キャリア Vol.856

効率的成長のために「株式会社・自分」を経営せよ! ‟若手には不利な時代”の生存戦略

専門家がトレンド指南!
数年前に“若手時代”を経験した上司のアドバイスって、もう古いかも? 20代が自分の望むキャリアを掴み取るために「イマ」何が必要なのか、最新事情に詳しいキャリア教育研究家・福山敦士さんに教えてもらおう!

みなさん、こんにちは!
キャリア教育研究家の福山敦士(ふくやまあつし)です。

新型コロナウイルスの影響で、働き方が大きく変わった方も多いでしょう。リモートワークになった方は、慣れましたか?

一対一のやり取りは、電話とさほど変わりませんが、3~4人など複数名同士のやりとりは、会話が被ったり、お互い譲り合ったりで、僕も歯がゆい思いをしております。慣れるまでもう少しかかりそうです(汗)

また、業種や職業、商談内容によっては、リモート化ができない仕事も存在します。

かく言う僕も、規模の大きな商談には、お客さまに対面を希望されることも。こんなご時世ですが、経済活動をなるべく止めないように、細心の注意を払い、ソーシャルディスタンスをきちんととった上で商談を進めさせていただいております。

今回の騒動により、世間はより一層、働き方の見直しが進みそうですね。そこで今回は「働き方改革時代の成果の上げ方」をお伝えしたいと思います。

福山敦士

経営者/キャリア教育研究家 福山 敦士さん
学生時代は野球ひと筋。高校時代は甲子園ベスト8。慶應義塾大学環境情報学部卒業。新卒でサイバーエージェントに入社、グループ会社の起ち上げに参画。月100件アポを続け、セールス記録を更新する。25歳でグループ会社の取締役に就任。27歳で独立、人材紹介と職業・転職企業紹介を行う株式会社レーザービームを創業。28歳で東証一部上場企業である株式会社ショーケースに売却し、ショーケースでは取締役・人事部長を経験した。著書『新しい転職面接の教科書』など多数。累計10万部超。これまで3000人以上の就職・転職相談を実施。18年からは事業構想大学院・代ゼミにて講座開発を務める。20年から株式会社オープンハウス社長室。「学問をつくる」ことを人生の目標にしている
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働き方改革って、本当に進んでる?

「働き方改革とかいうけど、うちの会社はまだまだ残業多いですよ」と、思ったそこのあなた! もちろん会社や部署によりけりではあります。

ただ、日本全体で見てみると、事実として残業時間は減っています。厚生労働省のデータ(毎月勤労統計調査)によると、労働者一人当たりの月間総労働時間は、1970年代前半には180時間を超えていましたが、1970年代半ばに170時間台となり、1990年代前半には150時間台となりました。

その後も減少を続け、2000年代後半以降は140時間台に推移。日本政府が掲げる「働き方改革」の影響もあり、2019年には139.1時間と140時間を割り込んでいます。

つまり、50年前からジワジワと働く時間が減っている中で、どの世代も一様に「最近の若者は働かない」「俺たちが若かった頃はなー」と言ってしまうのも、統計上間違ってはいないのです。

かく言う31歳の僕でさえ、20代社員に対して「僕が新卒の頃はね、週に100時間以上働いたものだよ」など武勇伝ぶって語ることもありました。当時は、ただただ会社に居続けて、仕事をした気になっていただけでしたが(汗)

「学ぶ機会の減少」は若手社員と人事の共通の悩み

しかし最近では「もっと働きたいのに、働けない」という相談を、若手ビジネスパーソンから聞くようになりました。

やる気と体力が有り余っており、仕事にもっと注ぎたいのに、会社に制限されてしまっているという人は一定数存在します。甲子園に行きたいのに、学校に練習時間を制限されているような状態です。

一方で企業の人事のお偉いさんたちからは、「残業させられないから、育成が十分にできていないのが歯がゆいです」と、教育研修の相談をいただくことも増えました。

実は各社、若手社員と人事の悩みは「学ぶ機会の減少」にあるのです。

自社のメンバーを見ていても感じます。特に若手メンバーは、目の前の仕事をこなすだけで1日過ぎてしまう。上司たちも業務時間を管理されているため、業務時間中の後輩指導に時間を割けず、OJT中心の「俺を見て学べ」スタイルが続いてしまい、体系的に学ぶことがしにくい状況です。

