営業経験2年で年収150万円以上アップ! ポイントは「そこで働くイメージ」と「選考の進め方」【年収アップ相談所】
『typeの人材紹介』キャリアアドバイザー 松浦 友里代さんコンタクトレンズメーカーにて店舗販売からマネジメントを経験。「商品ありきではなく、顧客に価値を提供したい」という想いから、『typeの人材紹介』のキャリアアドバイザーへ。営業・販売・事務職の転職希望者に日々向き合い、丁寧な対話から潜在的な「悩み」や「志向」をくみ取り、クリアにしていくところを大事にしている
こんにちは。『typeの人材紹介』のキャリアアドバイザー・松浦友里代です。今回は、26歳の女性が、異業界への転職にも関わらず、年収を150万円以上もアップさせることができたケースをご紹介します。
【転職者DATA】
性別:女性
転職時の年齢:26歳
年収UP額:300万円→455万円(上昇率 約51%!)
業種:出版印刷会社→Web系広告代理店
職種:法人営業→法人営業
憧れだった出版業界の現実に限界を感じて転職へ
出版業界を目指し、マスコミに絞った就職活動を続けるために大学を1年留年までしたBさん。念願かなって憧れの出版印刷会社に採用され、法人営業を担当することになりました。
実際に入社をしてみると、月の残業時間は100時間を超えることが当たり前。想像していた以上にハードな毎日が待っていました。自ら車を運転しての日帰り出張も多く、時には「東京から名古屋まで」といった長距離移動をすることも。過酷な労働環境によって、退職者やうつ病を患う社員が続出している環境の中で、Bさんは自分の将来に不安を感じていました。「このままではいつか事故を起こしてしまうかもしれない……」そう感じたことから転職を決意されました。
「働き方を変えたい」と転職を考えたBさんですが、意外にも労働環境についての大きなこだわりはなく、「移動時間が長過ぎるなどのムダな時間がなければ、残業時間は多くても構わない」という程度。また、年収は350万円以上と、現状より50万円程度アップできればOKという希望でした。
ではBさんが一番こだわっていたのは何だったのか。それは仕事の内容についてでした。「法人営業」であることを前提に、2つの外せない条件を挙げられました。
1つは顧客と深く関係性を築けること。前職は訪問件数を重視し、数をさばくことが重視されていたため、「もっとじっくりお客さまと向き合いたい」という強い気持ちがありました。2つ目は今までの経験を生かせる仕事内容であること。一番イメージが湧くのが今までと同じ業界ということで、出版・印刷系の業界を中心に見ていきたいと希望していました。ただ一方では「今のうちにIT系の知見を重ね、将来のためのキャリアを積みたい」という要望もあり、Webコンテンツや広告などに携わるIT系の業界への転職にも興味を示されました。
そんなBさんの希望を考慮した結果、出版・印刷会社と共に、Web系広告代理店をご提案しました。20社提案した中から、「顧客の課題解決ができること」を軸に取捨選択し、10社に応募、2社から内定を獲得しました。
営業経験はわずか2年。そして、希望年収は350万円程度と、その年齢・キャリアにおいて相応な金額を希望していたBさん。にもかかわらず、最終的に転職を決めたWeb系広告代理店が提示した年収額はなんと455万円、年収は155万円もアップしたのです! なぜBさんはこのような大幅な年収アップに成功したのでしょうか。
企業を理解して「働くイメージ」を持つことが大事
Web業界や人材業界は、転職時の年収スタートラインの設定が他の業界よりも高い傾向にありますが、とはいえBさんが転職した会社は、求人票では「年収350万円からスタート」となっていました。そこからさらに105万円も上乗せになったのは、Bさん自身が大きく評価されたことはもちろん、転職活動の進め方にもポイントがあったのです。
営業経験は2年ながら、数字の面においては15名の部署で4位~7位の成績を維持していたBさん。実績もまあまあ残していると言えますが、何よりも評価されたのは、「仕事の内容が自分の成長につながるものなら、残業時間は多くても構わない」という前向きさとバイタリティーでした。
また、一次面接の段階からしっかりと企業理解をしていたことも評価につながっています。「何をどんな顧客に向けて売るのか、目標予算はどのくらいで、どういった営業スタイルをベースとしているのか」などの具体的な仕事内容や働き方を把握し、これまでの経験が生かせるポイントがどこにあるのかを事前にしっかりと考えていました。
こうした準備をしたことで「働くイメージ」をしっかり持てたBさん。面接で予期せぬ質問をされてもスムーズに自分の思いを話すことができ、さらにBさん自身が企業に対して積極的に、質問を投げ掛けていくことができたのです。
面接に臨む際、その企業で働くイメージをどれだけ持てているか、それに基づいて、自ら積極的に質問をできるかどうかは、重要な評価ポイント。Bさんの場合は、「自分の提案力をアップする仕事で成長していきたい」という前向きさを、企業への質問を通じてアピールすることができました。こうしてほぼ全ての企業の一次面接をBさんは通過しました。
「他社の存在」が年収引き上げの要因に
転職を決めたWeb系広告代理店は、一次面接の時点からBさんを高く評価。面接後にはアドバイザーである私宛に「選考中の他社が提示している給与額を教えてほしい」という連絡が人事の方から来ました。
ここに2つ目のポイントがあります。その時Bさんは複数の選考を受けていたため、比較する他社の存在がありました。Bさんが受けていた中には年収400万円以上を提示している企業もあったため、それを伝えると「Bさんをどうしても採用したい」と考えたその企業は提示金額を引き上げたのでした。「欲しい人材」だと思わせることができ、比較する他社の選考が進んでいる場合であれば、このように企業側が年収を引き上げるケースもあるのです。
最終的に、Bさんは印刷会社とWeb系広告代理店、それぞれの業界で第一希望だった2社の内定を得ました。当初は、「やはり出版・印刷会社に行きたい」という気持ちが強かったBさんですが、選考の過程で考え方は逆転。Web系は、出版・印刷系の業界よりも社員の平均年齢が低く、若手が活躍できる環境がある。なおかつ、切磋琢磨できる同世代の仲間が多く、より成長できるという結論に至りました。
こうしてWeb系広告代理店への転職を決めたBさん。年収は455万円、月に40時間のみなし残業を含んではいますが、社員の平均残業時間は30~40時間程度であり、それを超えた残業代は全て支給という好条件でした。
当たり前のことですが、大きく年収アップさせたい場合は、「欲しい人材」と思わせることが大前提です。そのためにはしっかりと企業理解をした上で、自分の経験をどう生かせるのか、そこで働くイメージを持って話せることが重要。そうして多くの企業から高い評価を得られれば、同時並行で選考を進めている他の企業の提示金額と比較が行われ、金額の上乗せにつながる可能性も出てくるのです。
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取材・文/上野真理子
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