キャリア Vol.937

事務職志望だった“普通の女の子”が、盛り上げのプロ「ゴーゴーダンサー」になったワケ【CYBERJAPAN DANCERS・HARUKA】

仕事の数は星の数ほどあるけれど、そんな中でも「なぜその仕事を!?」つい、そう聞きたくなってしまうような職業を選んだ人たちに20’s type編集部が深掘りインタビュー。知られざる仕事の裏側、実は深〜いやりがいを聞いたら、“仕事選び”の本質と、日々の仕事を楽しむ秘訣が見えてきた――。

ナイトクラブやフェスなどで、セクシーな衣装を身に纏い、ステージ音楽に華を添える「ゴーゴーダンサー」という仕事。今回話を聞くのは、ゴーゴーダンサーの最大手事務所CYBERJAPANで活躍するHARUKAさんだ。

HARUKA

HARUKAさん Twitter:@cjd_haruka、Instagram:cjd_haruka

「小さい頃から趣味でダンスはやっていましたが、私はそれまで、ごく普通に事務職を養成する専門学校に通っていた、“どこにでもいる平凡な女の子”でした。20歳の時に見たCYBERJAPAN DANCERSのステージに強烈に憧れて、この世界に入ったんです」

そんな彼女がCYBERJAPANのゴーゴーダンサーを目指すことにした理由と、そのやりがいを聞いてみると、20代で挑戦した人にしか見えない世界が広がっていた。

ゴーゴーダンサーの仕事内容

国内外のイベントやクラブ、フェスなどで踊るダンサー。
曲の振付は決められていないことが多く、その場の雰囲気に合わせてステージを盛り上げ、華を添える仕事。コロナ禍前は毎週末、全国各地のクラブやイベントを盛り上げていた

ゴーゴーダンサーの収入

ゴーゴーダンサーの仕事だけなら、HARUKAさんの前職(医療事務)と変わらないくらいとのこと。
イベントの出演本数やその種類、広告の仕事の有無などによって月々の収入に差がある。

「好きなことのために仕事をする」か、「好きを仕事に」するか。

もともと小学生の頃から器械体操をしていて、高校時代はダンス同好会に所属していたというHARUKAさん。ダンスは趣味程度で、職業にする気は全くなかったいう。

「高校生の時、自分の進路に悩んでいて。これから私は好きなことを仕事にするのか、好きなことをするために仕事をするか。結局何がしたいのか決められなかったので、結局『休みの日に料理したり、体を動かしたり、そういう自分が好きなことをするための仕事』と考えて、専門学校に進みました」

HARUKA

初めは私服でインタビューに答えてくれたHARUKAさん

HARUKAさんが選んだのは、医療事務や秘書検定などの資格が取得できる専門学校。しかし、いざ就職を決める時に違和感があったと振り返る。

「就職という人生の分岐点に立たされた時に『事務の仕事は、もう少し大人になってからでもできるんじゃないか?』と思ったんです。それなら、今しかできない『好きなこと』がやりたいなって」

その時にふと頭をよぎったのが、以前から憧れていたCYBERJAPANだった。

「20歳の時に初めて『CYBERJAPAN DANCERS』を生で見て、圧倒されたのを覚えています。皆スタイルが良くて、オーラがあって、露出が多いのに綺麗で清潔感があって……。『ゴーゴーダンサ―』という職業は知らなかったんですけど、CYBERJAPAN DANCERSには強く憧れていました。

私もあんな風にかっこよくなりたい! という気持ちと、やるなら今しかできないんじゃないか?と考えて、CYBERJAPANに入るオーディションを受けるために上京を決意。普段は医療事務の仕事で生計を立てて、オーディションを受け続ける日々をスタートさせました」

ゴーゴーダンサ―に求められるのは、高いダンス技術というよりは、「華を添える、盛り上げる存在」としての資質だという。そこで、趣味程度のダンス力の自分でもチャンスがあるのでは、と考えてその門を叩いた。

HARUKA

「20歳の今、挑戦するならコレだ! って思いました」

CYBERJAPANのオーディションに合格すれば、晴れてメンバーの一員としてステージに立てる。しかし、その道筋は平坦なものでない。“普通の女の子”だったHARUKAさんには、当然厳しい現実が突きつけられた。

「書類審査は無事通過したんですけど、トライアルのステージ審査で全然合格できなくって。ダンスも下手だったし、『HARUKAはぽっちゃりしているから、ステージに立つ上で衣装サイズ的にも厳しいので合格させられない』と言われたことも。すごく悔しかったです。

そこから3カ月で7キロ近く体重を絞り、トレーニングに励みました。その努力が認められたのか、応募から1年半経ってやっと合格することができたんです」

努力が身を結び「かっこいい」と応援してもらえるように

1年半のオーディション生活を経て、晴れてCYBERJAPANに加入できたHARUKAさん。ゴーゴーダンサ―として、週末は日本各地のイベント会場を回り、東京のクラブを中心に盛り上げている。(※現在はコロナ禍の影響でお休みになることも多い)

