実は競争率が高い「新規開拓営業からルート営業」への転身を成功させるコツ【年収アップ相談所】
『typeの人材紹介』キャリアアドバイザー 加藤 美季さんブライダルジュエリーの販売と店舗の店長を経験。モノではなく、個人の提案力が試される職業に挑戦したいという想いから、『typeの人材紹介』キャリアアドバイザーに。現在では営業職経験者を中心に、転職者に「寄り添ったカウンセリング」をモットーに転職希望者に向き合っている
こんにちは。『typeの人材紹介』のキャリアアドバイザー・加藤美季です。今回は、新規開拓の営業経験2年の男性が、人気の高い「ルート営業」への転職をかなえた上に、年収を約50万円もアップできたケースをご紹介します。
【転職者DATA】
性別:男性
転職時の年齢:25歳
年収UP額:330万円→378万円(上昇率 約15%!)
業種:業務用エアコン商社→酒類商社
職種:新規開拓営業(法人)→ルート営業(法人)
“売りっぱなし”に物足りなさを感じ、ルート営業への転身を希望
Cさんは、業務用エアコンを取り扱う商社で新規開拓の法人営業を2年経験されました。しかし、その会社の労働環境は、一緒に入社した同期50人のほとんどが退職してしまったほどハードなもの。サービス残業は当たり前、朝は7時過ぎから働き始め、20時過ぎに一旦タイムカードを切った後、そのまま夜遅くまでミーティングに参加することも珍しくない状態。休日出勤も多く、月の休日はわずか3日しかなかったそうです。
いわゆる“ブラック”な環境でありながらも、タフなCさんは社内でトップレベルの営業実績を残していました。にも関わらず、給与には反映されることは一切なく、待遇は他の社員とほとんど同じだったのです。「能力を正当に評価してくれる会社で頑張りたい」と考えたことが、転職を決意するきっかけとなりました。
Cさんが転職の条件として待遇面で重視したのは、休日にきちんと休めることと、実績を上げた分がきちんと給与に反映されることの2つ。希望年収は350万円以上でした。
環境改善がきっかけではあったものの、仕事内容についても変えたいことがありました。それは営業スタイル。新規営業のみを手掛けてきたCさんは、“売ったら売りっぱなし”な新規営業のやり方に物足りなさを感じており、お客さまと長期的な関係を築くルート営業を望んでいたのです。また、商品の長所が分かりやすいという理由で、有形商材を扱うメーカーへの希望も強く持っていました。
こうした条件を元に、有形商材を扱うメーカーを中心としながら、プラスαで人材サービスや印刷業など、無形であっても商材がイメージしやすい会社をご提案しました。Cさんは紹介した30社の中から、12社に応募。当初よりこだわりが強かった有形商材を扱える会社ということで、酒類を扱う商社に転職を決めました。
一般に、新規開拓営業の経験のみでは、ルート営業に転職することは難しいとされています。ところが、Cさんの場合はルート営業への転身に成功しただけでなく、さらに年収アップまで実現! 希望通りの転職をかなえることができたのには、どのような背景があるのでしょうか?
「実績=求められている能力」ではない!
Cさんの大きな強みは、ブラックな労働環境であったのにも関わらず、営業130名中2位という成績を挙げるなど、しっかりと実績を残していたこと。ですが、こうしたタフさと実績が最も評価されたのかと言えば、答えはNO。むしろアピールの仕方を間違えると、マイナスに受け取られてしまう可能性もあるのです。
Cさんが評価された最大のポイントは、実績を上げる過程にありました。新規開拓の場合、飛び込みやテレアポをひたすら行い、「数を打てば当たる」というスタンスで、ガッツと勢いで営業活動を行ってきたことをアピールしがち。しかしそれではたとえ実績を残していても、ルート営業に求められる「特定の顧客の細かなニーズを汲む能力」や「長期的な目線で計画立てて営業活動をする能力」にはつながらないと判断されてしまうのです。
しかしCさんは、大手企業からの大型受注に狙いを絞った戦略的な営業活動を行っていたため、そうしたノウハウをルート営業に生かせるとアピールすることができました。その前提があった上で、新規営業で培った行動量やフットワーク、タフな精神力がプラスの評価につながったのです。
こうしてCさんは、年間休日120日以上で残業もほどほど、住宅手当などの福利厚生も充実、実績に応じた賞与やインセンティブが得られるという、好条件の転職を果たしました。また、実績を上げる過程や本人のタフさ、人柄が評価され、求人票に提示された年収350万円に28万円が上乗せとなり、「年収378万円」という元々の希望額以上の年収提示がなされたのです。
新規開拓に疲れ、ルート営業に憧れを抱く人は多くいますが、まず、営業の求人の中でもルート営業の仕事は全体の1〜2割程度であり、非常に狭き門であることを認識しましょう。経験年数としては、最低でも営業経験2年、できれば3年はほしいところですが、そもそもの求人件数が少ないため、アピールできる実績がなくては難しい。ルート営業の経験も、大きな実績もない場合は、新規とルートの双方を手掛ける会社を目指すのも一つの手です。求人件数が増える分、競争率も下がりますし、選択肢も広がります。
いずれにしても、「ラクをしたいからルート営業をやりたい」という甘い考え方では、転職活動はうまくいきません。新規開拓からルート営業への転職を狙うのなら、大前提としてその仕事を通じて成長したい意思があること、前職でのきちんとした実績があること、そして何よりその実績を出すまでの過程をアピールできることがポイントになると言えるでしょう。
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取材・文/上野真理子
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