オンライン面接に潜む落とし穴とは? motoさんに聞くミスマッチ転職を防ぐコツ
4月の緊急事態宣言の発令以降、多くの会社で普及したリモートワーク。それに付随して、転職活動の面接もオンライン化が進んでいる。
しかし、オンライン面接に対して苦手意識を持っている人も少なくないだろう。読者の中には、職場の雰囲気や人間関係の良好さを重視する人も多いのではないだろうか。
対面での面接と比べ、オンライン面接では職場の雰囲気が掴みづらいのは事実。いざ内定が出ても「本当に自分に合う会社なのだろうか」と、不安に感じることもあるかもしれない。
これからの転職活動では、どんなことに注意すれば後悔のない選択ができるのか。ブログ『転職アンテナ』を運営し、これまで多くの転職相談に乗ってきたmotoさんに、オンライン化された転職活動に潜む“落とし穴”と、その回避方法を聞いてみた。
※この記事はWomantypeより転載しています。
“お互いの本音”が見えず、ミスマッチ転職が起きやすい?
コロナ禍によって面接がオンラインで行われることが増えました。従来の対面の面接と比べると、どんな点に気を付ける必要があるでしょうか?
事前の情報収集が大切だと思いますね。
面接に限らず、オンラインで面談する際はこちらが事前に得たい情報や、伝えるべきことを整理しておくことでコミュニケーションがよりスムーズになると思います。
オンライン面談は対面に比べていい意味でも悪い意味でもコミュニケーションに無駄がありません。
オンラインの場合、コミュニケーションに独特の間合いというか、リアルでは感じることのない距離感があって、お互いに黙ってしまうと、リアルとはまた違う雰囲気で無言の時間が流れたりするので、慣れも大切だと思います。
また、オンラインの面談は会話が最小限になりがちなので、お互いの本音を引き出しづらい環境でもあります。
だからこそ、事前の情報収集を念入りに行って、得るべき情報と伝えるべきことを整理しておくことが大事です。
会社の情報をネットで調べたり、実際に働いている人が周りにいるなら話を聞いてみたり。その上で、確認したい点を明確にしてオンラインの面接に臨むと良いと思います。
なるほど。ただ、転職先選びで「職場の雰囲気」を重視する人が多いですが、オンライン面接ではそういった空気感を見極めるのが難しい気がします。
僕も職場の雰囲気は重視してます。僕の場合は、入社前に必ず複数の社員と同時に会話をさせてもらう機会を用意してもらっていました。
これまでだったらランチ会を開いてもらったりしていましたが、今のご時世だとなかなか難しいのでオンラインでグループミーティングの時間をもらえばいいと思います。
motoさんはその場で何を見ていたのですか?
異なるポジションの人が複数人で集まったときに、どんなコミュニケーションがなされるのかを見るようにしていますね。
例えば、社長や社員と会った時、僕と一対一での会話ではみんな「風通しがいい会社なんです」って言っていたのに、社長と社員が同じ場に集まった途端に、社員が意見を一言も喋らなくなってしまう、みたいなことってあるんですよ(笑)。その瞬間に社風が分かりますよね。
これは、一対一の面接だけでは決して見えない景色なので、こういう場を通じて会社の雰囲気を見るようにしてます。
なかなかこういう場をセットしてもらうことに抵抗があるかもしれませんが、自分が働く環境を知ることはとても大切なので「どんなチームか知りたい」と人事担当者に相談して、話せる場を作ってもらうのが良いと思いますよ。
業務内容の確認は入念に! オンライン面接では“腹を割って”話そう
他にも、ミスマッチ転職をしないよう、オンライン面接で気をつけた方がいいことはありますか?
