キャリア Vol.983

SHOWROOM前田裕二「僕はまだ夢半ば。もっと強くなりたい」衰えぬモチベーションの源泉

自分は何のために働くのか、なぜ働くのか」――いきなり聞かれても、答えられない20代は多いはず。しかし自分なりの「働く」意味を理解することは、良いキャリアを築く上で欠かせない要素となるはずだ。

そこで今回は、2021年11月1日発売予定の就活生向け雑誌『type就活』から、SHOWROOM代表・前田裕二さんのインタビューを紹介。

前田さんにとっての「働く」とは何を意味するものなのか、経営者として若手社員に期待することは何なのか。就活生でなくても、心に響く金言が満載だ。

※この記事は雑誌『type就活』より転載しています。

SHOWROOM株式会社代表取締役社長前田裕二さん

SHOWROOM株式会社
代表取締役社長
前田裕二さん

早稲田大学卒業後、外資系投資銀行を経て2013年ディー・エヌ・エーに入社。
仮想ライブ空間『SHOWROOM』を立ち上げ、15年に事業をスピンオフしSHOWROOM
を設立。20年、バーティカルシアターアプリ『smash.』をリリース

一緒に働きたいのは「愛」と「戦闘力」がある人
新卒時点の戦闘力の要素はたった二つ

僕が一緒に働きたいのは、「愛」と「戦闘力」の両方を備えた人。愛はカルチャーマッチで、戦闘力はスキルマッチです。

この二つの中でも、最近は特に、戦闘力を重視するようになりました。なぜなら、戦闘力が発揮できない限り、本人は幸せになれないと感じるようになったからです。

漫画で例えるならば、『ドラゴンボール』のクリリンは気円斬という技を覚えて活躍するのですが、飛び道具が一つも出せないミスターサタンは、どれだけ良いやつだとしても戦場に連れていくのは悩んでしまう。

ムードメーカーとしての貢献が期待できても、戦場で足手まといになる強さでは、チームも本人も不幸になってしまう。当然、その人に求める役割にもよりますが、極端に言えば、サタンよりも、指一本で惑星ごと吹っ飛ばせるフリーザを採用して、彼の愛を育てる選択をするかもしれません。

では、新卒時点での戦闘力とは何か。僕は二つしかないと思っています。一つは、圧倒的に「頑張れる」こと。もう一つが、「なぜ頑張れるのか」がクリアになっていることです。

僕の場合は、早くに亡くなった親の代わりに育ててくれた兄を喜ばせたくて、良い給料の会社に行こうと思いました。与えられた運命に対する悔しさ、兄への思いが根源にあり、それはずっと消えないものだったからです。

就活中も頑張れる理由を分厚く話していたので、「努力の源泉が尽きなさそう」だと面接官に感じてもらえたのだと思います。

そういう意味では、僕は親の希望をかなえるために会社を選ぶことが必ずしも一律で悪いことだとは思いません。親の幸せが自分にとって最大のモチベーションになるなら、それを軸に就職先を決めるのも一つの道。

自分が「このためなら、めちゃくちゃ頑張れる」と感じられる何かがあれば、あとは働きながらいくらでも戦闘力を上げていけますし、強くさえなれば、選択肢は無限に広がります。

そして、僕自身はずっと、働くことを通して「強くなりたい」と考えてきました。そして、20代の頃は、「倒すべき敵が現れたら、自分一人の手で勝ちたい」とも思っていましたが、新卒入社した会社で出会った尊敬する上司は、「強くなり過ぎたら敵がいなくなった。だから一人で戦わなくなった」と話してくれたのです。

その時はそれがどういうことなのか理解できなかったけれど、自分が成長して強い敵を倒せるようになっていくにつれて、「一人では倒せない」レベルのもっと強大な敵や壁があることに気付きました。

そこで、上司が言っていた意味が、ようやく分かったんです。それからは自然と、「チームでどこまで行けるか」という考え方になり、主語も“ I ”から“ We ”に変わっていきました。

そうやって強くなればなるほど、幸せにできる人の数は増えます。大学生の時に「収益は誰かを幸せにした量を計測する通信簿」だと、ディー・エヌ・エー会長の南場智子さんが話していたのを聞いて、衝撃を受けたのを覚えています。

学生時代は学費や生活のために働いていたから、シンプルに、働くとは「お金のため」でした。でも世界には、「誰かを幸せにするために働く」という仕事の仕方があると知り、「働くって悪くないな」と思えたのです。

実際に、SHOWROOMを始めてからは、会社の売上が大きくなるほど、多くの人を幸せにできている感覚があります。誰かを思い、その人を幸せにしたいと夢中で仕事に取り組んだ結果として自然とお金が返ってくる。最近は『smash.』でも大きな反響をいただき、仕事をする幸せを感じます。

強くなるほど弱さが見え、希望とともに憂鬱も増える
でも、それが働く楽しさでもある

働く意味を知るには、自己分析を徹底的にしつつ、同時に輝いている人たちの話を聞き、双方を照らし合わせる作業が大事です。

僕が、『メモの魔力』(幻冬舎)の自己分析の章にいろいろな人たちの人生の軸について書いたのは、価値観の相対化によって自分の軸が見えてくると思っているからです。

特に、相手と自分の考え方のズレがヒントになります。僕も学生時代は、OB・OG訪問をたくさんして「なぜ頑張れるのか」「何のために頑張るのか」と、その人の働く源泉について聞き、自分との違いは何なのかを確認していました。

今の僕がなぜ頑張れるのか、ですか? 青臭いですけど、まだ夢半ばだからです。他の誰でもなく自分が掲げた夢ですから、責任を持ってやり遂げたい。しかもその夢はどんどん大きくなりますし、増えていきます。

そして、自分の運命や逆境を正当化したい気持ちはずっと根源にあって、「もっと強くなりたい」という思いも変わりません。親がいなくても、貧しくても、努力さえすればチャンスが得られることを自分の人生で証明したい。

似たバックグラウンドを持つ若い世代に、はい上がる姿や、はい上がれる世の中であることを提示していきたい。それが僕の強いモチベーションです。

あとは、強くなればなるほど、自分の弱さが分かるので、それもモチベーションになっているのかもしれません。数年前と比べれば少し高いところに来たかもしれないけど、その分さらに高いところが見えるし、強い人たちの本当の強さを実感することができる。

自分と相手の力の差に落ち込むこともあります。その意味では、強くなるほど希望とともに憂鬱も増えるけど、周りの大切な人たちを自分の夢に巻き込んでいるから、元々持っていた「運命を倒す」というモチベーションに加えて、一緒に戦ってくれる仲間のためにも、もっと強くならなきゃって思える。現実と理想のギャップに苦しみながらも頑張り続けられるのは、それが理由です。

前向きで楽観的な自分と、これじゃだめだと思う自分を行ったり来たりしているのは、就活生のみんなと変わらないかもしれない。でも、それが強くなることの醍醐味。そして、ダメな自分から理想の自分への「伸び率」を味わうことでもあり、それを仲間たちと共有し合うことだとも思う。これを読んでいる皆さんにも早くそれを体感してほしいし、一緒に戦える縁が訪れたら本当にうれしいですね。

取材・文/天野夏海 撮影/竹井俊晴


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