることもありました。

でも会社に入ってみて気付いたのは、仕事の根本はどの職種でもあまり変わらないということです。若手が仕事を覚えるためには「新しいことを吸収する素直さや柔軟性」が最も大切だって、研修医時代から心掛けていたことが役に立ちました。

病院の世界はすごく縦社会で、上司の気持ちを損ねないように接しないと、注射の仕方すら教えてもらえないんです。いわゆる“白い巨塔”みたいな世界(笑)。上司が歩く通路は必ず先回りして確保する、自動ドアは事前に全部開けておく、エレベーターは来るようにするのが当たり前。だって自分は「教えてもらう」立場なんだからと。

一般社会に出て、上司や先輩に同じことをしたら「杉田くんやりすぎだよ!」と驚かれましたけどね(笑)。でもそういう素直に「学ばせてください」という謙虚さが相手に伝わって、基本的なマナーからコンサルティングという仕事のいろはまで、いろんなことを教えてもらえるようになりました。

広い世界を見たら「自分が目指すべき姿」が具体化してきた

コンサルティングファームで経験を積ませてもらってからは、本格的に経営を学ぼうとアメリカにMBA留学し、帰国後に再度コンサルを経て、起業をしました。「病気になった時に、どんな先生に見てもらえばいいのか分からない」「良い先生が探せない」という世の中のニーズに応えるため、クリンタルという「自分に合った名医と患者をつなぐ検索サイト」を運営する会社を立ち上げたんです。

私の行動の原動力になっているのは、「ビジネスの力で、より多くの人の健康を支えたい」というものでしたから、具体的に自分がどんなバリューを出せるか考えた結果、起業というかたちに至りました。

その後、レセプト等医療データとICTを活用し、健康増進と国民医療費の健全化をはかるJMDCと会社を合併。JMDCは医療ビックデータを用いた事業を展開することで、より多くの人の健康を支えています。

JMDC

そうやって「ビジネスの力で大勢の患者さんを救う」という夢に近づくことができたのは、月並みではありますが、20代のうちにいろいろな分野でたくさんの人たちと出会えたから。病院から出なかったら医師の友人ばかりできて考えも偏っていたかもしれませんが、コンサルティングファームにいたからこそいろんな業界で働くビジネスパーソンに出会うことができました。留学時代は文字通り世界を股にかけて働く友人が一気に増え、起業したことで経営者仲間と話す機会が増えたり。病院で働いていたら出会えないような人達にたくさん関わらせてもらえたおかげで、自分の価値観や視野は随分広がりましたね

私はアメリカに留学する時は無職でしたし、いくら勉強したからといっていきなり起業することに対しても不安はたくさんありました。でも、そうやっていろんな志向や価値観に触れながら、多面的な分野からビジネスを見られたからこそ、具体的に自分がどんな事業でバリューを出していきたいのかが明確化したのかなと今では思います。そう考えると、医師からコンサルに転身するのが不安だとか、無職が不安だなんて小さいことだったなって(笑)

今の環境に不安があるなら「異なるバックグラウンドを持つ人」と仕事をしてみよう

さまざまな経験を積んだことでもう一つ、分かったことがあります。それは、人間は思った以上に周りの環境やアドバイスに影響を受けやすいということ。20代であればなおさら、周りに流されてしまうことは多いでしょう。

それは決して悪いことばかりではないのですが、偏った環境に身を置き続けることは危険だなとも思うんです。

例えば医師仲間に話を聞くと「このままやれば収入も上がるし仕事もある。今の環境が一番だ」となることが多い。これが同じ医師でも他の領域に活動の幅を広げている人から話を聞くと、全然価値観が違うんですよ。さらに業界や職種を広げて話を聞いてみると、考え方や価値観は無限にあることが分かります。

誰に話を聞いたりアドバイスをもらうのか、どんな環境に身を置くか。意見や思考が偏らないよう、私の場合は幅広くアドバイスをもらうように意識していました。中高の友達、医学部時代の同期、留学時代の友人。仕事で出会ったビジネスパーソンたち。皆、仕事の種類や思考がバラバラなので、学びや発見が多いんですよ。

JMDC

JMDCに来てからも、いろんなバックグラウンドを持つ人たちと働くことがとても良い刺激になっています。JMDCは中途入社の方が多く、医療業界出身やコンサル出身者、製薬会社に勤務していた人など、皆何かしら異なったバックグラウンドや経験を持つ人たちが集まっていて。その分いろいろ知識を共有できるし、視野を広げて仕事を進められる感覚がありますね。

例えば、私が今管轄しているデータ営業の部署の話です。製薬会社でMRをしていた方が、提案経験の多い元コンサルタントから良い提案書の作り方を教えてもらう。元営業の人が、コンサル出身者に電話でアポを取るコツを教えていたり。バックグラウンドが異なる分、それぞれ得意分野も違うので、各自の強みを生かしながらお互いにサポートし合っているという感じです。

自分の経験と、彼らを見ていて思うことは、今後どんな働き方を選ぶにも「いろんな経験を積んで、多面的にものごとを見られるようになる」のはとても強いということ。だからもし今、何をしていいのか分からず立ち止まっている人がいるなら、ぜひ「自分とは異なる経験を持つ人と仕事をする」ことから始めてみてしてほしいですね。

20代のうちにたくさんの人に出会い、思考の幅を広げておく。多面的な経験を積むことで、その後の仕事に関する考え方や姿勢、仕事の進め方も大きく変わると思います。そうすれば自然と、自分が進むべき方向を決めるための判断材料も増えて、新しい景色が見えてくるはずです。

>>株式会社JMDC【旧社名:日本医療データセンター】の中途採用情報

取材・文/松永怜 撮影/吉山泰義

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