吉岡里帆が教える“アート初心者”な20代のための美術館入門「アートに触れたら、新鮮な気持ちで仕事に向き合える」
取材を始める時、「良い記事になるよう、誠心誠意お答えさせていただきます!」と真っ直ぐにこちらの目を見ながら挨拶してくれた吉岡里帆さん。彼女はどんな仕事にも真摯に取り組む。だからこそ、天真爛漫な役も、深い闇を抱えた役にも思い切り染まれるのだろう。そう思わずにはいられなかった。
そんな吉岡さんがどんな人生を送ってきたのか聞いてみると、学生時代から書道、絵画、写真、映画など、さまざまな“アート”に触れてきたことがキーポイントだったという。
東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中の『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』で音声ガイドを務める吉岡さん。「アートに触れると、新鮮な気持ちで仕事に取り組める」と話す彼女に、その理由を聞いてみた。
美術館の割引チケットをお財布に大事にしまっていた10代の頃
子どもの頃から両親に連れられて美術館や書道展、博物館などに出掛けることが多かったという吉岡さん。彼女にとって、アートはいつもすぐ隣にあり、エネルギーを充てんしてくれる存在だ。
夜行バスに揺られながら、さまざまな映画やドラマのオーディションを受けるために実家の京都と東京を往復していた19歳の時も、積極的にアートに親しんでいた。
「当時は美術館に置いてある割引券をお財布に入れておいて、割引のある展覧会から行くようにしていました(笑)」
連続ドラマや映画で主演を務めることが増えた今も、積極的にアートに触れるようにしているのだとか。
「3年ほど前から、六本木ヒルズのスタジオでラジオ番組を担当させていただいているので、その収録の合間にフラッと美術館やイベントに行くことが多いですね。あまり気負わずに、少し時間が出来たら『ちょっと行ってみよう』くらいの軽い気持ちで足を運んでいます」
アートは日常にエネルギーや刺激を与えてくれる
吉岡さんにとって美術館とは「気持ちにゆとりがある時にフラっと行きたい場所」だというが、アートに触れることで、仕事に向き合うマインドセットはどう変化するのか。
「日常から離れてアーティストの世界に身を置き、その作品たちに囲まれることで、『大好きなものに触れるって、いいなぁ!』と充実感が湧いてきて、豊かな気持ちになります。エネルギーや刺激をもらえるので、また新鮮な気持ちで仕事に臨むことができるんですよ」
そんな「アートが好き」という気持ちは、仕事にもつながり、吉岡さんに良い相乗効果をもたらしているのだそう。アートを紹介する番組からオファーを受け、ロケへ出向いた先でまた新たなアートと出会う。それによってまた好奇心が刺激される。そんなアートに関する仕事はワクワクが止まらないのだと目を輝かせて話してくれた。
「上野でゴッホ展が 開催された時、ゴッホにゆかりのあるパリ、オランダ、アルルなどを辿る旅番組に出演させていただいたことがあります。今回も、バスキア展の音声ガイドを担当させていただけましたし、うれしいことづくし。上京したての頃から好きだったことが、今では仕事になって世界中いろんな場所でアートを楽しんでいるなんて夢のような話ですよね」
「初めての美術館」は気負わず楽しんで
美術館に行ったことのない20代にとって、アートの場に足を運ぶのはなかなかハードルが高いもの。「初めての美術館」にチャレンジする20代にアドバイスをもらった。
「アートを楽しむためには、目の前の作品が好きか嫌いか考えないことが大事だと思います。食わず嫌いはせずに、まずはすべての作品をフラットに楽しむことで、自分の中の『好きだな』とか『何か良いな』というものが分かってくると思います。作品のことがよく分からなくても、『美術館に行くって、かっこいい!』みたいなノリでもいいです、私も最初はそうでした(笑)
美術館の見方って人それぞれだと思いますが、私の場合はアーティスト解説から年表、各作品の説明まで1枚1枚一つも漏らさずじっくり見てまわるタイプ。スーパーマリオのコインを全部取る、みたいな感覚に近いかもしれません(笑)。たくさん時間をかけて、丁寧に見るようにしています。美術館をめぐるうちに、自分が楽しめる見方が分かってきたような気がするんですよ」
ぜひ「美術館初心者」にも『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』を見てもらいたいと表情を輝かせる吉岡さん。最後にバスキア展の見どころを聞いてみた。
「『バスキア展』は、世界各地のコレクターや美術館が持つバスキアの作品およそ130点が集まる、日本で初めての大規模展です。バスキアが短い生涯の中で遺したたくさんの作品は、どれも彼のバイタリティーを感じられるものばかり。初心者の方でもきっと楽しめると思います。
今回はバスキアが日本を訪れた時にインスピレーションを受けて作った作品も展示されています。私は特に『Plastic Sax』という作品の中に『トーヨーのおりがみ』っていう日本語が描き込まれているところがお気に入りです。友だち同士やカップルで、あるいは一人で、ちょっとお茶するみたいな軽い気持ちで来ていただけたらうれしいです」
取材・文/石川 香苗子 撮影/赤松洋太
Information
2019.9.21(土)~ 11.17(日)
六本木・森アーツセンターギャラリーで開催中!
『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』
約10年という短い活動期間に、3000点を超すドローイングと、1000点を超す絵画を遺しているアメリカの現代アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキア。1980年代を猛スピードで駆け抜け、27歳で早逝したバスキアの作品が一堂に会する貴重な機会だ。
バスキアの世界をたっぷり味わえる吉岡さんの音声ガイドはもちろん、株式会社ZOZOの前社長・前澤友作さんが所蔵する『Untitled』の展示も見逃せない!
公式HP:www.basquiat.tokyo
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