SHOWROOM前田裕二直伝! “人を好きになる”ための、たった30分でできるトレーニング【堀江裕介対談】
教育改革実践家の藤原和博さんが、経営のプロフェッショナルをゲストに迎え、「働く力」について考えるtypeの動画コンテンツ「10年後、君に仕事はあるのか?」。
今回のゲストは、“夢を叶える”ライブ配信プラットフォーム『SHOWROOM』を運営する前田裕二さんと、レシピ動画サービス『クラシル』を運営するdely株式会社取締役の堀江裕介さん。
プライベートでも親交が深いという若き起業家の2人。お互いの印象を聞いてみると、堀江さんからは「前田さんはビジネスをする上で欠かせない“共感力”がズバ抜けている」という答えが返ってきた。
では、前田さんの高い“共感力”とはどのようにつくられたのだろうか? 前田さん本人に、教えてもらった。
※この記事は「typeオリジナル キャリア動画」を一部編集の上、テキスト化したものです。
“性格の良さ”は後天的につくることができる
僕、前田さんとお話するときにいつも思っているんですけど、前田さんとのコミュニケーションってとにかく気持ちいいんですよね。
え!嬉しい(笑)
でも、「こんなに性格いい人って本当にいるのかな?」って、ちょっと疑っている部分もあって。
仮面を被っているんじゃないかということ?
というより、生まれた時からこんな性格だったわけないと思うんですよね。例えば、僕も昔はここまで気の強いタイプじゃなかったんですが、気が強い自分を演じているうちに、どこかでパチンと“強烈な堀江”に切り替わった瞬間がありました。もしかしたら前田さんもそうだったんじゃないかって。
確かに、そうなのかもしれないね。
ですよね。どんなタイミングでスイッチが切り替わったんですか?
12歳くらいかな。そこまでは生きる原動力が極めてネガティブで、悔しさや憎しみを燃料庫に入れて燃やし続けていた感覚だったんですけど、ある時「この人を幸せにしたい」とか、「社会に対して役に立つことをしたい」とか、そういった思いにモチベーションが転換するタイミングがありましたね。
お兄さんからの無償の愛を受けて変わっていったということですか?
※前田氏は幼いころに両親を亡くしており、10歳離れた兄に育てられてきた
それもあるだろうし、いろいろ乗り越えてきた結果、“感情で動くよりも先に想像力を働かせる”ということが、癖としてできるようになってきたのが大きいかもしれません。
それはつまり、「人格や感情コントロールのスキルは後発的に変えていける」ということでしょうか?
そう。人格は努力で変えられないと思っている人が多いけど、変わらざるを得ない何かしらの強制力が働けば可能だと思うんですよね。僕の場合は、うまく立ち回らないとご飯が食べられないというような状況もあったし、そういった強制力が自分を変えてくれたのかなと。
「うまい立ち回り方」は、自分の中の“客観的なカメラ”で身に付けた
「自分のことを客観的に見て、うまく立ち回らなきゃ」ってことですよね。いわゆる「メタ認知能力」みたいなものが身に付いたと。
まさにそうで、僕には小学校6年生の時に初めて「メタ認知」をしなきゃいけない状況が訪れたんです。
というと?
当時、僕はお金が欲しくて弾き語りを始めたんですけど、最初は通行人からお金をもらうどころか立ち止まってすらもらえなかった。でも、「なんで?」って憤っていてもお金が降ってくるわけではないし、お腹も満たせません。だから自然と「自分が通りかかる人だったらどうすればいいのかな?」と考える、自分の中の“客観的なカメラ”を持つようになったんです。
なるほど。それで言うと僕も、まるで幽体離脱したみたいに自分を眺めているような感覚になることが多いなと思っています。
たしかに堀江くんは、自分をメタ認知した上で戦略を立てて、次のアクションを決める力に長けていると思いますね。
堀江さんのは、ある意味先天的な感じなんですかね。前田さんの場合は、生き残ろうとしたがゆえに相手の気持ちに立って考えるようになった、ってことですよね?
はい。必要性から入っているという感じですね。例えば僕が営業職だったときも同じなんですけど、「このお客さん嫌だな」って思っていても仕方がないから、その人の家族とか趣味とか、何か好きになれるポイントを探すんです。
そうするうちに本当にその人のことを好きになって、より相手が喜ぶことをしようとか相手の立場になって考えようって思えるようになるんですよ。これは魂が清らかだからできるのではなくて、訓練で身に付くテクニックだと思います。
“人を好きになる訓練”をすれば、共感力は磨かれる
「訓練」って、具体的にはどんな?
僕の場合は、タクシーに乗っている30分間のうちに「運転手さんのことを心から好きになる」という訓練をひたすらやっていました。
それすごいですね(笑)
まず、乗車した瞬間にあらゆる情報に目を向けるんです。例えば運転手さんの名前が「ジロウ」だったら、この人は次男なのかな、ということはもしかしたらイチロウというお兄さんがいて、年齢差は平均的に考えたら4歳くらいかなと。
なるほど。その後は?
ジロウ君が生まれたその日は4歳のイチロウ君とお父さんが、不安そうに「お母さんまだかなあ」なんて言ってる。産声が聞こえてきたら「あ、お父さん産まれたよ!」って。そうやって産まれてきたジロウ君が、今僕を乗せてくれているんだなと思ったら、「この人めっちゃ道は間違えているけど、そこも含めて愛せる」みたいな気持ちになってくる(笑)
(笑)。前田さん自身も次男だしね。
そうそう、僕も裕二って次男だからなんですけど。
つまり、「愛」というよりかは、“共通点同士で共感し合っている”みたいなこと?
そうですね。「僕も次男なんですよ、次男って大変ですよね」みたいな。そういう風に共感していくうちに、自然とその人を好きになれるんです。
じゃあ無理して人を好きになっているわけじゃないってことですか?すごいなあ。今まで絶対無理してるんだろうなって思ってたんですけど、今日で前田さんのことがもっと好きになりました(笑)
人を好きになる能力って、もっと分解すると「人の良いところを見つける能力」なんですけど、僕はそこに関してはすごく高い自信がありますね。
私もリクルートで営業の統括部長を経験しましたが、やっぱり営業でもその「共感する力」とか「人を好きになる力」ってすごく重要なんですよね。どんなお客さんだとしても、取引を結ぶためにはどこかで共感しなきゃならないから。だから、共感力を高める訓練は、部下に必ずしてもらってました。
それはどんな?
2人でペアを組ませて、2分間で2つ以上、“お互いの、ちょっと嬉しくなっちゃう共通点”を探り出すというもの。「2人ともメガネをかけている」みたいなものではなくて、例えば「お互い野球ファンで、しかも弱い頃から楽天を応援していて、銀次選手のファン」なんて共通点を見つけられたら、もう抱き合っちゃうじゃないですか。
たしかに!
そういう共通点が見つかると、相手の見方が変わるんですよね。それまでは敵だと思っていても、共感し合うことができれば味方になってしまう。僕はその瞬間のこと、『脳と脳が繋がる瞬間』だと言っています。
後半の記事では今注目の経営者である前田さん、堀江さんが「最終面接で必ずする質問」について紹介します!
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企画・撮影協力/(株)ビジネス・ブレークスルー
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