しかしゴーゴーダンサーといえば衣装の露出度は高いし、フェスやクラブを盛り上げるという仕事内容から“チャラチャラしている”と見られることも多いのでは? 実際にCYBERJAPANに合格した当初、周りの反応はどうだったのか。

「友人たちに報告すると『めっちゃかっこいいじゃん!』と前向きな言葉を投げ掛けてくれました。でも、その一方で両親には医療事務の仕事を辞めたことも、CYBERJAPANに所属していることもなかなか言い出せませんでした

HARUKA

「後ろめたいというよりも、入っても活動を続けられる補償がなかったので……。自信を付けてから言いたい、と思っていたら時間が経っちゃいました。所属して半年くらい経った時に、帰省のタイミングで母に伝えたんです。露出の多い仕事なので、最初は抵抗もあったみたいですけど、なんだかんだで『あなたがやりたいことならいいと思うよ。応援してるから』と言われて、すごくうれしかったのを覚えています。でも、なかなか父には言えませんでした」

いつ言おうかと迷っていたタイミングで、ちょうどある車の雑誌で表紙を飾ることが決まった。

「それを母が父に『HARUKAは今、こういう仕事してるんやで』と見せてくれたんです。そしたら、特に反対されることもなく、逆に応援してくれて! なんだ、気にしてたのは自分だけかって拍子抜けしましたね。今では父の部屋は私のグッズだらけで(笑)。周りの人が応援してくれるから、胸を張って働くことができています」

HARUKA

「最近では父がファンの方と交流し始めちゃって……もう恥ずかしい~!」

お客さんやファンが目の前で楽しんでくれるのがうれしい

ゴーゴーダンサ―として活動をはじめて2年。華やかなステージを支えるのは、地道な努力の賜物だ。

「イベントは夜になることが多いですし、全国各地を周っているので移動にも時間がかかる。だから平日の朝や昼に時間をつくって、ダンスの練習をしています。ゴーゴーダンサーの振り付けは、基本的には個人のオリジナル。場を盛り上げながら音楽に華を添えるようなダンスができるように、スタジオを借りて自主練習したり、先輩の過去の動画を見て研究しています」

HARUKA

撮影のために途中で着替えてきてくれたHARUKAさん。雰囲気がガラっと変わった

デビューしてからも、スキルアップに余念のないHARUKAさん。なぜそこまで頑張れるのか。

「先ほども言ったように、私は1年半合格できなかった身。CYBERJAPANに加入はできたけど、最初は全然期待されていなかったと思うんですよ。それがとにかく悔しかったんです」

CYBERJAPANには今、24名の所属メンバーがいるが、全員がイベントに出られるわけではない。1回のイベントに呼ばれるダンサーは5~6人。その中に入るために、HARUKAさんが力を入れたのがSNSだ。

「事務所に期待されていない分、自分でステージに上がるための努力をしなくてはと思って、SNSの運用も頑張ることにしました。どんな時間に投稿するのがいいのかと研究した結果、1カ月で5万人、2カ月で10万人、半年で30万人……とフォローしていただけるようになって。今ではSNSで応援してくれる方がイベントに来てくれることもあるんですよ」

HARUKA

SNS上でも人気のHARUKAさんだが、ゴーゴーダンサーのやりがいは「生で会う感覚」でしか味わえないと笑った。

「私たちゴーゴーダンサ―は“盛り上げ役”なので、お客さんとの距離がすごく近いんです。クラブで数メートルの距離で踊ったりすることも。あるイベントでは、私のグッズTシャツを着た方がいらっしゃって、それを見た時は鳥肌が立つくらいうれしかったですね。SNSで何万人とフォロワーが増えていっても、生で会えた以上の実感はないですし、私の仕事のやりがいって『努力した分、目の前のお客さんに喜んでもらえること』にあるんだって思います」

HARUKA

「正直、始めの頃はステージに立つのは恐れ多いという気持ちもありました。でもファンの方や盛り上がってくれているお客さんを生で見て、自信を持って行こうと思えるようになって。今では、ステージに立つ瞬間が最高に気持ちいいですし、参加してくれた人を全力で楽しませたいと思っています」

今、心からやりがいを感じる仕事に出会えたHARUKAさん。最後に、今後の目標について聞いてみた。

「今はとにかく、早くコロナが収束してほしい! イベントは徐々に再開されてきていますが、まだまだコロナ前のように思いっきり楽しむことはできていないですから。最近、グラビアやYouTubeなど、いろんなことに挑戦させてもらっているので、そういう新しいチャレンジも頑張っていきたい。でもやっぱり、私はCYBERJAPAN DANCERSなので、ダンサーとしての自分をぶらさずに前に進んでいきたいです」

HARUKA

取材・文/於ありさ 撮影/桑原美樹 編集/大室倫子


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