もちろん、現場で先輩の背中を見て学ぶことはいつの時代も必要です。ただし、そればかり続けているとノウハウの伝承時間が短縮化されません。「上司が10年かけてできたことを、自分は1年でできるようになる」というサイクルが行われなければ、会社組織も成長しません。

キャリアをつくるとは、自分の人生を経営すること

成長したい(させたい)のに「時間が足りない」という現代。ではどうすればいいのかというと、学びを「投資」ととらえ、効率的に成長し、成果を上げる術を考える必要があります。

そもそも「キャリアをつくる」というのは、自分自身の人生を経営することです。「株式会社・自分」を経営するために、まず目指す目標に対し、成長戦略を描く。

そこに競合がいない市場・時代の場合なら、「ただがむしゃらに頑張る」戦略は有効ですが、競合が多く、情報過多のこの時代は、「戦略的がむしゃら思考」が重要です。

戦略的がむしゃら思考とは、「結果が出る方法を理解してから、努力をスタートさせる」ということです。(詳しくは僕の新刊『仕事の鬼100則』にも書いてあるので、ぜひ読んでみてください!)

たとえば会社で出世を目指すなら「この会社では、何が評価されるのか、役職が変わるタイミングはいつなのか、誰が査定を決めるのか」などを把握してから、努力をスタートするということ。営業活動にも近いですね。

では目指すところに向かってどんな投資をするのか。投資には「金銭的投資」と「時間的投資」があります。効率的に学びに投資をするためには、「時間をお金で買う」行為も一つの手です。

先人達の知恵を、1冊の本で知ることができれば、それは学びへの投資として成功。これをどこまで繰り返すことができるかが勝負です。あなたは今月何か学びへの投資ができましたか?

本1冊1500円、セミナー参加3000円、オンラインサロン月額5000円……。

「これ、本当に元取れるのかな」「なんか自分、騙されてないかな」と、支払いをためらう気持ち、分かります。1500円あれば、ちょっと高めのランチを食べた方が、すぐにリターンを実感できますよね。学びへの投資というと聞こえはいいですが、投資対効果が見えづらい……。

ただ、だからこそ「みんなやらない=チャンス」だったりするのです。

キャリア開発の分野で「市場価値」というキーワードがありますが、価値とは「希少性」のことです。よく間違って使われることがありますが、市場価値とは決して「前職の年収」のことではありません。

みんなが知らないことを知っている」かつ「その情報を求めている人が多い」これは「希少性が高い=価値が高い」のです。

値段の話に戻りますが、あなたは自身の大学の学費を把握していますか?

某私立大学では、年間の学費を進級に必要な単位数×コマ数で割り戻した時に、1授業につき約3000~5000円という話があります。(※無論、国立/私立・文系/理系などによる差はあります)

それらの授業で学んだことは、今の仕事に役立っていますか? もし、直接的に今の仕事に役立ちそうなセミナーが3000円程度で受けられるのであれば、参加しない理由はありますか?

予定が合わず参加できないけど、同様の内容が書籍が半額の1500円で販売されていたら、どうでしょう。おそらく金額がネックではないということに気付けるはずです。

自分で「研修」をつくってみよう

もう一つ、「株式会社・自分」で成果を出すために有効なのが「研修」です。

「研修なんて意味ねーよ」という声もたまに聞きます。が、実は研修の恩恵を受けるのは、受け手よりも話し手なんです。話し手にとって、研修はノウハウの体系化をする絶好のチャンス。「教える方が学ぶ」理屈ですね。

つまり、成果を上げるためのスキルがほしいと思うなら、「自分が研修を受ける」のではなく「研修をする側」を経験することをオススメします。

例えば、新卒社員研修で定番の「先輩社員から学ぶ」的なコマを狙い、ぜひ人事部か経営陣に提言してみましょう。「私に新卒研修の1コマをください!」「先輩社員としてプレゼンさせてください!」と。

それが提案できればあなたはレベルアップできるでしょう。もし、リアルの場が持てなければ、自身のブログやSNSなどで「新卒向け仕事の●箇条」のような記事を書いてみればいい。

一度、そういったアウトプットをしておくだけで、これから先の仕事で感じ取れる情報量が変わってきます。今後受ける研修やセミナーなどの聞き方も変わってくるでしょう。かく言う僕も、書籍を書くたびに自分自身がレベルアップしていることを体感しています。

コロナ自粛が広がって、自宅にこもる時間が増えたいま、自分に投資する絶好の機会です。ぜひ一度、アクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

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