ギャル男がスーツに着替えたら~入社1カ月で営業50人の上司になった元フリーターの話
自分の生活費さえ稼げばいいと思っていたアルバイト時代
現在、通信回線やスマートフォンのセールスプロモーション事業を行う株式会社Wizで、営業部門の副部長としてスタッフのマネジメントを行いながら、自身もフレッツ光など通信回線のコールセンター営業として活躍している菊池竜太氏。
そんな菊池氏の社会人のキャリアは今から7年前、他社のコールセンターでのアルバイトから始まった。最初にコールセンターを選んだ理由は「服装・髪型自由」という条件。現在勤務しているWizに正社員として入社するまで彼はピアスに長髪といった“ギャル男系”ファッションを貫いていたという。そのファッション好きが高じて、約1年ほどの短期だったがショップ店員だった経験もある。
「服装や髪形が自由で、そこそこ稼げればいいというのが当時の仕事に対する考えでしたね」
2012年4月に設立されたばかりのWizへの入社を持ち掛けられた当時、菊池氏は別のコールセンターに在籍していた。転職を決めた理由も、「時給が良かったから」というシンプルなものだったと話す。
「それまでのコールセンターでの仕事は、自分にとって“稼ぐための手段”。この仕事でスキルを磨きたい、キャリアアップしたいという思いは正直なかったですね」
マネジメントには全く興味がなかった、と回顧する菊池氏。しかし、設立間もないWizが急速な勢いでビジネスを広げていく上で、主力事業の営業部隊の責任者として最前線に身を置いてきたことが、そんな彼の働く意義や意識を変えていった。
一番変わったのは服装、でも本当の変化は……
「もともと負けず嫌いな性格なので、求められる結果が出せないと自分自身が許せないんです。それで、どんな工夫をすれば月間の目標をクリアしていけるかを結構熱くなって日々挑戦していましたね」
菊池氏はそれまで勤めていたコールセンターで、通信回線の電話営業において優れた成績を上げていたこともあって、若手で、しかもアルバイト入社ながら、スキルはすでにベテラン社員のレベルだった。入社からわずか1カ月あまりで正社員、責任者に抜擢された。
かつて「服装・髪型自由」という理由で仕事を選んだ菊池氏だったが、営業責任者として正社員になった現在では、スーツを着て、ネクタイを締めている。唯一こだわってきたといってもいい「服装・髪型自由」が崩れたことは、菊池氏の心境に大きな変化をもたらした。
「正社員になり、服装が自由じゃなくなったことで、自分の中で仕事に対する意識が大きく変わりました。会社を大きくしていかなければならないという強い責任感が湧いたんです。ビジネスをもっと大きく広げていくためには自分1人が頑張ってもダメで、1人でも多くの優秀な人材を育てていかなくちゃいけない。今は自分の経験を通したアドバイスやサポートをしていくことで、自分もスタッフも会社とともに成長していきたいという思いが強いですね」
その視点、姿勢はまさにマネジメント、経営者としてのマインドだ。
「もともと負けるのがイヤでいろいろ工夫してきたことが、今はスタッフへの助言として役立っています。まず、同じ部署と違う部署に『1人ずつライバルをつくる』。で、そのライバルに負けないように努力するということをアドバイスしています」
「服装・髪型自由」を何よりも優先し、生活に必要なだけ稼げればいいと考えていた1人の若手は、わずかな期間で自社のビジネスと市場拡大を支える中心的存在へと急成長した。設立からわずか3年のベンチャー企業が、多くの若手人材を育て、輩出する最前線として確かな存在感を示している。
>>転職したら年収はどのくらい上がる?「転職力診断テスト」を受けてみる
>>なりたい自分を目指す!大手人気企業の求人
取材・文/浦野孝嗣 撮影/赤松洋太
RELATED POSTSあわせて読みたい
「休みがほしい」じゃダメ。30代目前の転職者が企業にアピールすべきこととは【年収アップ相談所】
「明るいけど話が浅い人」と「ぼそぼそ話すけど物知りな人」、会社帰りに飲みに行くならどっち?
「見た目からして売れなそうだな~」と思う営業マンは「靴がボロボロ」、それとも「カバンがボロボロ」?
「スポーツビジネスの新たな領域を確立したい」学生時代に事業部を立ち上げた、採用サポート事業の営業マン