キャリア Vol.967

もしも会社が「希望退職」を募り出したら?motoさんとコロナ禍の転職をシミュレーションしてみた

航空、観光、アパレルなど、コロナ禍を背景に大きな打撃を受けた業界を中心に、希望退職を募る企業が増えている。こうした状況をニュースで目にするうちに「明日は我が身」と感じた人もいるのではないだろうか?

先の見えないwithコロナ時代、今はまだ大丈夫でも、今後もずっと安泰という保証はどこにもない。もし、自分の会社で希望退職が募集されたら、一体どうしたら良いのだろう?

いざその時になってから、焦って判断を誤らないようにしたいもの。そこで、前回に引き続き『転職アンテナ』のmotoさんと一緒に、希望退職の募集が発表されたときのことをシミュレーションしてみた。

※この記事はWomantypeより転載しています。

motoさん
motoさん
1987年長野県生まれ。戸塚俊介。短大を卒業後、新卒で地方中小企業(ホームセンター)へ入社。その後、リクルートや楽天、スタートアップなどを経験。著書『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-』(扶桑社)はベストセラーとなった。
ブログ:転職アンテナ
Twitter:@moto_recruit

希望退職の募集は「対岸の火事」ではない

編集部

航空、観光、アパレルなど、女性従業員が多い業界でリストラのニュースが目立ちます。もしも、自分が働いている会社が「希望退職」を募り出したとき、どう動くのが賢明なのでしょうか?

motoさん

僕だったらすぐに転職を考えますね。理想的には希望退職の募集が発表される「前」に辞めてしまいます。

希望退職が募集されてから転職活動を始めた人と、その前から動き始めた人とでは、市場での見られ方が異なりますからね。

motoさん

「会社が傾くのを察知して転職した人」の方が、「希望退職が募集されてから焦って転職活動を始めた人」より見え方もきれいです。人が流れ出る前だから求人の数も多い。

つぶれる前に見極めた人と会社にリストラされた人では、それだけで印象は違うはずです。

編集部

現実は厳しいですね……。

motoさん

会社の将来が危ない時って、デキる人から辞めていくことが多いですね。

優秀な人ほど、会社や市場の状況を把握する能力が高いので、本当に危なくなる前に行動を起こしている気がします。

編集部

そうした察知能力は、どうすれば磨けるのでしょうか?

motoさん

会社の業績を見るに限ります。売り上げ計画の妥当性にもよりますが、世の中の流れとともに売り上げが下がり始めたら、その理由を調べた方がいい。

あと、僕は自分の上司のスケジュールなどもよく見ていました。売上の低下と比例して社長とのミーティングや、役員だけで緊急に開催される会議が増えてきたら、これは何かあるはずだ、と察します。

会社の状況は、会議体を通じて上司の行動や表情に表れます。

希望退職
motoさん

加えて大切なのは、同業他社の状況も見ておくこと。業界全体がまずい状況に陥っているのに、自社だけ無風というのは、なかなか考えにくいですからね。

編集部

確かに、楽観的な考えが目をくもらせてしまう可能性はありますね。

motoさん

業界全体が苦しんでいる中、今まで通りの経営を続けていくのは、よほどのビジネスセンスがあるか体力のある会社でなければ難しいはずです。

コロナ禍の被害が大きい業界や、その周辺業界で働いている人は、同業他社の状況を「対岸の火事」だとは思わず、「明日は我が身」の意識を持つことが大事です。

「退職する・しない」いずれにしても転職活動は必ずすること

編集部

希望退職の募集が発表される前に行動するのがベストとはいえ、すでに発表されてしまった場合は、どうしたらいいでしょう?

motoさん

僕だったら、まだ転職の意思が固まっていなかったとしても、すぐに転職活動を始めますね。

編集部

転職活動は必須ですか?

motoさん

僕は必須だと考えます

会社に残るか転職するのか。その二択で迷う以前に、「そもそも自分を受け入れてくれる会社があるかどうか」を知る必要があります。

自分に選択肢があるか確かめる作業はとても大切です。

希望退職
motoさん

転職活動をすれば、そもそも選択肢があるのか、あるとすれば次にどんな転職先があるか、その中に自分の行きたいと思える会社があるのかどうかなどが分かります。

そこで初めて、「残るべきか、転職するべきか」という問いが成立するんです。

まずはちゃんと選択肢を持って悩める状況にするためにも、転職活動は始めた方がいいと思います。

motoさん

何より、希望退職募集の締め切りまでの期間は、転職活動を粘れる大事な時間でもあります。

早めに始めれば始めるほど、その時間を有効活用できるので、焦らず落ち着いた状態でキャリアを選択できるますよ。

編集部

その結果、会社に残った方がいいケースはあるのでしょうか?

motoさん

ないとは言い切れないですね。「ピンチはチャンス」というように、傾いている会社の立て直しに一役買うことができれば、自分自身の人材価値も高まります。

ただ、「絶対に立て直すんだ!」という根性論で決めるのはおすすめしません。本当に立て直せる余地があるのか、何が課題なのかをしっかりと見極めることが大切です。

motoさん

いざとなったときにきちんとした判断をするためにも、普段から視座を高く持ち、「この会社が本来どうあるべきなのか、何をすべきなのか」を考えることが大切です。

起死回生のプランを作成し、会社に承認してもらい、最後まで責任を持ってやり切った結果、経営状況が改善したら、それも自分のキャリアにおけるトラックレコードになります。

希望退職
編集部

「会社が危ない時はデキる人から辞めていく」ということは、残った人が高いポジションに滑り込み、先陣を切って動ける可能性もあるということでしょうか?

motoさん

その可能性もありますよね。ただ、傾いている会社を立て直すのは容易ではないので、これまでの自分の経験が試されることになります。

もし残るのなら、自分の確固たる意思のもとで残るという判断をすることが大切ですね。周りに言われて残るのではなく、自分の意志で決めないと後悔します。

なんとなく残ってしまうと、「何もせず沈みゆく船に乗っているだけ」という状況になるので、次のキャリアの見通しも厳しくなると言わざるを得ません。

「調子の良い会社」より「柔軟性のある会社」を選ぶ

編集部

希望退職の募集をきっかけに転職した場合、その会社がまた傾いてしまう……といった事態は避けたいものです。

今回のコロナ禍のような非常事態においても強い会社は、どうすれば見極められますか?

motoさん

マーケティングで使う「3C」の概念で会社を見るのがお勧めです。市場・自社・競合のことですね。

この関係性をよく見ると、「この会社は何が強くて今の状態になっているのか」が分かります。

motoさん

ただ単に、今この瞬間で調子の良い会社を選ぶのではなく、「変化に対する柔軟性のある会社」を選ぶようにしてください。

それがあるかないかで、今後もその会社が伸びていくかどうか、大きな差が出ると思います。

編集部

「変化に強い会社」は、これからの時代における転職のキーワードになりそうですね。

motoさん

そうですね。加えて、トップのビジョンも大切です。どんな未来を目指し、何を成し遂げようとしているのかがはっきりしない会社は、あまりお勧めしません。

時代の流れに自分たちをフィットさせられる柔軟性と、トップの確固たるビジョン。この両者を備えた会社が、これからの時代伸びていく本当に強い会社になると思いますよ。

取材・構成/一本麻衣 編集/秋元祐香里(編集部)

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