転職 Vol.753

「未経験OKだから」のうたい文句に釣られたら、月の手取りが10万を下回った話【25歳の転職失敗談】

type編集部が回避法をレクチャー!
入社した会社でまずは数年頑張らなきゃ、なんて一昔前の話。今では20代の転職希望者も、若手を採用したい企業も増えてきた。 とはいえ「そろそろ自分も……」と思っても、初めての転職は分からないことだらけ。せっかくの貴重な20代を、失敗で終わらせたくない! そこで、typeに訪れた「20代で転職に失敗した人」たちのエピソードを、type編集部のアドバイス付きで紹介。先輩たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう
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30歳(女性・年収380万円)酒田さん(仮名)のケース22歳 地元の女子大を卒業後、求人広告の営業職として就職(年収280万円)
26歳 楽器・楽譜関連会社の事務職に契約社員として入社(年収180万円)
27歳 教育系企業の事務職(年収380万円)
転職活動期間:7カ月
希望条件:未経験からデザインに関われる
妥協した条件:雇用形態(正社員が良かった)
応募社数:10社、書類選考通過:6社、1次面接通過:3社、内定社数:1社

「ケガをしたのに労災が降りない……」
超ブラック企業を辞めて、夢だったデザインの道へ

地元の女子大でデザインを学んだ酒田さんは、「広告デザインを学べる」といううたい文句に惹かれ、新卒で求人広告の営業職に就いた。

「今思えば当たり前なんですけど、デザインを学べると言っても結局は営業職なんですよね。1日8時間、自転車を漕いで外回り。パンパンになった足を引きずってオフィスに戻り、そこから事務作業をこなす毎日でした。作るものといったら、お客さまへの提案資料くらいです。デザインの勉強をする時間なんてありません」

しかも当時の会社では、年間休日が90日以下、福利厚生はあってないようなもの。「うちの会社、ブラック過ぎる……?」そう思い始めたある日、事件は起きた。

「自転車で営業していた最中に、事故に遭ったんです。怪我をしてしまい、通院することになりました。仕事中の事故ということでショックも大きかったのですが、何より落ち込んだのは、労災申請を拒否されたことです」

業務中の事故にも関わらず、会社は労災申請を却下。会社からの保障は全くなく、酒田さんの不満は爆発した。

「精神的にも体力的にも追い詰められ、給与も待遇もそれほど良くはない。労災すら申請できず、デザインスキルも身に付かない。この会社にいる意味を失いました」

その後、酒田さんは転職活動を開始。「実務未経験でもデザインに関われる仕事」を探すことにした。

念願のデザイン業務!
やる気いっぱいで昇給したが、壮絶な社内いじめに発展

そんな酒田さんが見つけたのは、音楽関連会社の事務。……というと、デザインとの関連性は薄いようにも思えるが、酒田さんは「小躍りしたくなるほどうれしかった」と話す。

「小さい頃からずっと音楽系の習いごとをしていたので、この求人を見つけた時はワクワクしました。採用は事務職でしたが、自発的に販促用のチラシやグッズを企画・制作して良いとのことだったので、二つ返事で転職したんです。企画やアイデアが認められるようにがんばろうと思いました」

そう張り切って転職した酒田さんだったが、一つ盲点だったことがあった。

「それは雇用形態が正社員じゃなくて、契約社員だったことです。事務の仕事もデザインも未経験だし、勉強期間なんだから仕方がないと思って、深く考えもせず、会社に確認もしませんでした。だけど、後から『そんな考えは甘かった』ということに気が付いたんです」

当時の会社では、契約社員の給与は「時給制」だと決まっていた。

「普段はいいんですよ、普通に働けば一人で暮らせるくらいのお金が入ってきますから。だけど、夏季休暇や年末年始の休暇があると、働く時間が減って翌月の手取りが10万円を切ることもあるんです。転職前は、『定時に帰れるから、仕事が終わった後はデザインの学校に通おうか』なんてのんびり構えていました。でもそんな金銭的余裕は全くありませんでしたね」

しかし、もともと努力家の酒田さん。業務外でチラシや販促物を制作したり、さらには独学で業務効率化のシステムまで構築してしまい、会社への貢献が認められ時給がぐんぐん上がっていったのだ。

契約社員としては異例中の異例。大きなやりがいを感じた酒田さんだったが、事態は急変する。ベテラン社員に目をつけられて、妬みを買ってしまったのだ。そこから、壮絶な社内いじめが展開していく。

「社内で悪目立ちしてしまったみたいで、いわゆる“お局”にいじめられたんです。どうやら経理の人から私の時給を聞き出したみたいで、『あいつばっかりずるい』と陰口を叩かれて。いじめられ、仕事に必要な業務連絡すら回してもらえなくなり、挙げ句の果てに私物を盗まれたりもしました」

それはもはやいじめを超えて、窃盗罪の領域……。

「頑張れば認められるなんて幻想だと知りました」と肩を落とす酒田さんは今、「それでも仕事が楽しければ我慢できたと思うけど、結局デザインの仕事は私の本職ではないし、誰かに教えてもらえるわけでもない。もっといい仕事があったのかな」と後悔している。

結局、もともと多くなかった年収はさらに下がり、友だちづきあいも、習い事も諦めることになった。退職する頃には心身ともに体調を崩し、医療費もかさんでまさに踏んだり蹴ったりだったという。

転職は「これまでのキャリアを生かす」の視点が大事!
type転職エージェント キャリアアドバイザーからのアドバイスをCHECK

では、今回のケースを「失敗転職」にしないために、酒田さんは何をすべきだったのか?

type転職エージェントのキャリアアドバイザー・加藤美季さんに話を聞いた。

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type転職エージェント キャリアアドバイザー 加藤 美季さんブライダルジュエリーの販売と店舗の店長を経験。モノではなく、個人の提案力が試される職業に挑戦したいという想いから、「type転職エージェント」キャリアアドバイザーに。現在では営業職経験者を中心に、転職者に「寄り添ったカウンセリング」をモットーに転職希望者に向き合っている。

今回のケースは、デザインの仕事を「会社で勉強させてほしい」という姿勢が失敗転職に繋がったように見受けられます。

そもそも転職とは「これまでのキャリアを生かすもの」だと考えた方がいいです。厳しいことを言いますが、会社は学校ではないので「仕事は何もできないけれど、スキルは身に付けたいです」というのは通用しません。

そのため、例えば酒田さんの場合であれば、「営業経験があるから、提案のスキルを生かせる商業デザインの現場で働きたい」など、自分ができることとやりたいことが掛け合わさった求人を探してみてもよかったと思います。

というのも、「専門的なスキルが必要な業務なのに、未経験OK」という求人には、何かしらの理由が存在します。転職者にとって耳ざわりの良い求人の多くは、実態を見てみると「常識を超えて業務が忙しい」「平均よりも格段に給与が低い」など大きな問題が潜んでいることも。

もちろん、そうではない会社もたくさんありますが、自分にだけ“旨み”がある求人に飛びつく前に、その仕事のデメリットをしっかり確認すること。

酒田さんの場合のデメリットは、「契約社員」という雇用形態だったのでしょう。同じ契約社員でも、仕事の範囲や給与形態、裁量、福利厚生などの諸条件は企業ごとに異なります。内定を承諾する前に、どのような条件なのか、ちゃんと確認した方がよかったですね。

お話を聞いていると、独学で業務効率化のシステムを作るなど、きっと酒田さんは仕事ができる人のはず。評価してくれる良い会社は必ずあるはずですから、腐ることなくキャリアを築いていってほしいと思います。

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文/石川 香苗子

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