普段の面接以上に、腹を割って、正直に話すことですね。
特に確認すべきは、具体的な業務内容です。みんなが出社して対面で働いていた頃は、その場その場でふわっと仕事を振られるシーンもあったと思います。
でも、コロナの影響で業務がオンライン化したことにより、ふわっとした業務ってなくなりつつあるんですよね。以前に比べて、社員に与えられる役割はより明確になっているはずです。
コロナ前に比べて一人一人の業務内容やミッションはきちんと決まっているはずなので、それをしっかりと聞いた上で、自分にフィットする内容かどうかを確認した方がいいですね。
これまでは、出社して椅子に座って作業をしていればいい日もあったかもしれませんが、オンラインでは、その人が目の前で何をしているかより、仕事における成果を求められます。
会社が自分にやってほしいと思っていることをきちんと把握して、自分がその会社でやりたいと思っていること、できることをきちんと伝える。これはとても大切だと思います。
対面でもオンライン面接でも、会社と求職者がお互いに求めることを本音で話し、きちんとすり合わせることがミスマッチ転職を防ぐ上では大切だと思いますよ。
とはいえ、面接ではなかなか本音で話せない人も少なくない印象です。
面接で本音を話せないのは、自分が「選んでもらう」立場だと思い込んでいるからだと思います。
本来、転職活動において、会社と求職者の立場は対等です。面接は試験ではありません。
そもそも転職活動のゴールは、内定やオファーをもらうことではなく「入社後に活躍すること」です。それは求職者だけでなく、会社にとっても同じはず。
いくら着飾って会話をしても、そのメッキは働けば剝がれていきます。入社後に自分が力を発揮できる環境かどうかを確認する上でも、本音で会話をすることが大切なんです。
転職活動のゴール設定さえ間違えなければ、面接でのコミュニケーションを間違えることはないと思いますよ。
オンライン面接で表面的なやりとりで終わってしまわないように、意識して腹の内を見せ合う姿勢が重要なんですね。
そうですね。求職者側にとっては、自分の役割が明確になる厳しい世の中でもありますが、それは会社側も同じです。
コロナ禍という環境において、自社にはどんな強みがあるか?を包み隠さず伝えることがミスマッチを減らすことになると思います。
求職者側も転職活動をする中で「コロナ前後で、その会社は何が変わったか?」を見ておくといいです。
従来のビジネスモデルや働き方を、自分たちの手でどんな風に変えることができたのか。その企業が市場の変化にどれだけ対応できる柔軟性があるのかを把握できます。
会社の柔軟性や組織風土は、こうした環境変化からも見えるのでチェックしてみてください。
「自分に合う会社」探しより、「なりたい自分になれる会社」選びを
ここまで聞いたアドバイスを実践すれば、オンライン面接でも「自分に合う会社」は見つけられますか?
そもそもの話になってしまいますが、僕は「自分に合う会社」はないと思っています。転職活動で考えるべきは「自分がどうなりたいか」です。
自分に合う会社という青い鳥を追いかけても、いつまで経っても見つけられないと思います。
大事なのは自分はその会社で何をしたいのか、何ができるのか、どんなことが求められるのかという「将来像」と向き合うことです。
いわゆる「WILL・CAN・MUST」をはっきりさせると、自分はどんな企業で働くのがいいのか見えてくるはずです。
存在するかも分からない「自分に合う会社」を探すよりも、「自分の将来が描ける会社」に照準を絞った方が、実りのある転職活動につながるのではないでしょうか。
なるほど。ただ、あらかじめ「こういう会社に行きたい」と決めて転職活動に臨んでも、いざ求人票を見ると目移りして、軸がブレてしまう人も多い気がします。
とてもよくわかります。でも、求人票を見る中で、「やっぱりこっちがいいかな」と心が揺れるのは、全然悪いことじゃないと思いますよ。
求人票をたくさん見ることによって、自分の中で「新たな軸」が明確化することもある。まずは直感的に、「この求人は良いな」「この求人は微妙だな」と求人票を仕分けてみると、良いと思った求人の共通項が見えてきます。
「自分は年収が一番重要だと思ってたけど、意外と福利厚生を気にしてたんだな」とか、「やっぱり年収の高い求人だけ拾ってるな」とか、さまざまな発見が出てきます。でも意外とそれが本当に自分が求めているものだったりするんです。
仕分け作業を通じて、自分の本音がだんだん見えてくるわけですね。
そうですね。むしろミスマッチが起きやすいのは、こうした自分が「無意識に求めているもの」をちゃんと把握しないまま、思い込みで突っ走ってしまったときです。
年収が高い会社を選んで入ったはいいものの、ハードワークになってから「やっぱりプライベートとのバランスを大事にしたかった」みたいなことになると、転職した意味がないですからね。
自分の心の声に耳を傾けて、軸を修正する柔軟さも大切ですね。
そうですね。会社選びも大事ですが、転職によって何が叶えば自分が満たされるのか、そこの見極めを怠らないようにしてほしいなと思います。
取材・構成/一本麻衣 編集/秋元祐香里(編集部)
RELATED POSTSあわせて読みたい
“曖昧条件”は悲劇の元!「アットホームな社風の良さ」を求めて転職した25歳の末路
「25歳で年収50万円アップ」で後悔。転職のプロが教える“妥協ライン”のつくり方とは?【20代の転職失敗談】
“結局、お客さまに選ばれる”営業マンに必要なたった一つの条件【メンタリストDaiGo】
“仕事の引き合いが絶えない人”は何が違うのか/キープレーヤーズ高野秀敏氏