キャリア Vol.845

田端信太郎に取材をすっぽかされたので「ビジネス本の内容、実践するのムズくない?」と突っ込んでみた

2020年1月某日。20’s type編集部は、ある人の取材をするために六本木の会議室に来ていた。

その人とは、書籍「これからの会社員の教科書」(SBクリエイティブ)を上梓し、今20代から最も人気を集めるビジネスパーソンの一人、田端信太郎さん

オンラインサロン「田端大学」塾長 田端 信太郎さん

オンラインサロン「田端大学」塾長 田端 信太郎さん
1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」の立ち上げや、広告営業の責任者を務める。2005年、ライブドア入社、ライブドア事件を経て執行役員メディア事業部長に就任し、ライブドア事件後の経営再生をリード。10年コンデナスト・デジタルでカントリーマネージャーに就任。12年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。18年スタートトゥデイ(現ZOZO)コミュニケーションデザイン室の室長に就任し、19年12月に退職。最新著に「これからの会社員の教科書」(SBクリエイティブ)「これからのお金の教科書 年収の伸びしろがケタ違いになる視点65TwitterYouTube

編集部

田端さん、初めてお会いするけど、緊張するな……。

編集部員・ライター・カメラマン……取材クルーの空気が張りつめる中、約束の時間が来た。

編集部

あれ。田端さん来ない、ですね……?

5分、10分、20分……。まだ田端さんの姿はない。編集部の脳裏によぎるのは、書籍「これからの会社員の教科書」の一節だった。

田端信太郎

おや……?

・仕事のパフォーマンス以前に「穴をあけない」ことはマスト。
・ビジネスには、絶対に遅刻をしてはいけない会議や打ち合わせがあります。
・遅刻するなど言語道断です。
・重要なアポイントメントに余裕を持って行くのは当然です。

――引用:「これからの会社員の教科書」(田端信太郎・著)より

……結局、その日田端さんが現われることはなかった

「うっかりしてました」と言えない奴はムダにプライドが高い

取材日程を翌月にリスケしてもらった編集部。約束の日、取材時間の10分前に集まると、既に田端さんは会議室に来ていた。

田端信太郎

真剣すぎてこっちが恐縮した

田端

……すいませんでした!!!

編集部

え! いや、顔上げてください……。

田端

完全に忘れてて、すっぽかしてしまいました。

編集部

完全に忘れてた……!!

田端

土下座してもいいですか?

編集部

本当に辞めてください(笑)。でもその代わり、今回の本に関して突っ込ませてもらってもいいですか?

田端

何でも聞いてください。

田端信太郎

もうお互いちょっと笑っちゃってる

編集部

まずこの本って、遅刻は絶対にするなとか、結構ちゃんとしたこと書いてありますけど……。

田端

はい。

編集部

全然責めているわけではないんですけど、「仕事のパフォーマンス以前に『穴をあけない』ことはマスト」「重要なアポイントメントに余裕を持って行くのは当然」って書いてありますよね。あ、もしかして『20’s type』の取材は重要ではない……?

田端

いや、そんなわけでは全くなくって! 正直、“うっかりしてしまう”こともあります。

編集部

20代のビジネスパーソンも同じような状況に置かれることってあると思うんですけど、そんな時はどうすればいいでしょうか?

田端

超言いづらい!! でもやっちゃったもんはしょうがないので、せめて「隠すな・嘘をつくな」ってことですかね。

編集部

嘘をつくな?

田端

仕事でも「家族が急病で……」とか「メール送ったんですけどサーバーのエラーで……」とかっていう人いるじゃないですか。「うっかりミス」は過失だけど、嘘ついた瞬間それは「故意」ですからね。自ら罪をつくってはいけない。

編集部

たしかに田端さん、さっきも普通に「完全に忘れてた」って正直に言ってくださった。

田端

嘘つく奴って、ムダにプライドが高くて「うっかりしてました、すいません」って言えないんですよね。もうやってしまったものは誠心誠意、謝るしかない。本当にすいませんでした。

田端信太郎

気まずそう

編集部

いや、責めてるわけではないんです! ただ、何か言い訳されるよりもシンプルに言われる方が、意外とすっきりするなぁって。

田端

広報でも、嘘つかないっていうのは最低限のマナーですからね。まっとうなことをするのが、結局一番の保身だと思うんです。いち個人もそうだし、会社経営でもそう。

編集部

会社経営?

田端

会社でも産地偽装とか粉飾決済とか、小学生でも分かるような道徳心さえあればダメだって分かるでしょう。すっとぼけるとか電話に出ずに回答しない、のはギリギリOKだと思いますけど、嘘だけはダメですね。

田端信太郎

田端さんのすっぽかし事件への追求はここまでにして、書籍の話しましょう!

