キャリア Vol.982

登録者155万人超の教育系YouTuber葉一、ガムシャラに働いた20代を振り返る「自分が生きてきた姿を教材として見せたい」

自分は何のために働くのか、なぜ働くのか」――いきなり聞かれても、答えられない20代は多いはず。しかし自分なりの「働く」意味を理解することは、良いキャリアを築く上で欠かせない要素となるはずだ。

そこで今回は、この人に聞いてみた。登録者数155万人を超える人気教育系YouTuber、葉一さんだ。

ファーストキャリアは営業職。そこから塾講師に転職し現在の活動に至るまで、葉一さんは自身と向き合いながら「自分がやりたいこと」を突き詰めてきた。そんな彼が20代を振り返って感じる「働く」ことの正体とは?

※この記事は雑誌『type就活』より転載しています。

YouTuber 葉一さん

YouTuber 葉一さん

1985年生まれ。東京学芸大学卒業後、営業職、塾講師を経て2012年にYouTubeチャンネル『とある男が授業をしてみた』の運営をスタート。小中高生向けに、主に理数系の授業動画を配信し、登録者数は155万人を超える(21年9月時点)

教育の機会が平等に提供されない
そんな現実を変えたかった

学校教師になって子どもたちに質の良い教育を届けたい。それが、学生時代に描いていた自分の将来像でした。

でも、大学生の時に出会った起業家の方に「教師以外にも君の夢をかなえる方法はあるのに、なんで教師にこだわるの?」と言われてハッとしたんです。そこから、教師という職業に限定せず「自分の夢を実現するためには、どんなスキルが必要か」を問い直すように。

まずは、社会に出て自分自身を鍛えることが大事なのではと、一般企業に営業職として就職しました。

飛び込み営業が中心の会社で、正直なところとてもつらかったのですが、自分にいろいろなスキルが身に付いていく実感はありました。

当時はかばんにレコーダーを入れて、営業中の自分の声を録音し、それを聞きながら自分のスキルを毎日確認していたんですよ。そうすると「昨日できなかったことが、今日できているぞ」という自己成長を感じられたんです。この自己肯定のフローは今でも続けている、大事な習慣にもなりました。

営業を始めて約1年後、よりやりたいことに近づくために個別指導塾の講師に転職しました。そこで初めて気付いたのは、塾の月謝が予想以上に高かったこと。

月謝がネックで塾に通えない、通えたとしても低価格の集団塾に限られるなど、各家庭の経済事情により子どもの教育の選択肢が制限されている実情を知りました。

これはビジネスなんだから仕方がないという人もいますが、僕はそんなふうに割り切れなかった。だからこの時、僕の夢の軸が「教育の機会を平等に提供したい」に定まったんです。

塾講師として3年働いて退職しましたが、その後のことは具体的に何も決めていなくって。何気なくYouTubeを見ていた時に、「ここに授業動画を載せれば、子どもたちが無料で見られるのでは」と思い立ち、動画投稿を始めたんです。

当時は、まだYouTuberという言葉もない時代。動画で広告収入が得られることも知らなかったので、最初の頃は給料も何もありませんでした。

自分としては大義を持って始めた活動だったのですが、そんな思いとは裏腹に、最初の2年間はボロクソにたたかれ続けて。毎日のように長文の悪口メールが届くので、活動の意義を見失いかけたこともあります。

でも、経済状況に関係なく子どもたちが平等に勉強できる場所は、絶対にあるべき。そう信じて続けていたら、徐々に子どもたちから「授業が分かりやすかった」「テストの点数が上がった」といったポジティブなコメントが届くようになったんです。

特にうれしかったのは、中学3年生で不登校になったある生徒のお母さんから、長文のお礼メールをいただいた時。

その生徒は自宅で僕のYouTubeを見て勉強を続けていて、保健室登校で受けた定期テストで80点以上を取れたと。そのことに自信を取り戻して、学校に再び通えるようになり、無事卒業できたと書かれていました。

この活動を始めて9年がたちますが、あの時ほどうれしくて泣いたことはないです(笑)

働くこと、大人になることは楽しい
そんな背中を子どもたちに見せていきたい

20代の頃は自己成長を一番に掲げて働いていましたが、30代になった今は、自分で決めたミッションを実現するため、自己実現の手段が「働くこと」だと思っています。

当然、生きるための手段でもありますが、個人経営ということもあり、自分が満足できれば売上にこだわる必要はありません。

「教育の機会を平等に提供する」ことの実現に加えて、最近では、「学校教師の地位向上」も目指しています。生徒にとって身近な存在である、学校の先生のイメージをポジティブに変えていくことで、教育業界全体が活性化すると思うので。

それに、もう一つ付け加えるなら、子どもたちに楽しんで働いている背中を見せたいですね。それも自分のミッションの一つと言えるかもしれません。

というのも、僕は学生時代、「大人になりたくない」と思っていたんです。周囲に生き生きと働いている大人があまりいなかったので、働くことには苦痛を伴うイメージがありました。

でも僕自身は、中学生の時にいじめを受けたり、YouTuberとして誹謗中傷を受けて悩み苦しんだりしてきましたが、今は夢をかなえられているし、楽しみながら働くことができている。

だから、自分が生きてきたこの姿を教材として見せていくことで、「大人になるのが楽しみだな」「頑張ってみようかな」と子どもたちに思ってもらいたい。

僕がそうであるように、「何のために働くのか」という確固たる目的があれば、それは確かな原動力になります。でも、それがはっきり見えていない人も多いですよね。

僕はそういう人には、「何でもいいから、その場所で1番を取ってみるといいよ」とアドバイスしています。これを言うと、だいたい嫌われるんですけどね(笑)

でも、興味がない分野でも何かしらの実績が出せたら、いざ興味がある分野に移った時に必ず役に立つ。がむしゃらに働く中で、そこで働く意義や仕事の楽しさを見いだす人も多くいます。

楽しさを見つけてから頑張るのではなく、頑張っているから楽しさが見つかってくるのかもしれません。

だから将来に迷っているときこそ、「ひとまず結果を出そう」と割り切って、何かをがむしゃらにやってみてほしい。そこで達成できたら、自己肯定感も上がるし、身に付けたスキルが将来に生きる可能性も上がると思います。

頑張るうちに見える景色が変わり、「何のために働くのか」に気付くこともあるかもしれません。

取材・文/小林香織

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