書籍にあることは、3~4つ実践できればいい

編集部

書籍「これからの会社員の教科書」を読んでいても、至極まっとうなことが書かれているように感じました。「遅刻はするな」とか「体調はしっかり管理せよ」とか。こういう本って読んだ時は「なるほど」って思うんだけど、なかなか……

田端

行動にうつせないんですよね。

編集部

はい。読んだ瞬間は意識してるんですよ。私(アラサー会社員)が新人の頃は、岩瀬大輔さんの「入社1年目の教科書」が流行っていて、当時すごく感銘を受けたんですけど……。

田端

あ、実は今回の書籍、岩瀬さんの「入社1年目の教科書」を意識してるんです!

編集部

おお。そうなんですね! 私、恥ずかしながら入社6年目の今はすっかり本の内容を忘れてしまっていて……。あんなに読み込んだのに……。

田端

本にあることを何から何まで実施する必要って全くないんですよ。それは無理じゃないですか。俺だってそうですよ。

編集部

え?

田端

著者としては、本を読み終わって「なるほど」とか「やってみよう」と感じたことを3~4つピックアップして実践してくれたらありがたいです。

編集部

3~4つでいいんですか?

田端

そう。なぜなら本は知識としてインプットするものじゃなくて、その後どうアウトプットするかが大事だから。結局ビジネス書なんて、読んでるだけじゃまったく意味なくて、自分の行動に落とし込んで初めて意味をなします

編集部

読んでいるだけじゃあ意味がない。耳が痛い……。

田端

そう。「行動が変わらない限りその人の人生は変わらない」ってことですよ。もちろん本を読んで知識はつくかもしれないけど、使わないと意味がない。

田端信太郎
編集部

「知識を使う」ときのポイントってあるんでしょうか?

田端

俺がよくやるのは、「行動レベルに落とし込みたい」と思ったことを「自分事」に置き換えて紙に書いて、トイレに貼ること

編集部

トイレに?

田端

そう。例えば本の中の「飲み会の幹事をすることで得られるもの」という章に書かれている内容を「いいな」と思ったとする。それを自分の行動に落とし込んで「4月にある新人歓迎会で、幹事を名乗り出る」と書いてトイレに貼っておく。

編集部

たしかに、それを毎日トイレで見てたら忘れないですね。「幹事を名乗り出るべし」といった概念的なものを貼るんじゃなくて、自分なりの行動に落とし込むことがポイントでしょうか?

田端

そうです。漠然とインプットすることに価値はなくて、自分がちゃんと「やりそうなこと」がいいですよね。

編集部

たしかに、「こういうことを意識しましょう」って情報はたくさんあるけど、自分なら……って考えることはあんまりないかも。

田端

次に「行動」を「当たり前」のことにできればいいですよね。

編集部

当たり前?

田端

例えば「トイレに行った後に手を洗う」のに、「私は衛生意識を高めねばならぬ!」なんて考える人はいない。自分が「こういう行動ができるようになりたい」と思うことを、トイレに行ったら手を洗う、寝る前に歯を磨く、くらいに意識せずにできるようになれるといいんじゃないかなと思います。

編集部

あぁ、たしかに「幹事をやろう」と思って1回だけで終わってたらもったいないですよね。書籍にある「会議に出て発言する」とかもそう。

田端

俺にとっては「会議に出たら発言しましょう」なんて当たり前のこと。でも多くの人にとっては「意識しないとできないこと」だったりする。もちろん「発言すべき」という「べき論」では、みんな思っているけど。

編集部

なるほど……トイレに行って手を洗う、寝る前に歯を磨く、くらいにして初めて自分のものになるということか。

田端

そういうことです。「やれるようになりたいこと」を自分事として行動に落とし込む、というのを繰り返していたら、それが無意識にできるようになってくるんですよ。「やらねば」って思っていると疲れちゃうけど、それを当たり前にしちゃえば楽になります。

編集部

「定例のチームミーティングで発言する」「進捗報告会議の司会に名乗り出る」みたいに「自分事」を増やしてくり返していけば、「どんな会議でも発言するのが当たり前になる」と。

田端

はい。

編集部

時には「歯を磨くのを忘れる」ってこともありますから、「うっかり」があるのはご愛嬌ってことですね!?

田端

うん、そのときは謝るしかないよね! この度はすいませんでしたー!!

田端信太郎

田端さん、いじわるな質問に答えてくれてありがとうございました!!

取材・文/大室倫子(編集部) 撮影/赤松洋太

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オンラインサロン「田端大学」塾長 田端 信太郎さん

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